07a ギュネイとの再会
気付けば、遺跡はほとんど振動を感じないまま動き出ていた。周囲の風景はほぼ闇というなか、激しい水音が聞こえなければ、遺跡が水面を移動していることにも気付かなかったかもしれない。
■カラレナ To:ALL |
す、すごい音……。 動いてる……んですよね? |
不安げにあたりを見回す。水音に気がついたアビィは、甲板の端にまで移動し下を見下ろした。
闇を見通すその目で、オウルの船の安全と激しい水音の正体とを確認した。
指示を受けていたオウルは、いち早く船を離脱させていたようだ。
大きな波に揺られながら、ゆっくりとオウルの船が離れていく。
■アビィ To:カラレナ&ALL |
ああ、動いているようだな、かなり大きな波が起きているぞ。 よかった、オウル殿の船も無事だ。 ……そういえば、合図を送らなければならないな、どなたか明かりをお貸しいただけないだろうか。 |
■カラレナ To:アビィ |
あ、じゃあこれを。 |
カラレナは「ライト」が施されたダガーを抜いて、柄をアビィのほうへ差し出す。
■アビィ To:カラレナ |
かたじけない。 |
ゆっくり動く船に向かって、アビィは大きく明かりを動かしてみせた。
光がぐるぐるまわる、20人が乗れるだけの船の手配をしてきてほしいという合図である。
オウルの船から、1回明かりが明滅して船が離れていく。それを確認すると、アビィは軽く頭を下げつつ、カラレナにダガーを返した。
■シグナス To:ギュネイ |
どうも、初めまして。シグナスって言います。 仕事の依頼と直接接点は無いけど、アビィ達とは縁が合ったんで一緒に来ました。 一応、古代語の魔術師なんで役には……まあ、どうにか多分大丈夫ですんで宜しく。 |
■カラレナ To:ギュネイ&男達 |
えっと、初めまして。カラレナ・ターベスターン・エクレールって言います。精霊使いです。 以前導師にお世話になった、あん……いえ、ギャルム・ターベスターンの妹です。 |
ぺこりとお辞儀。
■ギュネイ To:シグナス、カラレナ |
やあ。はじめまして、よろしく。 私が調査隊の代表のギュネイ・アースだ。 ギャルムくんは引退したのかい?まだ若いと思ったが・・・ |
■カラレナ To:ギュネイ |
いえ、その……故郷に帰ったんです。 これからは故郷のギルドの、情報関係の仕事に専念するそうです。 兄から、「水都の調査に協力できなくてすまない」と……。 えっと、私では力不足ですけど、せ、精いっぱい頑張りますっ。 |
急にプレッシャーを感じたのか、緊張気味にぺこぺこ。
■マーキュリー To:ギュネイ、マイス |
アースさん、お久しぶりです♪ マイスさんも♪ 以前お世話になったマーキュリーです♪ とりあえずご無事なようで良かった♪(^^) |
■ギュネイ To:マーキュリー |
心配をかけてしまったようだな。 君達を招待するどころか助けに来てもらうことになってしまうとは。 |
■リールォン To:ギュネイ |
ゴブサタしております、ギュネイさん。 いよいよこの水上都市の謎が解明されるかもってコトで、また参加させてもらいました。 もっとも、結構大変な状況になってますケドね(苦笑) でも、最大限協力させてもらいますから、改めてお願いしますね。 |
■アビィ To:ギュネイ&ALL |
今、我々を運んできてくれたオウル殿の船に合図を送った。 遺跡のこの位置に、20人が乗れるだけの船を手配していただけるようにな。 移動先は研究所で調べていただくようにお願いしてある。 ここから村まで戻り、手配や準備もあるだろうから約1日ほどはかかりそうだが……。 先ほどばらばらとおっしゃられたが、他の方々がおられる場所はおわかりか? |
■ギュネイ To:ALL |
ナナイとマナイ達8人は遺跡内を探索中だ。 まだ戻っていない。 船に残した4人の船員は、船が沈んでしまったが、なんとか無事逃げ延びたようだ。 |
■アビィ To:ギュネイ |
とりあえず、その4人の身は安全なのか? 湖上に脱出できたのではなく、このあたりにいるならば、先に合流を図ったほうがよいだろうしな。 |
■ギュネイ To:アビィ |
岸が近かったからおそらく助かっていると思う。 ただ、もうかなり移動してるから無事かどうかは確かめられん。 |
■リールォン To:ギュネイ、ALL |
何事もなく、無事でいてくれたらいいんですが…… とにかく、こちらも出来ることをやっていかないといけませんね。 |
■シグナス To:ギュネイ、ALL |
……さっき、防衛機能が復活とか言ってたけど、まさかアンデッドが? 何にしても早いとこ合流したいってのは、俺も賛成。 あと、船が沈んだって、何でですか? 俺等、迎えの船頼んでるんで、やばいようなら何か合図か連絡入れねえと……。 |
■ギュネイ To:シグナス |
ああ。遺跡を航行させる為の準備作業が影響したのかもしれん。 船は遺跡が動き出した際の余波で遺跡と衝突してしまったんだ。 |
■マーキュリー To:ギュネイ |
アンデッドはスケルトンだけでしたか? 他の種類もいましたか? |
■ギュネイ To:シグナス |
今のところ、スケルトンだけだが、なにせ数が多い。 しかも神出鬼没だ。 包囲されて、強行突破が精一杯だったよ。 |
■リールォン To:ギュネイ、ALL |
素朴な疑問なんですケド、スケルトンの供給源になる骨はどこにあるんでしょう? これだけ多くのスケルトンが出現するってコトはそれだけの人が遺体が必要となるワケで…… 神に仕える身としては、スケルトンの発生源そのものも野放しにはしたくないところです。 |
■ギュネイ To:リールォン |
それだけ、このブレアでは人が死んでいるということだろうな。 落ち着いたら彼らの供養をお願いしたいね。 |
■カラレナ To:ギュネイ |
あの……。なぜ、ナナイさんたちと離ればなれに? 別々に探索していたんでしょうか? |
■ギュネイ To:カラレナ、ALL |
遺跡は現在制御不能の状態にある。 その制御を元に戻す為に、機関室にあったのとは別の「黒い石版」を探していたんだ。 我々は遺跡の外側を、ナナイ達は遺跡の内部を分担して探索していたんだよ。 ナナイ達が遺跡内部に入ってからもうすぐ半日は経つのだが、いまだに何も連絡がないのだ。 |
■カラレナ To:ギュネイ |
そうなんですか……。半日……。 |
心配そうにつぶやく。
■シグナス To:ギュネイ、ALL |
俺等が村に着いた時、村もアンデッドどもに襲われてました。 幸い、被害は多くなかったみたいですけど……何度も襲撃はあったんですよね。 やっぱり、遺跡の方と何か連動してるんじゃないですか? そうそうアンデッドの湧く状況なんて、別々で重なるとは思えない。 それにしても……クソッ、アンデッドか……。 これから如何する? 先に逸れた方と合流急ぐか、その石版って奴を探すか。 聞いた限りじゃ、急がないと身動きも取れなくなりそうだぜ。 |
■アビィ To:シグナス&ALL |
ナナイ嬢達も石版探索をされているはずなのだろう。 どちらかを探せば、おのずともう一つに近づくことになるのではないかな。 とりあえず、手がかりが多い方を探した方が早いようにも思えるが。 |
■シグナス To:アビィ、ALL |
手近な方から、か……確かに。向こうも石版探してるなら、先に大元を目指せば良い。 合流できなくても、アンデッド収めれれば間接的に助けれる。 合流する方が早いなら、人数増える分進み易くなる……。 割と都合良い所だけ考えてる気もするけど、アビィの案が良いと思う。 |
■カラレナ To:シグナス |
そうですね。ナナイさんたちが、どこから入って、どういうルートで進んでいったのかがわかれば……。 |
■アビィ To:ギュネイ |
石版の置かれていそうな場所、または、ナナイ殿達が調査しておられるルートは把握されておられるのだろうか、あるいは手がかりでもお持ちではないか。 我らがむやみに潜って行き違いになっても申し訳ないのでな。 |
■ギュネイ To:アビィ、ALL |
手がかりはないが、調査する手段はある。 ある魔法のアイテムをナナイ達には渡してあるんだ。 それを使って遺跡内を調べれば、かなり正確な情報が手に入るはずなんだが・・・。 |
■アビィ To:ギュネイ |
その魔法の品とはなんなのだ? 流石にふたつはお持ちではないだろうな……。 |
■ギュネイ To:アビィ、ALL |
うむ。過去を映し出すことができるアイテムだ。 遺跡内を自在に動き回れるナナイ達に、情報収集をしてもらおうと思ってな。 |
■アビィ To:ギュネイ |
ほう……そのアイテムとはもしや……。 いやいや、純粋な好奇心からお尋ねするが、どのくらい昔のことが映るものなのだ? |
■ギュネイ To:アビィ、ALL |
まだ詳しくは調査してないが、内部の状態からしてまだ湖底に沈む前の時代だろう。 |
■シグナス To:ギュネイ |
あ、アイテムで思い出した。 すんません、念の為研究所の方からえーと……あの髑髏の装置?でしたっけ。 あれ、持って来てるんですけど。何か使えますか? |
■マーキュリー To:シグナス&ギュネイ |
ぁ、研究所にあった骸骨は僕が持ってま〜す♪ |
■ギュネイ To:シグナス、マーキュリー、ALL |
ボーンコレクターを持ってきたのか。 だが、あれはマナイが使わねば役に立たんかもしれんな。 記録されている基礎情報も、今はわかっている事だろうし。 |
■シグナス To:ギュネイ |
ああ、そうなんですか……いや、正直村に置いとくのも不安だったんで。 マイナスにならないんなら、このまま持って行っときますよ。 |
■アビィ To:ギュネイ |
そもそも、なぜ遺跡が制御不能という状態に陥ったのだろう。 「進水式」を行われる予定だったということは、ある程度、意のままにする手段がおわかりになられていたということではなかったのか? |
■ギュネイ To:アビィ、ALL |
我々が解析できたのは、機関室にある「黒い石版」だけだ。 この石版を使って、遺跡内のあらゆる機能を操作できるはずなのだが、先の戦闘で破損していた回路の復元に失敗していたのだろう。 動力系の起動テスト中に、急に制御できなくなってしまったのだ。 おそらく、今も動力炉の内圧が上昇中のはず。 早く制御を取り戻さねば、大変なことになるかもしれん・・・ |
■アビィ To:ギュネイ |
なんと、時間制限まであるというのか。 「大変なこと」になるまで、どのくらいの余裕があるのか予測はおつきか? |
■ギュネイ To:アビィ、ALL |
正確にはわからんが、持って1日といったところだろう。 |
■アビィ To:ギュネイ、ALL |
そうか、急がねばならないな。 |
■リールォン To:ギュネイ、ALL |
残り一日ですか……。 僕たちがやるべきコト、やらなければいけないコトに優先順位をつけて行動する必要があるかもしれませんね。 最低でもナナイさんたちを含め、僕たちが無事、脱出できるように行動しないと。 |