ヴェドラー商会・応接室 |
事件の処理が行われている間、冒険者達は暇であった。
そんなとき、アールはヴェドラー商会に呼び出しを受けた。
商会に向かうと、応接室に通され、そこには商会主のヴェドラー氏とカトリー、ミレイアの姉妹が居た。
■ヴェドラー To:アール |
君がアール君かね? 今回はご苦労だった。 |
声を掛けられると、片膝をついて頭を下げる。
■アール To:ヴェドラー |
お初にお目にかかります。 こちらこそ、この度はご無理をお聞きいただきまして、ありがとうございます。 ところで、ギルドとしては見入りがなかったように見受けられますが、かかった費用など如何すればよろしいでしょうか。 |
■ヴェドラー To:アール |
その件について気にする事はない。 何、「損して得を取れ」だよ。 貴族様へのコネが一つ増えたと言う事は金に換えられない価値があるのでね。 |
■アール To:ヴェドラー |
そうですか。それは良かった。 ところでコネということで、私はヴェドラーさんに顔を覚えてもらえたと思ってよろしいですか? そろそろ冒険者稼業の先を見据えているんでね、有力な上役に付いておきたいと考えていたところなんですが。 |
ヴェドラーの顔色をうかがいつつ、傍らのカトリーを視野に入れる。
■ヴェドラー To:アール |
ふむ……では、君は私にどんな恩恵をくれるのかな? |
■アール To:ヴェドラー |
まだ若輩でありますので、大きいことは言えません。 ありきたりでいえば商会の発展に貢献させていただきます、と。 … それとも、ヴェドラーさんに豊かな老後を約束します、という返事の方がお好みですか? |
物言いは冗談めいていたが、ヴェドラーを見据えるアールの表情は笑っていない。
■ヴェドラー To:アール |
ははは! 気に入った! これからは君の動きに注意させて貰うとしよう。 銀の網亭の冒険者達の情報も結構重要なのでね。 勿論、それ以外にも色々働いて貰おうじゃないか。 |
■アール To:ヴェドラー |
かしこまりました。 では、今日のところはこれにて。 |
不敵そうな笑みを浮かべ立ち上がると、踵を返しドアへ向かう。
振り返りつつ、カトリーにウィンクしながら、アールは応接室を後にした。
そして、銀の網亭までの帰りの道中、なにげなく歩いていたが、アールの足取りはいつもより早かった。