SWPBM#73

幻獣の住まう谷

Chapter6:落下と逃走

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崖(巣の上)

 その間に、フォーリングコントロールのかかっている3人(アップル、ソフィティア、アフル)は隣の巣に飛び移った。
 ジェリーも程なくして巣に到着した。巣にはどうやらかなり長きに渡って蓄えられたであろう、貴金属類等が散乱していた。
■ソフィティア To:ALL(その場にいる人)
 話には聞いてたけど……は、はは、すごいわね。

 唖然としながらも回りの様子をチェック
■アフル To:ソフィティア
 うん…、こんなに見たことないや…

■アップル To:ソフィティア&おーる(その場にいる人)
 そうね・・さっきの巣とは様子が違うみたい・・
 とりあえず、わたしは外を見張ってるわね

 さっきのグリフォンの印象が強すぎるのか、巣の外を眺めている。
 今のところは特に目立った変化はなさそうである。
■ソフィティア To:ALL(その場にいる人)
 グリフィンは一時大丈夫そうだから、さっさともらう物もらっちゃいましょうよ。

 とりあえず、目ぼしいネックレスとかブレスレットとかピカピカの指輪をじゃんじゃん身に付けてみる。
■ソフィティア To:アップル
 ねぇねぇ、アップルもほらほら

 声をかけたときすでに、満面の笑みでトンでもない量の装飾品をくっつけていた。きっと後で名残惜しくなるぞ(笑)
■アフル To:ソフィティア
 まったく…、身に付けるより、袋とかに入れたほうがいいんじゃないの?(^^;;
 ま、きれいだけどね(^^)

■アップル To:ソフィ&アフル
魔法の効果がついてたらあぶないから、ほどほどにね^^
あとでメルディスに鑑定してもらわなきゃね(笑)

■ジェリー To:いる人
いや〜、これほどまでとは予想外だったっすね〜。
早速もてるだけもらっていっちゃいやしょう。

 ジェリーは背負っていた袋に手をつっこみ、中に入っていたもののうち、現在必要なさそうなものの中でかさばるものを全部取り出す。そして、巣に散乱してる金目のものをかき集めるようにして袋に詰め始めた。
 それとなくジェリーの様子を見てたソフィティアとアフルは、ジェリーがその一連の動作の中で袋の中からとりだした笛の様なものをくわえ、ベルトに杖のようなものをさしたことに気が付いた。
 しかし、それ以外に特に不審な行動はとっていないようである。
■アフル To:ジェリー
 ん?ジェリー、その笛は?

■ジェリー To:アフル
ふぇ?こふぇでふか?(え?これですか?)
たはのふへっすよ(ただの笛っすよ)
ふてっとはいしゅうがえんどうなんへふはえてるんす(捨てると回収が面倒なんでくわえてるんす)

とは言いつつも、なんとなく落ち着かなさそうな様子である。
■ソフィティア To:ジェリー
 その割にはそわそわしてるみたいだけど、時間でも気になるの?

こちらも、ほぼ空っぽになっているバックパックに物を詰めていく。
■ジェリー To:ソフィティア
ふぇ〜?
(一旦笛を口からはずしてから)
気のせいっすよ。強いて言うならもう一匹のグリフィンがやってくることが怖いっすね。

等と言いつつも、やはり背負い袋にお宝を詰め込むその腕は全く休まず動いている。
 何分か同じような動作を繰り返し、袋が宝でずっしり重くなったところでようやく巣が空になった。それとほぼ同じころ、クロスが上から降りてきた。
 それからしばらくして、バーンも降りてくる。 重い荷物を背負い、ジェリーは巣の縁に腰を下ろしながら一行に問う。
■ジェリー To:ALL
あぁ、重い。どっこいしょっと。
そういや〜、細かい数値について決めてなかったっすけど、20000ガメル以上になったら一人頭の取り分っていくらくらいになるんしたっけ?

■バーン To:ジェリー
(玉のような汗を額にびっしり浮かべながら)
 え?
 ええと…

そこでソフィティアに提案され書き綴った羊皮紙を探ってみる。
程なく書き付けを見つけたバーンはジェリーに提示された額を数式に当てはめてみる。
X=お宝の総額
Y= 
X ≦ 7000 の時 Y=0 
X > 7000 の時 Y=(X−7000)/8
パーティー一人当たりY+1000ガメル、男は2Y+1000ガメル
結果はパーティーが一人2625、ジェリーが4250ガメルとなった。
■バーン To:ジェリー
(羊皮紙を見せながら)
 ええと、こういう結果になったんだけど…

■ジェリー To:バーン
ふむ………こんな感じっすか………。
えぇと、ひぃふぅみぃで………となると………こうなるわけで………ふむふむ………。

ジェリーは相変わらず巣の縁に座ったまま羊皮紙を受け取ると、計算式をしばらく見つめた。
しばらくひとりごちていたかと思うと急に勢いよく立ち上がった。
■ジェリー To:バーン
んじゃ、ぼちぼちいくっすか。
戻って収入を計算しないといけないっすからねぇ。

いいつつ、ジェリーはロープに掴まった………。が、次の瞬間、ロープから体が離れた!
■クロス To:ジェリー
あっ、あぶないっ!

■ソフィティア To:ジェリー
 あっ!ジェリー!!


エストン(森の中)

 ジェリーの体がロープから離れた瞬間、そばにいたクロスがすかさず飛びついた!
 が、バッグ一杯に詰め込んだお宝の重量にはクロスの体力だけでは耐えきれず、クロスも一緒に巣から落ちてしまう!高低差50m前後。落ちればまず助からない高さである。
 しかし、当のジェリーはあわてることなく腰に差していた杖状のもの−どうやら巧妙に偽装されたスクロール−をとりだし、フォーリングコントロールを唱えた。
 クロスもジェリーに掴まり続け無事着陸。すると同時に、安堵のため息を付く暇もなく、ジェリーは近くの森林に逃げ込んだ!
■アフル
あっ
逃げる気っ?

魔法で阻止しようとも考えるが、50m下では魔法は届かない。
■バーン
 あっっ!!

■ソフィティア
 追わなきゃ!

思わず一緒になって飛び降りようとするが、ぎりぎりのところで思いとどまった。
■ソフィティア
 (し、死ぬところだった)

■バーン To:ソフィティア
 ソフィー無茶しすぎだよ!

心臓がバクバクいっている。ソフィーのフォーリングコントロールはすでに時間切れである。
■クロス To:ジェリー
あっ、ちょっと、どこ行くんだ!

一瞬呆気に取られたが、すぐ気を取り直して後を追い始めた。
ジェリーは巧みに木々の間をくぐり抜けながら失踪してるが、クロスも負けてはいない。ジェリーを上回る華麗なフットワークで一つ木をくぐるごとにジェリーとの距離を詰めていっている。
森に入って100mも走らないうちに、追いついた。
■クロス To:ジェリー
まてよ、ジェリーっ!
どういうつもりなんだ!?

■ジェリー To:クロス
え〜………それはっすねぇ………
って、あ゛………

驚愕の表情を浮かべつつ、ジェリーはクロスの背後………やや斜め気味の上空を指した。
ジェリーはそのままの表情で、少しずつ後ずさり始めている。
■クロス To:ジェリー
え゛っ!?

クロスはおもわず振りかえった。
ジェリーの指さした先には、崖をフォーリングコントロールで少しずつ降りてくるパーティーがいるばかりである。
他には何もない。
クロスが再びジェリーの方を向くと、ジェリーは再び森の奥を目指して走り去っていた。
■クロス To:ジェリー
?? なにもいないじゃないか……って!あああっ!?
まてっ、ジェリーっ!!

クロスは再びジェリーを追い始めた。
今度ジェリーは木々の間を縫って、ひたすら走り続けている。クロスも全力でそれを負う。
しかし、森の奥に入って行くに連れてどんどん植物が密集し始めてきているため、なかなか追いつけない。
ようやく追いついた時は二人はかなり森の奥の方まで来ていた。
■ジェリー To:クロス
はぁ〜はぁ〜はぁ〜………。
結構深くまで来ちゃったっすねぇ………。これからどうするんっす?

■クロス To:ジェリー
はぁ、はぁ…どうするのかって!?

回り込んだクロスは呆れ顔になる。
■クロス To:ジェリー
まずは、どういうつもりなのか説明してもらうのさ。
さあ、幸いにも邪魔はいないし、心おきなく言い訳してよ、雇い主様。

一度騙されたので、ジト目でにらみながら言う。
■ジェリー To:クロス
え?あっしは雇い主じゃぁ、ないっすよ。
あくまで横の関係。縦の関係はないっすよ。
まぁ、それに今更言い訳するまでもないっしょ?

どうやら開き直った様子である。
■クロス To:ジェリー
そういやそうだったね。じゃあ、相棒。

クロスの声はちょっと冷たい。
■クロス To:ジェリー
僕らははじめに交わした君との約束を、守るつもりだった。正しい約束を、冒険者は破ったりしない。
でも君はそれをあっさり裏切るという。
しかも、崖から落ちたときの手際。あれは準備してたろ? 君は、はじめっからそうするつもりだったわけだ。
持てるだけ持ってお宝を持ち逃げか……なあ、何か、理由でもあるのかい?

■ジェリー To:クロス
いや〜、ついつい欲がでたんっすよ。
最初から裏切るつもりならもっと頭の悪そうなヤツを見つけるっすよ。
とりあえず詰め込んだら分け前分より多そうになったもんでねぇ。

■クロス To:ジェリー
…ホントに?

かすかに失望の表情を見せる。
■ジェリー To:クロス
これ以上ホントのこと言おうと嘘言おうと、信じてもらえねっすからねぇ。

■クロス To:ジェリー
確認できるまではね。
…さて、逃げに移るタイミングは流石だったと言いたいけれど、どっちにしろこのまま見逃すわけには行かないな。
おとなしくしてくれれば、ひどくはしない。
さあ、まずは手に着けたツメ。それからその荷物を地面に置いてもらおうか。ゆっくりね。

■ジェリー TO:クロス
へぇへぇ、命を助けてもらえるんなら従うっすよ。

言いつつ、ジェリーはクロスの言うとおりにかぎ爪をはずし、荷物を地面に降ろした。
■クロス To:ジェリー
少し離れて…そこでいい。座りなよ。

■ジェリー To:クロス
んじゃま、失礼させてもらって、どっこいしょっと。

二人はそのままの状態でしばらく待ってみる………が、残った5人はなかなかやってこない。
気の短いジェリーが早くも口を開いた。
■ジェリー
なかなか来ないっすねぇ。

■クロス To:ジェリー
そうだね。でも気にしないで良いよ。

表面上は涼しい顔のクロス。
と、そこでかすかに風に乗って声が届いた。
■アフル To:クロス

クロスー、聞こえたら返事してー

■クロス To:ジェリー
…聞こえたかい?

■ジェリー To:クロス
聞こえたっす。
まぁ、もうにげねぇすから、ご心配なく。

■クロス To:みんな
おーい、みんなー! ここだよー! ここにいるよー!

腹の底から出したクロスの声は森の中を響き渡り、アフル達の元までたどりついたようである。
まもなく、後続組がやってくることとなる。

後続組

話は少し戻る。

巣に残されたものは、下の様子を傍観していたが、二人が森に入ってからは何も出来ずにただただ上から眺めていた。
降りようにもロープは崖の上。フォーリングコントロールもすでに時間切れで効力を失っている。高低差50mある崖を飛び降りるわけにいかない。
時間だけは何もせずとも流れていっている。

■バーン To:メルディス
 くそっ、こうしても埒があかない。
(上を見上げ大声で)
 メルディスさん!まだ魔法は使えますか?

■アップル To:メルディス
 クロスたちを追いかけたいの〜!
 また、魔法をおねがい!

■メルディス To:バーン、アップル
分かりました!
ちょっと厳しいですが状況が状況です。
まずはそっちに向かいます!

メルディスは自分とトーイにフォーリングコントロールをかけ崖下に飛び降りた。
無事巣に着地できたメルディスはアップルにフォーリングコントロールをかける。
フォーリングコントロールがかかったのを確認してから、アップルは崖に向かって飛び出した。
■アップル To:メルディス
ありがとう、メルディス!

続いて、メルディスはソフィティアにフォーリングコントロールをかける。
精神点に限界が来つつあるメルディスはこれ以上魔法をかけられないため、アフルとバーンはソフィティアに掴まって巣から降り始めた。始めは問題なかったのだが、地上が近づき、減速に入った頃に悲劇は起こった。
■ソフィー To:バーン
ちょっと、バーンどこ触ってるのよ!

■アフル
 ソフィー、暴れたら、手が…

■バーン To:ソフィティア、アフル
 あ、ち、違うんだ(^^;;;;
 おあ゛!!

減速の為、今までほとんど感じなかった重力が1.5倍程度に増えたのだ。
ずり落ちそうになったバーンは手近にあるものに適当に掴まった。
■ソフィー
キャー、ずれる、ずれちゃう(;_;)

■アフル
ず、ずりおちる‥‥ごめんソフィー

■ソフィー
や!ま、前が〜(^^;;;;

某ずり落ちそうになる服?を必死に抑える。支えていた手が服の防衛にまわった為、状況はさらに悲惨なことになる。
■バーン
 す、すべる〜(><;;

どうやら後ろも同じ状況になったようだ……合掌。
■ソフィー
そ、そんな後ろからもなんて(手が届かないから)ムリよ〜(;_;)

残り3mのところで、何かが抜け落ちるような擬音と共に、ソフィティアにかかっていた負荷が0になった……。
落ちた二人に幸い怪我はなかったが、二人の手には先ほどまでソフィティアが身につけていた衣服が握りしめられている。
というわけで、すったもんだの末に無事(?)地面に降り立ったのであった。
■バーン
 や、やばかった…(--;;

どうやら、3m落下したことの方が怖かったらしく、手に握られているものが何であるか、まだ気づいていないようである。
まぁ、そのうち気づくであろう(笑)
■バーン
(手にあるものをじっと見る) ?………。げっ(顔面蒼白)

おそるおそるソフィティアのほうを向くバーン。
顔からは滝のような汗が出ている(笑)
■ソフィティア To:バーン
 か、か、返えして〜。 あっ、こっち向かないで〜(*T^T*)

泥沼
■バーン To:ソフィティア バーン
 わ、わ、わ、わ、わ。
(片手で目を押さえながら服を渡す)

■アフル To:ソフィティア
 あはは…、ごめん…(^^;;

■ソフィティア To:アフル&バーン
 も〜。

奪い取るように服を取り返すと、いそいそと服を履いた。
■メルディス To:トーイ
(・・・緊張感があるんだか、無いんだか(苦笑))
さぁ、トーイ。
俺達も降りよう。

魔法が効いてるうちにメルディスも崖下に到着。
■バーン To:ソフィティア、アフル、メルディス
(メルディスが華麗に降り立つのをジト目で見ながら) …俺達もあとを追いましょう。

■アフル To:メルディス
 うん、足跡が残ってると良いんだけど…

■アップル To:アフル
だめなのよ〜 私にはわからないわ〜(泣)

さっそくアフルが地面に残った足跡を追ってみるが、森に入るとすぐに見失ってしまった。
他に足跡を追跡できるものはこのパーティーにはいない。どうしたものか。
■バーン To:アフル
 くそ、駄目か。
 …アフル、木か土の精霊に俺達以外の人間がどっちのほうに走っていったか聞けないかい?
(そこでかぶりを振り)
 ……いや単純に大声を出したほうが確実かも…。よし…!
(息を大きく吸い込み)
 クロスーッ!!どこだぁ!!!

■アフル To:バーン
 うん、でも、単に大きな声よりも「通る声」じゃないと遠くには聞こえないよ。
 クロスー、聞こえたら返事してー

「ハァ〜」っと息を吸い込むと、ソフィティアも他の二人に続いた。
■ソフィティア To:クロス
 クロスー!!どこにいるのー!?

アップルもつづく。台詞は省略(笑)
 と言うわけで、ちかくにグリフィンが陣取っているにもかかわらず、一行は各々が大声を上げる。
 さすが本職と言うべきか、アフルの声だけは遠く森の奥にいるクロスの元まで届いた。が、肝心のクロスの方が方向をいまいち掴めなかったようだ。
 やむを得ず、クロスの方からも叫び返す。
■クロス To:みんな

おーい、みんなー! ここだよー! ここにいるよー!

 幸いにも上手く発生することが出来たクロスの声は森の間をくぐり抜け、なんとかバーンの耳まで届いたのであった。
■バーン To:アップルリーフ、ソフィティア、アフル、メルディス
 !?
 みんなこっちだ!

クロスの声に反応し、全速力で走り出すバーン。
■ソフィティア To:バーン
 あ、バーン一人で行っちゃ……!トーイどうするのよー!

■メルディス To:ソフィティア、ALL
いや、かまいません。
トーイも連れて行きます、追いましょう!

■アップル
クロスぅ〜〜!

アップルもあわてて追い始める。
■ソフィティア To:メルディス
 まぁ、メルディスが大丈夫だっていうなら大丈夫ね。じゃぁ、私たちも急いでいきましょう。ここではぐれたら、私たちだけじゃ次にいつ会えるかわかったものじゃないわ(^^;

同じく、ソフィティアもアップルの後を追って走り始めた。


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GM オーイシ
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