SW-PBM Scenario #88 | 目次 |
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スカルノ邸 応接室 |
皆が調べものをしている間、イグレッタとナミキはただひたすら待っていた。
何をと言えば・・・スカルノ夫人のマッサージが終わるのをである。
ミランダが夫人にお願いをして、マッサージの後、30分だけ時間を貰える事になったのだ。
そのマッサージが・・・長い。もう2時間以上待たされている。いや、マッサージの後に入ると言っていた入浴が長いのかもしれない。どちらにせよ、そろそろ限界である。
■イグレッタ To:ナミキ |
遅いわね… |
イライラしているのか、人差し指で膝をトントンと叩いている
■ナミキ To:イグレッタ |
まったくよね。あたしたちを待たせるなんていい度胸してるわ。 |
なんか違う気もするが。
やはり今日はやめて、翌日にしてもらおうか?そう思い始めたとき、ようやくメイドがやって来た。
■メイド To:イグレッタ、ナミキ |
お待たせしました。夫人とミランダ様のご準備が出来ました。お2人の分の軽食も用意致しましたので、こちらへ――― |
2人はメイドについて屋敷の中を進む、広い大階段を昇り、いくつかの扉の前を通りすぎ、ようやく通されたそこは、中庭が見下ろせる素敵なテラスだった。
スカルノ邸 応接室 |
窓際にテーブルとチェアが4脚置かれ、既にミランダと夫人は席に着いていた。テーブルにはサンドイッチとお茶の準備が人数分用意されている。
スカルノ夫人は噂に聞いていたとおり、50を過ぎてもなおキレイで華やかな女性だった。
■ミランダ To:イグレッタ、ナミキ |
お待たせしました。こちらがこの館の主、スカルノ夫人です。 |
■ミランダ To:スカルノ夫人 |
夫人、こちらが冒険者のイグレッタさんとナミキさんです。 |
紹介を受けて軽く一礼する
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
イグレッタ・マロックです |
■ナミキ To:スカルノ夫人 |
あたしはナミキ。 |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ、ナミキ |
スカルノよ。呼びにくければ”夫人”と呼んで頂戴。 この館にいる間はそれで許すわ。 |
■ナミキ To:スカルノ夫人 |
はぁ……許されました。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
お話を伺いたいのですが |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
(冒険者と言うのは・・・ストレートな物言いをするものね) まぁ、おかけなさい。 お食事をしながら伺いましょう。 これ、美味しいのよ。 |
メイドが更に焼きたてスコーンとサワークリーム、自家製ジャムを運んでくる。スカルノ夫人はやはりカロリーを気にしてか、スコーンには手を伸ばさず、きゅうりのサンドイッチを上品につまんだ。
(決して太ってはいないのだが、常に美容とプロポーションには気を使っていると言うことだろう)
■ナミキ To:スカルノ夫人 |
じゃ、遠慮なく。 |
あまり気にせずにスコーンを手にとるナミキ。イグレッタは少々躊躇したが、薦められるまま黙ってスコーンに手を伸ばした。夫人と目が合えば、慣れない微笑を浮かべた。
■ミランダ To:スカルノ夫人 |
夫人・・・私が彼女達に”夫人は忙しいので、手短に”と言ってしまったんです(^^;。 お食事をされながらでも、彼女達のお話を聞いてあげて下さい。 |
■スカルノ夫人 To:ミランダ、イグレッタ、ナミキ |
あら、そういう事なの。 では、お話をどうぞ。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
夫人には、お知り合いが多くいらっしゃると思いますが、 その中には美容に熱心な方もおりますでしょうか? |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
あなたはご興味がないのかしら? 女と言うものはいくつになっても美容には関心がいくものではなくて? |
スカルノ夫人はお茶をすすりながら、微笑んでそう返した。
この手の話は嫌いではないらしい。
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
痩せる事に熱心な方を思い浮かべたとしましたら、 どの方が浮かびますか? |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
痩せる事・・・と、”体型をきれいなままで保つこと”とは違うと思うのだけれど、前者の意味でよろしい? 後者でしたら、わたくしも当てはまりますよ。 痩せたい痩せたい―――と皆さん、口ではおっしゃられても、実際に痩せる努力をなさってる方は案外少ないものかもしれないわね。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
前者の意味でお願いします。 実際努力なさっている方はどれほどいるのでしょう? 報われてない方もいるのではないですか? |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
ほほほ。あなた、貴族とお付き合いしたことはなさそうね。 皆ね、本当の事はおっしゃらないものなのよ。 努力しててもしてないフリをして、そうかと思えば食べて寝てばかりの生活をして太るのが当然を生活をしてても、”私は努力してるのに、体質が―――”などと言ったりね。 |
やけに話がリアルになってきた(笑)。
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
…ええ(幸か不幸かね) 夫人はフリか本当の事か解りますか? |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
・・・彼女達の言葉を聞かないことね。 努力をしてれば、自然と体に現れてくるものですよ。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
努力なしで痩せられるとしたら、多少の危険も気にされない方は思い当たりますか? |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
ええ。 名前をあげきれないほどいましてよ(にっこり) |
イグレッタの質問は冗談だと思われたようだ。
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
もし、その薬がどこかにある、と耳に入ったら… その方々はどうされると思いますか? |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
・・・・・・ お金で買えるものなら糸目はつけないでしょうね。 お金で買えないのであれば・・・持ってる方から奪い―――いえ、譲っていただくようにするしかありませんわね。 |
イグレッタが冗談を言ったのでないことを感じ取ると、少し言葉が慎重になる。
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
時間が経てば買えるとして、急いで譲ってもらう可能性も? |
この階級の人達がいずれ買えるのに、盗むことはありえるのだろうか?
と言う正直な疑問。
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
わたくしにはわからないけれど・・・ダイエットと言うのは急ぐものではないと思いますね。確実に痩せる事が大事なんでしょう。 いずれ買えるならよほどの事がない限り、皆さんお待ちになると思いますよ。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
最近食の細くなった方の噂など耳にしませんでしたか? |
噂、噂・・・スカルノ夫人は、記憶の糸をたぐりよせてみたが、それらしい噂は聞いた事がなかった。
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
聞いていませんね。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
急に痩せられた方の噂などは? |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
それも聞きませんね。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
新しい痩せ薬を売る者の噂は? |
スカルノ夫人は思わず笑ってしまった。
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
ほほ、あなた、痩せ薬について熱心ねぇ? あなたに必要とは思えないのだけど。 残念ですけど、聞いてませんよ。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
では、もし噂を聞きましたら、教えて頂けますか? |
■スカルノ夫人 To:イグレッタ |
ミランダさんに伝えておけばよろしい? ・・・ところで、わたくしに聞きたい話と言うのはこれでお終いかしら? なんだか、予想と違ったのだけど。 冒険者と言うのは・・・モンスターを倒したり、財宝を探し当てたり・・・そういう事をするものでしょう? |
それはスカルノ夫人の思いこみ。
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
モンスターを倒したり…財宝を探したり…… |
冒険前の自分の知識と似たり寄ったりなのが内心ショック。
■ナミキ To:スカルノ夫人 |
まあ、もちろんそういう仕事もあるけど、そればっかりじゃないのよ。 基本的には何でも屋なの、冒険者っていうのは。 依頼されれば何でもやるって感じね。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
…とりあえず、海の洞窟には入ったわ |
■スカルノ夫人 To:ナミキ、イグレッタ |
そう・・・常に波乱万丈の人生・・・と言うわけではなさそうね。 残念だこと。では、次の小説のプロットを考え直さないと・・・(ぶつぶつ)。 |
スカルノ夫人の次回作は女戦士と盗賊の恋物語(笑)。血沸き肉踊る冒険に、甘いロマンスをエッセンスに―――と言う構想だったのだが。
夫人の関心事はもはやダイエット話から移ってしまったようだ。
■ナミキ To:スカルノ夫人 |
小説ねぇ……。 ……あと、最近なにか身の回りで変わったこと起こったりしなかった? 漠然とした質問だけど。 |
■スカルノ夫人 To:ナミキ |
変わった事、変わった事・・・ 特に何もないわね(さらり) あり難い事に(たいくつで)平和な毎日ですよ。 |
あまり嬉しそうじゃない様子。
■ナミキ To:スカルノ夫人 |
わかったわ。ありがとう。 |
■ミランダ To:スカルノ夫人 |
そういえばカレン様はまだ三角塔でしょうか? カレン様にもお話を伺いたいそうなんですけれど・・・ |
■スカルノ夫人 To:ミランダ |
カレンに? そうね、娘の方が面白い話を知っているかもしれないわね。 娘はまだ三角塔でしょう。明日は午後から授業の筈ですよ。午前中にまた来てもらえば良いでしょう。 |
■イグレッタ To:スカルノ夫人 |
では、明日も伺います。 |
■ナミキ To:スカルノ夫人 |
でわでわ。 |
■ミランダ To:イグレッタ、ナミキ |
では門までお送りしますわ(^^)。 |
2人はミランダに見送られてスカルノ邸を後にした。
だいぶ長い事いたらしい。
通りには灯りがつきはじめていた。
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