06c 箱舟の甲板

ギュネイと思しき声を頼りに、暗闇の中足を忍ばせて近づくアビィ。
階段を上ってすぐに、明かりを見てとれた。
廃墟の中にあるその広場に、車座になって話合う一団を認めることができた。確認できる人数は7人。その中の2人はギュネイとマイスのようだ。
■マイス To: ALL
やはり我々も入るべきです。いくらなんでも遅すぎますよ。

■男 To: マイス
とはいえ、我々だけであの中を抜けられるのか?
さっきより骸骨ども数が増えてる。君も見たろ?

■ギュネイ To: ALL
時間が経てばさらに数が増えるかもしれんな。
スマイトの「退魔」もあと1回が限界だろうし。
私が「水上歩行」で魔力を無駄遣いしなければ・・・。

そこまで耳にしたアビィは、足下から小さな石のかけらを拾い上げると車座の集団の側を転がるように、それをそっと投げ込んだ。
石畳に小石が当たる音を聞いて、車座に座っていた男達は一斉に身構える
■マイス To: ALL
くっ、新手か!?

互いが背後を守るような陣形になって周囲を警戒する男達。
アビィには気付いていないようだ。
それを見て取ると、素早く、安心させるようにアビィは皆に声を掛けながら、明かりの範囲に姿を現した。
空の両手を注意ぶかく身体から離し、開いてみせる。
■アビィ To:男達
ギュネイ殿、マイス殿、皆大丈夫か?
少しばかりだが、オランからの増援部隊が駆け付けさせていただいたぞ。

■マイス To:アビィ
あ、あんたは・・・

思わずほっと胸を撫で下ろすマイス。
■ギュネイ To:アビィ
おお!君か!みんなも一緒なのか?
我々の方は少々無事とは言えん状態だ。
遺跡の防衛機能が復活した為、かなりの数の骸骨達が復活したらしい。
ここも安全とはいえないな・・・

他の男達も警戒を解いたようだ。
ギュネイとマイスほか、クロスボウを持った学者風の若者、ラーダの僧衣を着た壮年の男が、お互い顔を見合わせて苦笑いしている。
小さな短刀を弄ぶ青年は「穴熊」だろうか。
従者と思われる筋肉質の中年男2人は、使い慣れてなさそうな斧や槌を地面に置いて座った。
■アビィ To:ギュネイ
もっと多くの人数がいると聞いて来たが、ここには7人しかおられぬな。
ほかの皆はどうなったのだ。

■ギュネイ To:アビィ
すまんな。情けないことに、みんなバラバラだよ・・・

■アビィ To:ギュネイ&ALL
言葉から察するに、少なくとも、絶望的状態に陥った方がいるわけではないようだな。
よかった、とりあえず、仲間を呼んでこよう。
縄梯子のあったところから侵入を試みたのでな……そろそろ登り終えるころだ。
皆で何が出来るのか考えよう。

そう言うと、アビィは階段の口から仲間の様子をのぞき込んだ。
全員が無事に登攀を終え、荷物も確保出来ている状態を見て取ると、再び大きく手を振ってみせる。
■マーキュリー To:ALL
ロープも…荷物もこれでオーケーかな?

ぁ、あの小さいシルエットはアビィっぽいですね。
呼んでるみたいだから行きましょう♪

■アビィ To:ALL
全員無事登られたようだな、よかった。
ギュネイ殿はご無事のようだ……調査隊のうち7名はここにおられる……

登ってきた面々に、手早く状況を説明するアビィである。