#162 探索は潮風の香り

6-1a 魔術師の書斎

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遺跡内部:魔術師の書斎
水槽の部屋での戦闘が終わっても、スキュラは相変わらず優雅に水中を泳いでいるだけだった。
ニアリースは石像には触らない様判断し、奥を目指すことにした。
カトリーとニコラスを先頭にして、南の扉から先を目指す。
南の扉の先は、ガラスの様な物で両側を仕切られ、そこには恐らく魔術師が集めたであろう海棲生物の標本が飾られていた。
見ていてあまり気持ちの良いものでは無かった為、冒険者たちは先を急いだ。
この通路は豪華に飾られた扉で終わっており、そこの扉を開けると、そこは魔術師の書斎だった。
■ニアリース To:
まあ……これだけの書斎がまだ手付かずで残っているなんて!
学院としてはこれだけで十分満足ですわ。

■カトリー To:ニアリース>ALL
生憎と、うちはそういう訳には行かないんでね。
ちょっと調べさせて貰うぜ。

■ジン To:カトリー、ニアリース>ALL
そうだな。一応罠が無いか警戒しておいた方がいい。
さっきのスキュラも気になるし。

念の為、ジンもセンスオーラで部屋内を警戒する。
しかし、特に不振な精霊力の動きは無かった。
■ウーサー To:ジン、ALL
スキュラと言やあ……結局あの美人さん、向こうから仕掛けてくるような素振りは見せなかったな。
……なあ。
オレ様が此処にいたって調査の足しにはならねぇだろうから、ちょいとあの美人さんに、話をして来てみてぇんだが良いかい?
もっとも共通語と西方語があの美人さんに通じるかってのは……ちょいと問題ありそうな気もするからなぁ、下位古代語が話せるヤツにも付き合ってもらいてぇところだが。

■ニアリース To:ウーサー
ウーサーさん、スキュラは精霊語で話します。
なので、ジンさんかゼファルディートさんに頼めば良いと思いますよ。
わたしはここの調査をしますので、そちらはお任せします。

■ウーサー To:ニアリース
おお、そういやあ精霊魔法使うとかなんとかそんな事、誰か言ってたっけか?

■ジン To:ニアリース、ウーサー
まあ、相手に話す気があればの話だがな。
じゃあ俺も行こう。ここの調査は俺には不向きだ。

■ウーサー To:ジン
おお、有難うよ旦那。すまねぇが、宜しく頼むぜ!

ジンの通訳を得てウーサーは、水槽越しにスキュラを見つめながら、とりあえず片言だけでも通じるかもしれないと考えて、可能なかぎりはっきりとした発音で語りかけてみた。
■ウーサー To:スキュラ
よう、別嬪さん。オレ様はウーサー・ザンバード。見ての通りの重剣士……とはいえ修行不足でな。
さっきは確実に当てて行きたくなっちまって、ついついモールなんか使っちまったがよ。

なあ、オレ様とちょいと、お喋りしちゃあくれねぇかい?
たとえば、そうだなぁ…あんたみたいな美人さんが、どうしてこんな所で籠の鳥やってんのか、とかよ。

既に収めていた武器には手を触れず、無防備な体で気さくに話しかける。
目の前のモンスターと遺跡との関連性が気になっているのも事実だが、
「スキュラを口説き落とせたら、そりゃあ英雄譚的じゃあないか?」的な興味もあり、
さらには
「美人ならちょっと『他人と違う』のなんて『個性のうち』だぜ!」的な浪漫が、最も大きなウェイトを占めていたりする。
■スキュラ To:ウーサー
(以下ジンが通訳したとして、同時通訳でお送りします)
あらぁ、人間がここに来るなんで何年ぶりかしらぁ。
あたしも退屈してたし、話し相手にはなってあ・げ・る。

ここに居る理由なんだけど、ここの魔術師に捕まって飼われてるのが正しいのかな?
まあ……餌を摂らなくても生きていけるようにして貰ったのは嬉しいんだけど、退屈で退屈で。
あたしを褒めても何も出ないけど、知ってる事なら何でもおしえてあげるわ。

■ウーサー To:スキュラ
(ジン通訳を介して、お送りしております)じゃあとりあえず、別嬪さんの名前が聞きてぇな。
いやオレ様は別に「別嬪さん」で構わねぇんだが、『水の精霊は嫉妬深い』なんて言うだろ?
水難になんぞ当たっちまったらオレ様は一発でアウトだからよ、他の呼び方をさせてほしい訳だよ。

■スキュラ To:ウーサー
うーん、ごめんなさい。名前なんてそもそも無いわ。
どうしても呼びたいならあなたの好きに呼んで頂戴。

■ウーサー To:スキュラ
なあ、この場所ってなぁ、いったい全体なんなんだ?
此処に来る途中までは、やたらと石像が突っ立ってるしよ。来てみりゃあ、今度はデーモンが襲ってきやがったしよ。

■スキュラ To:ウーサー
ここは、魔術師の研究所。石像は飼い主の趣味よ。
あの悪魔みたいなのは、ここの番人ね。
あと、あれはデーモンじゃなくて「アザー・ビースト」よ。

■ウーサー To:スキュラ
ところで、どうしてこんな所に閉じ込められてたんだ?
其処から出たりはできねぇのか? 仮に出してやれたとしたら、やっぱりその「飯を食わなくても生きていける」魔法ってのは解けちまうのか?
餌は人肉オンリーです、とかって言うんじゃなければよ、ハナシと条件次第じゃあ其処から出るのに、協力してやってもいいんだぜ?

■スキュラ To:ウーサー
閉じ込められてるって言うか、飼われてるのが正解かな。
ここの持ち主の魔術師の趣味と思うんだけど。
それに、ここの壁は精霊魔法を遮断するから、あたしは何も出来ないのよね。
あー、あとあたし、この水槽から出たら凶暴化して手当たり次第に侵入者に襲い掛かるように呪いを掛けられてるのよね。
なんで、このままそっとしておいてくれた方が嬉しいかな。
この部屋に来るまでの部屋にあった石像、回ったでしょ?
あれのどれか一つでも回すと、ここのガラスが引っ込んで、部屋が水浸しになるのよ。
で、あたしは凶暴化して侵入者をアザー・ビーストと一緒に攻撃すると。
どうやらあなた達は慎重だったみたいね。

■ジン To:スキュラ
ふむ。一般にスキュラとは邪悪とされる。
もしかしたら、今のこの状態が呪われた状態なのかもしれな。
どうなんだ、この檻から出たいとは思わないのか?
我々は、危険の無いよう、この遺跡を埋め立ててしまうかもしれんぞ?

■スキュラ To:ジン
外から入れない様にするならそれでもいいわ。
どうせこれまで500年位誰も来なかったのですもの。
話し相手が居た方がそりゃあ楽しいけど、あたしにはあなたたちの行動を制限できないし。
それに、暇な時は眠っていればあっという間に時間が過ぎるしね。
また100年くらい眠っておこうかしら。
案外籠の鳥っていうのも悪くない物よ。

一方その頃、書斎に残った面々は部屋の捜索を行っていた。
ケットは書斎の引き出しなどを調べ、小さめの魔晶石を二個見つけた。
それ以外にも、幾つか小ぶりの宝石を発見することが出来た。
■ケット To:残ったメンバー
小さいけど魔晶石が2個と、宝石が少々てところかな。

部屋の隅でごそごそやっていたカトリーは……。
■カトリー To:残ったメンバー
おお! こりゃ結構大量だぜ。
ほら、ここのチェストに宝石がざくざく入ってるよ。

そういって、見えにくいように隠してあったチェストを持って来た。
中には彼女の言うとおり、宝石が10〜20個程度納められていた。
■ケット To:カトリー
うわぁ、大漁だね!

■ニアリース To:残ったメンバー
残っている文献もよく保存されている物ばかりです。
学院としても最高の資料が手に入ったと言えますね。
これも皆さんのお陰です。ありがとうございます。

報酬についてはオランに帰ってから、改めて銀の網亭でお渡しすることになります。
さあ、暫く忙しくなりそう。


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GM:teshima