SW-PBM Scenario #61B | 目次 |
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鍾乳洞最深部 |
危険な崖を機転で簡単にクリアし、一行はさらに先を急ぐ。
ほどなく、今までほぼ下り続けていた道が急に平らになった。
■ケニ To: ALL |
もうすぐです。ファリス様の祭壇まで、もうすぐです。 |
自然と、ケニの足が速くなる。
トンネルの出口が見えてきた。明るい。何かの明かりが漏れているようだ。明かりがどんどん近くなる。静かになりかけていた水音が、再び大きくなる。ケニはほとんど小走りになって、先頭のソフィティアやアフルを追い越しそうになる。
■ソフィティア To:ケニ |
ケニちゃん。たぶんお父さん達がこの奥にいるかもしれないけど、ダークエルフもいると思うから軽はずみな行動はしないでね。もしかしたら不意打ち出来るかもしれないから。 |
■ケニ To: ソフィーさん |
はっ、はい。わかりました みんな、大丈夫かな…… |
先走りそうになるケニを止め、最後の戦いに向けて準備を行う。アスタとアトールはトランスファー・メンタルパワーでカナルに精神力を分け与える。カナルはその力を使って全員にカウンター・マジックを掛ける。
■アスタルテ To:カナル |
カナル、せっかく精神力を分けるんだから、おっきいのでドーーンとやっちゃってよ。 はずしたら切腹だからね。 |
■アトール To:ALL |
切腹はともかく、もし不意打ち出来たら最初の一撃で出来るだけ方をつけたいな。 やっぱり、魔法を使う敵はどうにも苦手だ。 |
トンネル出口のすぐ近くまで来た。すると、水が滝のように落ちる音の合間に、話し声が聞こえて来る。低く、静かだが良く通る、男性の声だ。
■男A To: ? |
ご苦労。そこを退いていただこうか? |
そして、それに応える男性の声。こちらも低いが、先程とは反対に怒りを感じる。
■男B To: 男A |
帰れ。ここは、お前達の立ち入って良い所ではない! |
押し殺したような、からかうような数人の笑い声が聞こえた。声の響きからすると、出口の向こう側はかなり広い空間のようだ。慎重に、中を覗いてみる。
そこは、まさに「祭壇」と呼ぶにふさわしい場所だった。
およそ半径 30m ほどの円形のドーム。天井までの高さはかなりある。周囲を 1 周する壁には、等間隔に松明が燃えている。
中央にまっすぐ伸びた道は、だんだん登っていき、一番奥は今いる場所よりも 3m ほど高くなっている。
その両脇にはひたひたと水が湛えらえている。その水は、ドームの奥から滝のように流れ込んでいる。流れ出る個所はよく分らないが、不思議と水深は一定に保たれているようだ。アスタルテなら潜ってしまうほど深い。
所々に、天井から床へ到達するほど大きく太い鍾乳石が下がっている。天井には、それより小規模な鍾乳石が無数に垂れ下がっている。
そして、一同からほんの 5m ほど先には、背中を向けたある集団がいた。黒いマントが 5 人、紫のマントが 1 人、そして狼が 2 頭。
一番奥には、こちらを向いた男性が 5 人。手に弓を持っている。一番左端の一人は、ケニと同じ位若い。全員人間だ。
そして、それより手前、一際大きい鍾乳石の前には、それを庇うように一人の男が立ちはだかっている。その男が言う。
■男B To: ALL |
もう一度言う。帰れ!ここは、お前達の立ち入って良い所ではない。 |
■紫のマント To: 男B |
入って良いか悪いかは、お前達が決めることではないだろう? |
再び、黒いマントの集団から忍び笑いが漏れる。背後には全く無警戒だ。
ダークエルフと思しきマントの集団が会話にウツツを抜かしている間に、作戦会議。
結果、敵が油断している隙に範囲魔法と突撃で迅速に詰めより、撃破殲滅。リーダーらしき紫色のマントを集中して落とす作戦に決まった。
冒険者達は、静かに行動を開始した。
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