11b 時魔神の鏡 その2

大広間の奥には悲惨な光景が広がっていた。
床の血溜りには3人の男達が倒れており、微動だにしていない。
さらにその奥には、あばら骨が大きくひしゃげたボーンコレクターが横たわっている。
傍らにはやはり大きな血溜りがあり、よく似た二人の女性が倒れている。
■マイス  To:
・・・

言葉も無く歩み寄り、女性の傍らに呆然と立ち尽くすマイス
■ヘキサ To:マナイ&ナナイ
――ッ!
マナイさん! ナナイさん!

マイスとは対象的に、叫びながら二人に駆け寄り、傍らに膝をついた。
二人の女性は生者とは思えないほど白く変色している。
目は閉じられていない。死亡しているとみて間違いないだろう。
■ヘキサ
あ、ああ……ああああ……
ああああぁぁぁぁぁぁッ!!

慟哭が、響きわたった。
■アビィ To:
……ガネード様…。

マイスとヘキサに遅れること数歩、光景を目の当たりにしたアビィの身体が一瞬ぐらりとゆれた。
その顔面が蒼白なのは、完治していない傷のせいばかりではない。
深呼吸をひとつして感情を沈めると、アビィは3人の男達の様子を見に近づいていった 。
いずれの男達も、全身血に塗れておりひどい状態だ。
呼吸ひとつしていない。
全員死亡しているようだ。
■カラレナ To:ALL
……そ、そんな……

従者に手を貸しながらゆっくりと歩いてきたが、その場の光景を見た瞬間、へたりこんだ。
■シグナス
……チッ……間に合わなかったか……?クソが。

舌打ちを挟み、数回深く呼吸をするシグナス。小さく胸元で聖印を切り、表情を引き締めた。
■リールォン To:ALL
……そんな、ナナイさん。

目の前に広がる光景に呆然と立ちすくむリールォン。その頬には静かに一筋の涙が伝う。
■リールォン To:ALL
……大いなる幸運を司どりし神よ、彼のものたちに訪れた最後の不幸を浄化し、安らかなる眠りをもたらさらんことを。

聖印を握りしめ、深い悲しみと後悔を押し殺して、静かに幸運神に祈りを捧げる。
■シグナス To:ALL
泣いてる暇は、無さそうだ。
……調べれるだけ調べよう、まだ外の骨も止まってねえだろうし。

■カラレナ To:シグナス
……。はい。

■アビィ To:シグナス&ALL
……せねばならぬことは動力炉の回復、か。
黒い石版を見つけなければならないな。
鏡の方になにか手がかりはなかったか?

■シグナス To:アビィ
いや、新しい事はなにも……。
聞いたとおりに、映ってるモンがおかしいってのはあるんだが。

■カラレナ To:アビィ
…鏡面が割れて、黒い面が……
いえ、黒い空間が見えていました。どこまでも深く広がっているような……。
闇の精霊の気配は感じるんですが……別に変わった様子もなかったです。
ギュネイさんも、調べないとよくわからないと……。

ゆっくりと立ち上がって、震える声で説明する。
それからもう一度部屋全体をセンス・オーラしてみるが、特に変わったところはなかった。
■カラレナ To:ギュネイ
…あの、ここでしばらく鏡を調べてもらったら、何かわかりそうでしょうか?

■ギュネイ To:カラレナ
どうかな・・・案外、ただ壊れて魔力が暴走しているだけかもしれんが・・・。

■カラレナ To:ギュネイ
魔力が暴走…ですか……?

■ギュネイ To:カラレナ
「過去知」の能力なんてかなりの魔力が必要なはずだからね。
鏡が割れたくらいじゃあ、魔力が失われないのかもしれん。

■シグナス To:ギュネイ。カラレナ
一応、調べ直してみるか?俺で解る事が……あるかは怪しいけど。

■カラレナ To:シグナス
…はい、お願いします。