オラン港 |
大捕物から暫く経ったある日。
オラン港では「叡智の守護者」号の出港準備が慌ただしく始まっている。
そしてそこにふらりとゾフィーは現れた。
■ゾフィー To:見覚えのある水夫 |
お忙しいところ、ごめんあそばせ。 この船、次はどちらに向かわれますの? |
作業に行き交う水夫達の中に、目的の相手の顔を見つけたゾフィーは、すかさず声を掛けた。
■水夫 To:ゾフィー |
あら、お久しぶりですな。 乗船されるんですかい? |
■ゾフィー To:水夫 |
そうね、事務所で伺ったところ、乗客枠に空きがあるとのことでしたし。 間に合うようでしたら、お願いできまして。 手続きの場所を教えていただければ、自分でまいりますから。 |
■水夫 To:ゾフィー |
今度は西方に向かいますよ。目指すはガルガライスです。 乗船手続きは主計長の管轄ですな。 甲板に上がって船室に入ってすぐの所に居ますんで。 それじゃ、あっしは準備があるんで。 |
水夫は慌ただしく去って行った。
■ゾフィー To:水夫>つぶやき |
わかりました、ありがとうございます。 西方ね、いろいろ見応えはありそうですけれども。 |
右眉を小さく動かすと、ゾフィーはすたすたと甲板に上がる。
上がったところで、オランの街を振り返った。
■ゾフィー To:つぶやき |
ま、世界を広げてくれたことには感謝しておきましょうか。 にんげん、いくつになっても遅すぎることはございませんわね。 |
行き交うカモメ、そしてその向こうに横たわる石造りの街並みを眺めながら、己が口元に浮かべていた笑みに気がついたゾフィー。
紫づくめのドワーフは、その笑みをを苦笑いに変えつつ、主計長を探しに教えられた船室へと降りていった。
入ってすぐ、「主計長室」と共通語で書かれたプレートが掲げられた扉が見えた。
おそらくここに主計長が居るに違いない。
■ゾフィー To:室内 |
ごめんくださいませ。 乗客として西方行を希望するものですけれども。 乗船手続きをお願いできまして? |
軽く扉を叩きながら、ゾフィーは室内に声をかける。
■主計長 To:ゾフィー |
入って来てください。鍵は掛かっていません。 幸い、まだ乗客に空きはありますよ。 |
中から声が聞こえる。
ゾフィーは扉を開け、「主計長室」に足を踏み入れた。
■主計長 To:ゾフィー |
いらっしゃい。 申し訳ないが、一等船室と二等船室しかこの船にはありません。 一等は個室で500ガメル、二等は10人の共通部屋で200ガメルになります。 幸い、どちらにも空きはありますよ。 |
■ゾフィー To:主計長 |
個室で500ガメルですか。 どちらまでの代金になるのかしら。 |
■主計長 To:ゾフィー |
おっと、詳しく説明しますと、500ガメルは終点のガルガライスまでの値段です。 途中二回の寄港を予定しています。エレミア領内とロマール領内ですね。 エレミアまでなら150ガメル、ロマールまでなら300ガメルとなります。 共通部屋なら、それぞれ50ガメル、100ガメルですね。 |
■ゾフィー To:主計長 |
なるほど、ちなみに日数はどれほどのご予定です? もちろん、天候次第というのは重々承知しておりますけれども。 航海日数と停泊日数との大まかな計画を伺ってもよろしくて? |