13a 箱舟の艦橋
骨の回廊を抜け、尖塔への螺旋階段上り、尖塔の登頂を目指す一行。
ついに登頂へといたり、その両開きの扉を開くと、中は、お椀をかぶせたようなドーム型の室内だった。
周囲半分の壁は、極めて透明度の高いガラスが張られている。
どうやら外は嵐のようだ。かなり強い雨風がガラスに叩きつけられている。
| ■カラレナ To:ALL |
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嵐…ですね。 何だか時代が違うっていうだけで、すごく恐ろしいものに感じます…。 |
身を小さくして、自らの肩を抱いた。
| ■シグナス To:カラレナ |
| そうか?俺はあんま実感湧いてねえんだが……鈍いんかね? |
| ■カラレナ To:シグナス |
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い、いえ。 シグナスさんらしいかも。 |
| ■シグナス To:カラレナ |
| ……どうせ俺は空気読みませんよぅーだ。 |
| ■カラレナ To:シグナス |
| あ、そうじゃなくて、まいぺーす……あっ(^^; |
フォローになっていないことに気づいた(笑)
| ■アビィ To:シグナス&カラレナ |
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まあまあ、ふたりとも漫才はそのへんにして……。 空気……といえば、今後の天の気の変化でも読んでみるか? |
そう言いながら、アビィはガラスのドーム越しに目を凝らした。
| ■アビィ To:ALL |
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この強風なのに、雲は動く気配がない…当分はこの荒天が続きそうだな。 しかしこの視界は素晴らしい、すべてガラスなのか。 おまけに綺麗に湾曲している、実に見事な技術だ。 この技ひとつ取っても、我々の時代に再現できれば相当な財産になるのだがな。 この嵐にも、びくともしないとは……。 |
ガラスと壁のつなぎ目に近づき、興味深く観察するアビィ。
| ■ヘキサ To:アビィ |
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もしかしたら、強化の魔法がかかってるのかもね。 普段なら、ゆっくり鑑賞するところなんだけど…… |
| ■リールォン To:ALL |
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ガラス自体が僕たちの時代では珍しいものですからね。 ほとほと、古代魔法王国の技術力、魔法力の高さには唸るほかないですね。 |
| ■シグナス To:ヘキサ、ALL |
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これが古代王国時代の力顕在なら、平気で全体に掛かってんだろうなあ……。 なんか拾って持って帰るか?魔晶石くらい落っこちてそうだし。 |
| ■カラレナ To:シグナス |
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ありそうですけど……持って帰るのは危ないんじゃ…… この時代で使い果たす分には、大丈夫そうですけどね(^^; |
| ■シグナス To:カラレナ |
| ぶっちゃけると、危ないも何も解らんのが正直な所だなあ。弄りには来てるんだし。 |
背もたれの大きな一人掛けのソファーのようなものが並ぶ中、一際異彩を放つのは、中央の円卓の上に突き立つ黒い石版。
埃塗れの周囲とは違い、今まで磨いていたかのように黒光りしている。
すかさずギュネイが駆け寄っていく。
| ■ギュネイ To:ALL |
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あった・・・遂にみつけた! ・・・機関室のと同じタイプ。これなら、操作できるかもしれんぞ! |
| ■カラレナ To:ギュネイ |
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あ、あの、操作ってどの程度までできるんでしょうか? この箱船を動かすだけですか? それとも、箱船内の骸骨たちを制御したり、さっきの大鎧に命令を与えたりということもできるんでしょうか? |
| ■ギュネイ To:カラレナ、ALL |
| 時間をかけて調べればあるいは、な。 |
| ■カラレナ To:ギュネイ |
| ほんとですか? わぁ…… |
期待に表情が明るくなる。
| ■シグナス To:ALL |
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……今一、掛けれる時間が解り辛いな。急いだ方が良さそうなんだが……。 どーせ時代違うんだよなあぁ。 |
| ■ヘキサ To:シグナス |
| ここで時間をかけても、元の時代で同じだけの時間が流れてるかもわからないし…… |
| ■カラレナ To:ギュネイ |
| この石版を使って、ええと…この時代の鏡の位置を割り出すことってできそうですか? |
| ■ギュネイ To:カラレナ |
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石版はブレアの設備に対する指令が出せるものを思って良いだろう。 使い方によっては、鏡を探し出すこともできるかもしれんな。 |
| ■アビィ To:ギュネイ |
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具体的に、今はいつなのかおわかりになるだろうか? あと、ここにいるべきはずのこの時代の住人は、今どうなっているのかもだ。 |
| ■ギュネイ To:アビィ、ALL |
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まあまあ。操作できるといっても古代王国人のようにはいかない。 調べるにも時間がかかる。 さて、何から手をつければいいものか・・・ |
| ■カラレナ To:ギュネイ&従者 |
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あの、鏡が何らかの力で移動されていない限りは、いまこの時代にある場所で、未来にギュネイさんの調査団が発見した…ってことですよね。 その部屋ってご存じですか? 確か、ナナイさんのボーンコレクターでないと開かない場所にあったんですよね? |
ギュネイと従者の顔を見て、たずねる。
| ■ギュネイ To:カラレナ>レプラン |
| 私は知らないが・・・レプラン、きみはどうだ? |
| ■レプラン To:ギュネイ、カラレナ |
| 一応わかりますよ。確かに、ナナイさんじゃないと開けられませんでしたね。 |
| ■カラレナ To:ギュネイ&レプラン |
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そうですか……。 あの、マナイさんのボーンコレクター…の頭じゃ代用は無理でしょうか? やっぱりこれも、マナイさんが持っていないと意味がないとか…… |
| ■ギュネイ To:カラレナ |
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この状態のボーンコレクターでは代用は無理だな。 せめて、サーバントの状態であれば命令を下せたんだが・・・ |
| ■リールォン To:ギュネイ、ALL |
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まあ、無い物ねだりしても、話は進まないですからね。 今できることをみんなで考えましょう。 |
| ■アビィ To:ALL>ギュネイ |
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この場所が、我々のいた時代には崩れ去っているということが気になる。 崩壊の兆候などが表示されていないとよいのだが……いや、示されたほうがかえって安心というべきかな。 ギュネイ殿、実際のところいかがだろう? |
| ■ギュネイ To:アビィ |
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詳しく調べてみるかい? さっきの広間で聞いた上位古代語、あれは緊急事態後の復帰に関するアナウンスだ。 まだ原因はわからんが、このブレアはかなり損害を被っているんじゃないだろうか。 |
| ■ヘキサ To:ALL |
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外部からの破壊か、内部からの破壊か。 どちらにしても、魔法強化された古代王国期の建造物を破壊できるほどの何かとなると……ぞっとするよ。 この尖塔が残ってるってことは、まだ損害は拡大するって事だろうけど…… |
| ■シグナス To:ヘキサ |
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多分、相手が同じレベルなんだろ。戦闘中とかなら、なんだが。 ……だったら最悪だな。 |
| ■リールォン To:シグナス |
| 僕たちの時代ですら、あれだけのガーディアンがいたんですから、時代が古ければ古いほど、生きている機能はよりよい形で残っているでしょうね……。 |
| ■アビィ To:ヘキサ&ALL |
| 先ほどみた限りほかの場所はともかく、ここに関してはとくに強化されているというわけではなさそうだぞ。 |
指先を壁の石組みにそわせ、あたりを付けたアビィは、掌中に取り出した銀のダガーをその隙間に滑り込ませてみせた。
刃先は抵抗なく柄まで入り込んでいく。
| ■ヘキサ To:アビィ |
| ほんとだ。 |
| ■アビィ To:ALL |
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我々の時代のオランにある、普通の石組みと変わらぬようだ。 落雷や大きな揺れのような衝撃がくれば、ひとたまりもないだろう。 |
引き抜かれた短剣は、アビィが肩をすくめたときにはもう姿を消していた。
| ■カラレナ To:アビィ |
| (わ。す、すごい……手品?) |
アビィの手を見て目を丸くする。田舎者にはわからない技だった。
| ■シグナス To:アビィ、ALL |
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っつー事は魔法切れが始まってる時期って事か。 逆に、こっちで弄れる事も増えてるかも知れない。……って考えりゃ楽にはなるな。少しだけ。 |
| ■アビィ To:シグナス&ALL |
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なにをするにせよ、あまり時間は残っていないかもしれぬ。 住人がすでにすっかり姿を消しているようなのも気になる。 ここが崩れるのが先か、都市が水没するのが先か……といったところか。 |
| ■ヘキサ To:アビィ |
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そういえば、ここに来るまでに人には遭わなかったね。 無限の魔力を失った、魔法王国期の末期…… 人がいなくなったから水都が動きを止めたのか、機能が停止することを見越して人が離れたのか…… |