05a ギュネイの研究所、夜

村の中心から少し外れた小高い丘の上に、仮設住宅のような不恰好な建物が建っている。
建物の周りは、台風の後のように木片やら羊皮紙やらが散らばっている。
それらを村人らしからぬ衣服を着た3人の若い男女がてきぱきと片付けている。
■カラレナ To:ALL
わ、すごい状態ですね(^^;

■シグナス To:カレラナ、ALL
……まあ研究室の外側の光景じゃねえな。
中なら納得できっけど。

■カラレナ To:研究員
あの〜、私たち、ギュネイ導師からご招待を受けた銀の網亭の冒険者です。
私はカラレナと言います。

ぺこりとおじぎ。
■研究員 To:カラレナ
ああ、話は聞いてますよ。
でもまだ導師は戻ってきてないんです。

■カラレナ To:研究員
はい、うかがいました。
それで、心配で…。
この惨状は、もしかして骸骨に襲われたんでしょうか?
何か盗まれたとか、壊されたといった被害はありました?

■研究員 To:カラレナ
ええ。ちょっと派手にやられましたが、元冒険者の戦士の方が守ってくれて、建物の中までは入られなかったんです。
一部書類を持ち出そうとしたんですけど、中に置いておいた方がまだよかったですね。
この書類以外は特に被害はないと思います。

手に持った羊皮紙の束のほかに、まだ何枚か散らばっているが、大方回収し終わったようだ。
■アビィ To:ALL
広場に行ったら姿が見当たらなかったのでな。
やはり先に来られていたか。

■カラレナ To:ALL
あっ、アビィさん……みなさんも。

散らばっている羊皮紙を何枚か拾い上げながら、近づいてくる姿があった。
羊皮紙の内容にさりげなく目をやり、小さく肩をすくめるとその束を目の前の研究員らしき人物に手渡す。
■アビィ To:研究員
オウル殿から、こちらを紹介された。
アビィと申す、ギュネイ殿から招待された冒険者の残りだ。
この襲撃をなんとかしたいと思っているのでな、お時間をいただけるなら状況をお伺いしてもよろしいだろうか。

挨拶の合間に、仲間に同行しているシャイアンに対し、小さく手を振ってみせるアビィである。
シャイアンもそれに気付いて大きく手を振りかえす。
さらにそれに対して手を振りかえすヘキサであるが、まだ名乗っていないことに気づき研究員に向き直った。
■ヘキサ To:研究員
ヘキサです。
オランの賢者の学院では、たびたびお世話になってます。
よろしくお願いします。

■研究員 To:アビィ
どうも。導師から伺っていますよ。
そちらのお嬢さんにもお話しましたが、研究所内部の被害は皆無です。
導師はまだ帰ってきておらず、伝言もありません。

■シグナス To:研究員
さっき村の方でちらっと聞いたんだが、ここ向かって襲って来てるんだって?
なんか、心当たりとかねえの?

■研究員 To:シグナス
さあ・・・。
昔、この村に骸骨の襲撃があったときは、ボーンコレクターが指揮していたと聞いてますけど。
実際に動いてるのは、ナナイさんが着ている1体だけなはずですよ。

■ヘキサ To:研究員
ボーンコレクター……あの骨の鎧のことですね?

■カラレナ To:研究員
えっ、ナナイさんが着ている……今、ですか?
もしかして、調査の時はいつも?

■研究員 To:カラレナ
そうですね。ボーンコレクターのおかげで、開かなかった扉が開いたことが何度もありましたし。

■ヘキサ
う、そうなると後から行ったぼく達が開かない扉の前で立ち往生に……いや、でもわざわざ開けた扉閉めながら奥に進んだりはしないかな?
いやでも自動的に閉まる仕掛けだったりしたら……

■アビィ To:ヘキサ
遺跡内部が一本道とは限るまい。
調査が進んで扉とは別の道筋が発見されているやもしれぬ。
それに、確か骨の鎧はひとつではなかったはずだしな。

■シグナス To:研究員、ALL
うーん……骸骨の出元も遺跡と関係無いみたいだし。
別口くせえけど、何か引っ掛かりはするな……。

■アビィ To:シグナス&ALL
遺跡とは関係ない?ではどこから来たのだ、そして何故もどっていったのだろう。
戦況の不利を判断して撤収するような思考力は備えていなさそうだが。

■カラレナ To:アビィ&ALL
えっと、さっき村の人が言っていたのは……
骸骨は村の北方にある「紅の谷」の死者達が蘇ったんじゃないかということでした。
昔、戦争でたくさん人が亡くなった場所だそうです。
……ボーンコレクターは、骸骨をあやつる……んでしたよね?

そう言って考え込む。
■アビィ To:研究員
……そういえば以前、ギュネイ殿は遺跡の手がかりだという頭蓋骨をお持ちだった。
あれは今こちらにあるだろうか。

■研究員 To:アビィ
ええ、ありますよ。
でも正確に言うと、今ナナイが着ているボーンコレクターの方が前回の頭蓋骨で、いま研究所にあるのは、マナイが着ていたボーンコレクターの方ですね。
マナイのボーンコレクターは身体部分が破壊されていたので、頭蓋骨だけ保管してあるんです。

■マーキュリー To:研究員
こんばんは、同じく冒険者のマーキュリーです♪
ギュネイさんはお昼頃に戻ってくる予定だったみたいですけど・・・
どこか寄りそうな場所なんて心当たりありませんか?

■研究員 To:マーキュリー
いやあ、わからないです。
無いと思いますよ?導師は遺跡の研究一筋の人ですからねぇ・・・

■アビィ To:研究員
そもそも、調査隊の帰還が遅れるということはよくあることなのか?
襲撃があったことと関係がないかと気になっているのだが。

■研究員 To:アビィ
よくあるということはないですが、まあたまに研究に没頭して遅れることはありましたよ。
でも、進水式が予定されてますし、ちょっと気になりますね。

■シグナス To:ALL、研究員
それじゃあ、如何する?
当面、遺跡の方メインなのは良いんだが……。
個人的には襲撃も片付けときてえし。
時間余裕あって、許可貰えるなら少し研究室調べさせて欲しいんだけど。

■研究員 To:シグナス
んー・・・まあ、導師のご友人ということですし、我々が付き添うということでしたら、研究所内を案内しますよ。

■アビィ To:シグナス&ALL
調査隊一行が危険な状態に置かれている可能性が否定できない以上、遺跡の探査は急いだ方がよいと思う。
ギュネイ殿に話を伺えれば、今回の襲撃の謎も解けるかもしれぬしな。
だが、肝心の水都が移動してしまっているようなのだ、目印の尖塔が見えなくなったと漁師が言っていたらしい。
ここに来たのも、移動先に関する手がかりがなにかないかと考えてのことなのだが。

■リールォン To:シグナス&ALL
そうですね、すこしでも情報は欲しいことですし、それにもしかしたら研究員さんたちが気づかなかったことを僕たちが気づくことがあるかもしれません。

■アビィ To:研究員
同時に、現在遺跡に関してわかっていることをお伺いしたいのだが、お時間をいただけないだろうか。
貴殿でも、別の詳しい方でもかまわない、ギュネイ導師と一行の無事を確認するためにご協力いただきたい。

■カラレナ To:研究員
お願いします。水都に入る方法がわからないと、どうしようもないので……。
それに、内部の情報は少しでもあったほうが探索もしやすいので。

■ヘキサ To:研究員
あ、確かに。探索済みの範囲だけでも、地図とかがあったら助かります。

■研究員 To:アビィ、カラレナ、ヘキサ
まだ遺跡の大半は未踏破のままですが、機関部など遺跡の中枢部分を中心に研究を進めています。
1ヶ月前に、遺跡全体にかかっていた非常停止状態の解除に成功しましたが・・・。
あいにく、主要メンバーが全員出払っていて、これ以上詳しい説明はできません。
地図などは中にあるので、あとでお見せしますよ。