| ≪ 家庭教師も命がけ ≫ |
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マッシュの部屋 |
家庭教師を引き受けることになった、マッシュの部屋の前にきたカナル。
しかし、扉をノックしても一向に返事がない。
■カナル |
留守か? (……もしくは) |
注意しながら扉を開けるカナル。瞬間、その扉に何か仕掛けがしてあるのに気づき、一瞬の判断でとびのくと、なんと先ほど立っていた場所に大きな槍が突き刺さっているのが見えた。
■マッシュ To:カナル |
おおっ!? よけた!!? ジェムやんじゃんよ〜! ………ってあれ? あんた誰? |
■カナル To:マッシュ |
ガキのいたずらにしては、手がこんでるな。 君がマッシュか? 俺は、カナルだ。この航海の間、君の家庭教師をする、と言う事になっている。 |
■マッシュ To:カナル |
………。 あ、そう。カナルね、ふ〜ん。 ジェムの代わりね、あいつ、ちっともしゃべらないからつまんなかったんだよね。 まあ、せいぜい長続きするよう頑張ってね。 |
そう返事をしたあと、興味なさそうに後ろを向くマッシュ。
■マッシュ To:独り言 |
……………まだ家庭教師代えりゃいいと思ってんのかよ、あの野郎… |
カナルにはかすかにそのような独り言が聞こえた。
■カナル |
別に、長続きする必要はないんだがな…… |
聞こえるように独り言
■マッシュ To:カナル |
………。 |
■カナル To:マッシュ |
家庭教師と言っても、何をすればいいのかな? 勉強したくないなら、それで良いぞ。 俺も、その方が楽だ。 |
■マッシュ To:カナル |
………? 勉強しなくてもいい? …おかしな家庭教師だな。 まあ、勉強教えてくれるっていっても、俺がちっとも真面目にやらないから無駄だろうけど。 …じゃ、聞くけど、カナルは何ができるんだ? |
■カナル To:マッシュ |
賭事全般だな。 |
その答えに目を輝かせるマッシュ。
■マッシュ To:カナル |
賭事…! 本で読んだことあるぞ! 渋い大人の男はみんなやっているんだよな。 ずっとこの部屋にいるから実際見たことなくってさぁ 色々、教えてくれよ! |
■カナル To:マッシュ |
うーむ……子供にゃまだ早いんだがな…… |
■マッシュ To:カナル |
何を!! 俺をそこいらの子供と一緒にするなよ!! てなわけで、俺は子供じゃない。だから、いいだろ? |
床に刺さった槍を示しながら、
■カナル To:マッシュ |
こんな悪戯するようじゃ、ガキ扱いされても仕方がないだろ。 |
■マッシュ To:カナル |
俺は、ガキは卒業しても、子供の心を忘れていないんだよ。 ちょっとした茶目っ気だよ、なあ、許してくれよ〜。それにその槍当たっても死なないし。 |
■カナル To:マッシュ |
ふむ……。 まぁ、頼まれたことでもあるし、かまわんか……。 まずは、簡単なこいつから行ってみるか? |
さっと、懐からダイスを出してマッシュに見せる。
■マッシュ To:カナル |
おっ、知ってるぞ、それ! 振らして振らしてっ!! |
カナルは出したダイスをマッシュの方に放る。
マッシュは大喜びでダイスをキャッチした。
■マッシュ To:カナル |
で、これでどうやって賭事やるんだ? |
■カナル To:マッシュ |
いいか、まずは…… |
こうして、しばしの間カナルの賭事講座が開かれた。
一般的で単純なダイスゲームを教えただけだが、マッシュにはとにかく新鮮で面白いものに感じたらしい。
■マッシュ To:カナル |
…う〜ん、なかなか勝てないなぁ…。 でも面白いぞ、これ! うん、面白い!! 船の旅中も色々教えてくれよな! |
■カナル To:マッシュ |
ああ、ぼちぼちな。 マッシュは、ずっとこの船に乗ってるのか? |
頃合を見計らってマッシュに質問をするカナル。
■マッシュ To:カナル |
ガイア? うん、知ってるよ。 でも、ちょくちょく会うわけじゃないから、よくは知らないけどね。 なんか、生意気なヤツだった、うん。 |
■カナル To:マッシュ |
確かに、そんな感じだったな……。 マッシュは、なんで船に乗ってるんだ? 親父さんが心配性なのか? |
■マッシュ To:カナル |
ん〜、よくわかんない。 なんか、ここにいた方がいいって、外に出してくんねーんだよ。 あんまり会いにもこねーくせに…。 |
■カナル To:マッシュ |
なるほど。 親父さんの跡を継ぐ気はないのか? それなら、俺に教わるより、甲板に出た方がずっとましだと思うんだがな。 |
■マッシュ To:カナル |
誰があんなヤツの後を…。 おことわりだね。 もっとも、あいつの方でも嫌がるだろうけどな。 |
■カナル To:マッシュ |
困った親子だな。 …………で、マッシュがこの船に乗ってるってことは、お袋さんは……。 |
■マッシュ To:カナル |
死んだよ、ずいぶん前だけど。3年前くらいかな? 俺もあの頃は小さかったから、お袋のことはよく覚えていないんだ。 |
■カナル To:マッシュ |
そうか、俺と似たようなもんだな。 俺の両親は、流行病であっさりと逝っちまったよ。 |
■マッシュ To:カナル |
そっか、カナルもなのか。まあ、でも別に親なんていらないよな? |
■カナル To:マッシュ |
さてね。 無ければないで構わないが、それは、親ある者の台詞だろうさ。 |
■マッシュ To:カナル |
俺はいっそ親がいないヤツの方がうらやましいけどな…。 |
■カナル To:マッシュ |
親父さんも、その事があったから、余計に手元におきたがるんじゃないか? |
■マッシュ To:カナル |
ふん、どーだか。 それに、俺にとっちゃエライ迷惑なんだよ。 |
にやにや笑ってよう。
■マッシュ To:カナル |
なんだよ〜気持ち悪いな。 ガキだと思ってなめてんだろ。 |
■カナル To:マッシュ |
実際にそうだろ? ガキじゃなく、男だって所を見せれば、少しは考え直してやるよ。 |
■マッシュ To:カナル |
男を見せろったって、こんなとこに閉じ込められてちゃ、どーすりゃいいってんだよ。 |
口を尖らせるマッシュ。
■カナル To:マッシュ |
さて、そろそろ時間のようだ。 またあとでな。 |
■マッシュ To:カナル |
……まあいいや。あんたジェムよりは話せそうな奴だからな、楽しみにして待ってるぜ。 |
にやにや笑いを浮かべるマッシュを残し、カナルは部屋をあとにした。