11c 時魔神の鏡 その3

ゆっくりと跪くと、冷たくなったナナイの手を握り締め、肩を震わせ始めるマイス。
ギュネイもその横に跪き、マイスの肩を強く掴み何度も首を振る。
一方、状態を整えつつも、調べていた男達の遺体から離れると、アビィはヘキサの側に近づいて、そっとその背に手を置いた。
■アビィ To:ヘキサ
ヘキサ殿………。
彼女らが成そうとしていたことを果たして……その後、ゆっくりと偲ぼう。

■ヘキサ
……うっ……ぐっ……う、くっ……

アビィの言葉にも顔をあげることが出来ず、ヘキサは低い嗚咽を漏らし続ける。

そんなヘキサにかすかにうらやむような視線を向け、その場を離れたアビィはふたりの女性の側に膝をつき、遺体に静かに手を伸ばした。
やさしく触れた、その動きが急に止まる。
■アビィ To:
…………?
…変だな。

■シグナス To:アビィ
ん……どうした?

アビィの様子に、シグナスも遺体の様子を見に向かった。
■アビィ To:シグナス&ALL
先の男性達の遺体は、亡くなって間もない……1時間以内というのがわかったが…。
彼女らの様子はどうも違うようだ、具体的にどこがと言われると、なんとも言えないところなのだが。
これをどう思われる?

■マーキュリー To:アビィ&ALL
彼女達の様子は少し違うんですか・・・

■シグナス To:アビィ、ALL
いや、俺の見た感じじゃ様子が違う、とかは解らねえ。
解らねえけど……少し、引っ掛かるな。死んでから少し、時間が経って見える。
これじゃ彼女達が死んで……今までずっと、戦闘が続いてたって事になるんじゃねえか?

■カラレナ To:シグナス&ALL
私たちが、もっと早く来ていれば……。

マントの裾を強く握ってうつむく。
■カラレナ To:ヘキサ
(ヘキサさん……。)

声をかけることができずに、じっとヘキサの背中を見つめた。
■シグナス To:ヘキサ
俺は彼女等と面識ねえから、あまり深くは言えねえけどな……仕方ねえよ。
それでも、外の連中にさっきの奴だって助けれたんだ……哀しいとは思うけど、今はまだ、悔いるモンじゃねえ。
まだ、先はあるしな……残った連中、守ろうぜ?

■ギュネイ To:レプラン(従者)
・・・レプラン、彼らはこの鏡で石版の場所を特定できたのかね?

■レプラン To:ギュネイ
ええ、見つけました。でも・・・
我々が遺跡の侵入に使っている尖塔ですが、その先端が物見台というか、指揮官の指揮所だったようです。
そこに石版が使われていた記録を見つけたんですが・・・

■ギュネイ To:レプラン
既に崩れて無くなっている・・・か。くそっ!

■シグナス To:レプラン
……レプランさん、だっけ?
すまないけど、少し教えて貰えないか?
今聞くのも何なんだが……彼女らと大鎧の戦い、もう少し詳しく話して欲しいんだ。

■レプラン To:シグナス、ALL
ほとんど一方的な戦いでしたよ。
頼みのナナイ達は、惚けたように突っ立って・・・真っ先に大鎧にやられました。
僕達はしばらく逃げ回ってたんですが、どうしても扉の施錠が解除できなくて。
その間に次々と仲間が大鎧にやられていって・・・

■シグナス To:
……そうか、奥からやられて……そこからか。どうしようも、ねえなそりゃあ。

■カラレナ To:レプラン
惚けたように…ですか。いったいどうして…。

■レプラン To:カラレナ
わかりません。
でも、少なくとも大鎧に怯えて立ちすくんだというわけじゃないです。
大鎧が動き出す前にそうなったんですから。

■アビィ To:ALL
この部屋の要が、あの鏡だったのなら、結果的に大鎧がそれを破壊してしまう形になったことが気になるといえば気になるのだが。
結局大鎧に与えられた命令は、侵入者を排除せよということだけだったということなのかな。

部屋の向こうにそびえる鏡に目を向けながら、考え込むアビィである。
■アビィ To:ギュネイ
ギュネイ殿、石版というのは、まだほかにも存在する可能性があるのか?
鏡面がこわれた今も、あれを用いてその存在を探求することは可能なのだろうか。

■ギュネイ To:アビィ
可能性が無いとは言えんが手がかりがない。
今はこの壊れた鏡だけが頼りだ。なんとも心もとないがな・・・

■シグナス To:ALL
……だめだ、やっぱり。さっぱり解らねえ。
精霊力があるってのは、俺にも解るんだが……。

■カラレナ To:シグナス
そうですか…。ありがとうございます。

■アビィ To:ギュネイ&ALL
鏡か……どこまでも深く広がっているような黒い空間とおっしゃられていたな。
ならばわたしが見てこよう、答えが見つかるかどうかはわからぬが…。

軽く肩をすくめると、広場を横切り、アビィは鏡を調べに向かった。
■カラレナ To:ALL
あっ、そっか……アビィさんなら暗闇を見通せるんですよね。

祈るような目でアビィの背中を見ている。
■シグナス To:アビィ
ああ、そうか。姐さんなら普通に見えるのか。

■マーキュリー To:ギュネイ&レプラン
ちょっと思ったんですけど…
鏡は壊れてしまってますけど、まだ縁は残ってるし得体のしれない力が働いてるんですよね?
鏡の縁の変な文様は調べてみましたか?
あと、鏡自体が動力炉の内圧上昇の原因になってるってことは考えられませんかね?

■ギュネイ To:マーキュリー
見てのとおり普通の状態じゃなからね。
何らかの魔力は働いているだろう。
鏡の縁は以前調べた限りでは出所不明のものだ。
遺跡が暴走をはじめた時は、誰も鏡に近づいていないからね。
おそらく関連性はないと思うよ。