#178 星から降る夢

☆ 〜Die Folgen〜 星から降る夢 ☆

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【第34繭洞:居住地区】


■子どもの声 To:父親?
それで?とうさん!
それからどうなったの?!

■父親 To:子ども
うーん、あれは…次の日、なんだろうな。
ヤマの混乱が、すこしだけ落ち着いた頃。
知らせが届いたんだ。

■子ども To:父親
シラセ…?

■父親 To:子ども
伝言…そうだなぁ、門番たちが教えてくれたんだ。
消えてなくなったはずの「第16地区」と「第46居住区」とが見つかったってな。

■子ども To:父親
でも、それっておそらにとんでいっちゃったんでしょう?

■父親 To:子ども
そうなんだ。
ところが、夜中、谷の門番たちが、大きな音を聞いたんだ。
続けてふたつ。
みんなで大慌てで探したら、山の向こうの大きな窪地に、大きなおおきな、もっと大きな岩の塊がみつかった。
中に居たはずのひとたちも、全員そのまま、おおきなあくびをしながら起きてきたんだとさ。

■子ども To:父親
つうろでねちゃっていたこどもも?

■父親 To:子ども
あ、ああ……あの子ね。
ははっ、ちゃんと起きたよ、大丈夫だ。

■子ども To:父親
よかったーっ!
じゃあ、だれもしななかったんだね!

■父親 To:子ども
そうだよ、よかったな。
だけど、トカゲの大臣と、彼のお付きの家来とは、二度と戻ってこなかった。

■子ども To:父親
え?
やっぱりしんじゃったの…?

■父親 To:子ども
違うよ。
出ていったんだ。
おそらくそれが、彼なりのけじめだっだんだろう。

■子ども To:父親
ねえねえ、ケジメってなあに?

■父親 To:子ども
あ、うーんと、そうだな。
きまりを守るってところかな。

■子ども To:父親
きまりをまもって……でていったの?
わるいやつ……だったから?

■父親 To:子ども
どうなんだろうな。
本当に悪い奴だったら、きまりを守ると思うかい?

■子ども To:父親
うーん、よくわかんないっ!

もっと、「ぼうけんしゃ」のはなしをしてよ。
わるいいやつをばったばったとやっつけるはなしー!!。

■父親 To:子ども
はははっ、そうだな。
では、こんな話はどうだい。

ドワーフ族の剣の使い手、ファイヤードレイクの物語だ。
銀の鎧に伝説のつるぎ、盾をふたつ軽々と振り回し、石壁すらも打ち崩す。

彼が旅に出たのは、そう、さっき話したね。
空から街が降ってきてから20年後のことさ。
まずは「剣聖」を探そうと……。

空に舞い上がる街。

いったい誰が、なんの為に、この地にそれを作ったのか。
そしてあの日、街を降らせたのは、誰の、どんな思いであったのか。
それを知るため、親友は旅に出た。
彼からの便りに思いを馳せつつ、父親は語る。

かつて、ドワーフ達は、まだ見ぬ星に憧れた。
この子らは、本物の星を見上げ、どのような夢を持つのだろう。
ヤマを離れた者達に、どんな道を示すのだろう。

心の内を見つめるように、窓の向こうで星々が、今宵も静かに瞬き始めていた。


Sein heisst Werden, Leben heisst Lernen.
Das Ende

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