どんなときであろうとも依頼は唐突にやってくるものである。依頼を出しに来るものに関しても、統一性はほとんどない。 文字通り老若男女を問わずやってくるし、裕福なものが来ることも有れば貧しいものが来ることもある。
　しかし、そうしたものの傾向はある程度は決まっている。大抵は男性、年の頃は青年から中年にかけて と言ったところである。そしてたった今幸せの木の扉を開けて入ってきた人も、前述の傾向に違わぬものであった。
　年の頃は４０半ば、冒険者が持つような大きな荷物も持っていなければ、武具らしい武具も一切つけていない。これで依頼を出しに来たのでなければ 店を間違えたか、なにかであろう。

　そのものは店に入り、おやじがいることを確認すると真っ直ぐにそこへ向かった。二人はしばらくの間言葉を交わしていたが、やがてその男性は話を打ち切り店を見回し始めた。 やがてお目当てのものが見つかったか、手が空いてそうなパーティーのところに行くと早速話を切りだした。

　ちなみにその男性はスコット・ウェイ。学院内でも地位は高いが堅物で有名な賢者であった。