06b 箱舟の櫂

満を持して、柱の登攀に挑戦するアビィ。
しかし、足がかりのない柱に足を取られて水面に落下してしまう。
ふたたび挑戦し、からくも縄梯子の位置まで上り、そこにロープを結びつける事に成功した。
柱は壁の大きな穴から突き出ており、縄梯子はその穴の奥へと続いている。
穴の上方には暗い夜空が広がっているのが見える。
■カラレナ To:アビィ
アビィさん、大丈夫ですか!?

はらはらしながら見守っていたカラレナが、思わず声をかけた。
■アビィ To:カラレナ>胸中
ああ、なんとかな。
この柱はなめらか過ぎる、考えていた以上だ。
ここを登るときは柱よりロープに主に力をかけられたほうがよさそうだぞ。

やれやれ、正直試練はもうこのあたりで勘弁してほしいものだが。

微かにつぶやいたあとで、ちらりと天を仰ぎ首をすくめる。
縄梯子を強く引き、安定性を確かめたアビィは、船の上で見守る面々を安心させるように頷くと、素早く穴の中へ登っていった。

柱を登った先は壁に沿って続く広い通路。
すぐそばに上に続く短い階段があり、その上に空が見えている。
聞き耳を立てると、遠く階段の方向で何人かが話す声が聞こえる。
一人はギュネイのようだ。

片眉を僅かに跳ね上げ、階段上を見上げたアビィだったが、すぐに船上の仲間に手を振って合図を送る。
次に、縄梯子の邪魔にならない位置を測りながら、マーキュリーから預かったロープを手早く固定しつり下げていく。
重い鎧を着たメンバーの負担を軽くするため、荷物は別にここから引き上げる計画だ。
■マーキュリー To:アビィ、ALL
アビィ、行けそう?
じゃぁみんな一人ずつ登っていきましょう。
この遺跡ももうすぐ動き出すだろうから、しんがりは登るの得意そうなシグナスとシャイアンさんにお願いするとして・・・
一番手は、失敗しそうな僕がいきますね♪
で、カラレナ、リール、ヘキサって感じで♪
それじゃ行きますよ♪(^^)

■シグナス To:マーキュリー
ああ、それで構わねえ。
……けど、姐さんしくじってんの見るとこえぇなあ。

■カラレナ To:マーキュリー
は、はい。気をつけてくださいね。

かなり自信のなさそうな表情を浮かべつつ。
■リールォン To:カラレナ
何事も「れっつとらい」です!
失敗すると思うとホントに失敗しちゃいますからね、成功した自分を想像しましょう(^-^)

不安げなカラレナにリールォンは笑顔を浮かべつつ、ぐっと両手のこぶしを握り締め、はっぱをかける。
■カラレナ To:リールォン>ひとりごと
そ、そうですよね。ありがとうございます。
えーと、成功、成功……

手すりにしがみつきながら(でも水面は見ずに)つぶやく。
■マーキュリー To:オウル
オウルさん、僕等が全員登ったらすぐに水都から離れてくださいね。
ひょっとしたら調査団20人を運ぶ船の用意もお願いすることになるかもしれませんが、ひとまず上の様子がわかったら合図しますから。

そう言うとロープに体重を乗せ慎重に登り始める。
■オウル To:マーキュリー
うむ。20人分の船か・・・あったかな。
まあ小船でもいいから数を揃えてくるか。

■カラレナ To:ALL
えっと、じゃあ、私たちも行きましょう。

マーキュリーが登ったのを見届けてから、ロープに手をかけて登り出した。
■アビィ To:マーキュリー
水上都市ブレアにようこそ、マーキュリー殿。

登ってきたマーキュリーに最後の一歩を支えるように手を差し出しながら、アビィが声をかけた。
■マーキュリー To:アビィ
ふぅ、ありがとう、アビィ♪(^^)
意外と上手く登れちゃった♪

■アビィ To:マーキュリー
流石の身体運びでおられるな。
お借りしたロープで、荷物の引き上げの設定はできた。
申し訳ないが、引き上げをお願いできないだろうか。
……そこに階段があるのはおわかりかな、実はその上から声がきこえてきたのだ。
うち一つはギュネイ殿のようにも思える、緊急事態ということではなさそうだが、状況がわからないのでな。
皆が登っている間にそっと様子を見てこようと考えている。

■マーキュリー To:アビィ
え!?ギュネイさん!?
ぁ、荷物は任せといて。
こっちの体制が整うまでは無理しないようにね。

■アビィ To:マーキュリー
ありがとう、気をつけよう。
そちらもな、この場所や登攀組、船が危険な状態になり、わたしが戻れないようならかまわず船を出させてくれ。

軽く手を上げそう応えると、アビィは音も立てずに階段に足をかけた。
その姿がするりと暗闇に消える。
続いて登って来る他のメンバーたち。
■カラレナ To:マーキュリー
……っと、ああ、怖かった〜(TT
……あれ? アビィさんは!?

あらぬ心配をしてまわりをきょろきょろ。
■マーキュリー To:カラレナ
お疲れ様♪うまく登れましたね♪(^^)
アビィは、この先にギュネイさんがいるみたいだって、様子を見に行ってますよ♪
今カラレナの荷物も引き上げるからね♪
おっとっと♪危ない危ない♪
あらよっと♪大漁大漁♪

意味無く楽しそうに荷物を引き上げるマーキュリー。
■カラレナ To:マーキュリー
えっ、ギュネイさんが!?

……あっ、ありがとうございます。
マーキュリーさん、力持ちですね〜。

すいすい引き上げられる荷物を見て、とても感心している。
■マーキュリー To:カラレナ
こういうことしか役に立たないんですよ♪

■シグナス To:ALL
やれやれ、下が水場ってのは、意外と気が楽になるな。
御待たせ、これで全員だな。

■カラレナ To:シグナス>ALL
お疲れさまです(^^
よかった、みんな無事に登れて……。
あとはアビィさんから合図があるまで、待っていればいいでしょうか。

■シグナス To:カラレナ、ALL
ああ、流石に鎧着込んでると洒落にならなかったしな。

……そうだな、とりあえずさっさと荷物整理しとくか。
昇るのに結構縛り付けてたし。

■マーキュリー To:カラレナ、ALL
そうですね。
すぐ動けるようにしておきましょう♪