04a マクドナルド邸、夕刻
邸内に入ると、正面の広間には仮設の指揮所が設置されており、その中央の席には、オウルが座って羊皮紙にペンを走らせている。
村娘がオウルの傍らに炊き出しの椀を置くと、笑顔で答えて椀をずずっと啜る。
一行の姿を認めると、立ち上がって手を振る。
■オウル To:ALL |
おう!来たか!待ってたぜ。 こっちだ、まあ座ってくれ。 |
■ヘキサ To:オウル |
久しぶりです、オウルさん。 |
■アビィ To:オウル |
このたびはまた、大変なことになったな、お見舞い申し上げる。 今、仲間が炊き出しなど手伝いにいったところだ。 ……待っていたということは、やはり我々に手紙を送られたのは貴殿であられたか。 |
アビィの言葉を受けて、懐から書簡を出して見せるヘキサ。
■オウル To:アビィ、ALL |
こっちはもう大丈夫だ。来て早々わるいな。 手紙はギュネイに頼まれてね。いつも忙しいやつだからな。 |
■マーキュリー To:オウル |
オウルさん、ご無沙汰していました。 ご招待ありがとうございました。 以前と変わらないご様子で安心しましたよ♪(^^) 今日は村に着いてみたら戦場みたいにごった返していたんでビックリしちゃいました。 かなり落ち着いてきたようでしたけど。 でも、今日の襲撃が遺跡がらみだとすると、遺跡に行ったギュネイさんや調査隊の方達が心配です。 進水式というのはどういうことをやろうとしていたんですか? それと、ギュネイさん達はまだ戻って来ていないようですけど、予定はどうなっていましたか? |
■オウル To:マーキュリー、ALL |
ギュネイは今日の昼には戻ってくる予定だったんだがな。 進水式ってのは、遺跡もう一度水上を移動させる儀式だっていってたぜ。 |
■ヘキサ To:オウル |
昨日の朝から、今日のお昼まで、ですか…… |
■アビィ To:オウル |
やはり戻ってこられるご予定であったか。 帰ってこず、襲撃があったというのは、やはりなにかあった可能性が高いな。 調査隊の帰還予定が遅れるということはこれまでにもあったのか? |
■オウル To:アビィ |
何かってのはあれか?またデカイ骸骨が暴れ出したってことか? しかしなあ、発見された2体はギュネイ達が確保してるし・・・ まあこれまでも帰りが遅いことはあったから、即遭難って決め付けるのはよくないかもな。 |
■アビィ To:オウル |
いや、今回の襲撃には大物はいなかったらしいと聞いた。 だから大きな骸骨状のあれ……ではないように思える。 ギュネイ殿の件もだ、手紙に新月の晩と、時間を指定されていなければ、あえて心配することもなかったかもしれないが……。 なぜ新月の晩に進水式を行うのか、オウル殿はご存じか? それから、今回遺跡に向かった調査隊の顔ぶれをお教えいただきたい。 漁師のマイス殿とナナイ殿……そして遺跡から救出されたもう一人の娘御は同行されておられただろうか。 |
ピクリ、とヘキサの耳が震えた。彼もかなり気にしている話題らしい。
■オウル To:アビィ |
新月に意味があるようなことは言ってなかったけどなあ。 儀式の演出じゃないか? 調査隊はギュネイを隊長に、ナナイとマナイを含めた調査員が8人、 5人の従者とマイスを含めた5人の船乗りといったところだな。 |
■ヘキサ To:オウル |
えと……マナイ? 初めて聞く名前だけど、もしかしてそれがあの? |
■オウル To:ヘキサ |
ああ、そうだよ。さすがに名前が無いのは困るからね。 ナナイとマナイで姉妹みたいでいいって、ギュネイがつけたんだ。 |
■ヘキサ |
へえ……マナイさん、か。 うん、いい名前。 |
■アビィ To:オウル |
儀式の演出?1ヶ月の内でもっとも暗くなる晩にか。 遺跡が光り輝くとでもいうのだろうか……。 その遺跡の調査組だが、ギュネイ殿以外に冒険向きの技能を持った方はおられたのだろうか。 学者と船乗りだけで、古代王国の遺跡を調べていたとしたら大胆すぎる気もするがな。 |
■オウル To:アビィ |
まあ、一応プロの調査チームだから、ギルドから人材が派遣されてたみたいだな。 |
■アビィ To:オウル |
ギルド、というと、指先が器用な連中か? まさか……いや、ここは彼らの領域のはずではないからな。 |
目をわずかに細めながら、なにか考え込む表情になるアビィである。
■マーキュリー To:オウル |
ギュネイさんを探しに行くとしたら、やっぱり船は必要ですか? もしそうなった場合、船を1艘用意していただければと思うんですが。 |
■オウル To:マーキュリー |
そうだな。うちの船を出そう。操船は俺がやるよ。 ただ、漁師の一人から妙な話を聞いてな。 いつも遺跡の尖塔が見えるところで漁をしてるやつなんだが、今日は見えなかったと言ってたんだよ。 |
■マーキュリー To:オウル |
尖塔が見えない? ん〜〜、試運転なのかな、事故で動き出したのかなぁ・・・ もし以前の場所にいないとなると、水都に行ってギュネイさんを捜すのは難しくなりそうですね・・・ ぁ、オウルさんとギュネイさんは僕達が来た後、どういう予定でいましたか? 進水式を行うんですから、オウルさんも僕達と一緒にどこか決められた場所に向かう予定だったんですよね? あと、先程お父上にも聞いてみたことなんですけど、水都から持ち帰った物で何か珍しい物は心当たりありませんか? 骸骨達がこの村にある何かを狙っていたんじゃないかって思ったんです。 持ち帰った物でなくても、先祖伝来の物で実は水都絡みの物っていう可能性もありますけど。 |
■オウル To:マーキュリー |
試運転ってほど簡単には動かせないはずだけどな(^^; 予定では、合流したらすぐに船で遺跡に向う感じだったぜ。 珍しいものったって、そりゃ色々あるよ。 遺跡で発見したものは、一通りここの研究所に持ち帰るからな。 |
■マーキュリー To:オウル |
研究所があるんですか♪ できれば研究所も見せていただきたいですね。 このままじゃ当てずっぽにギュネイさんを探すことになりそうですし、何か手がかりが見つかるかもしれませんから♪ それと、追撃に出てる警備隊の人達が何か掴んでくるかも・・・ |
■ヘキサ To:マーキュリー |
うーん、ぼく達が見てわかるものがあればいいけど…… |
■アビィ To:マーキュリー&オウル |
確か、前回の依頼の時、湖底の亀裂にそって動いているのではないかという話がでていたな。 湖底図、あるいは都市の移動予測図のようなものが見つけられれば助かるが……。 ……学院のギュネイ殿の研究室の状況を思い出してみると、ちょっとした難関になるかもしれん。 |
■マーキュリー To:アビィ |
まさか僕達の招待って、その研究所の大掃除のためじゃないですよね(^^;)(笑 |
■ヘキサ To:マーキュリー |
ははは……でも、研究所を調べるとなると、少なからずそういった必要に駆られるかもね…… |
■アビィ To:マーキュリー |
それなら帰るぞ……とギャルム殿がおっしゃったのだったな。 とりあえず問題を解決して、またそんな会話ができる状況にしたいものだ。 |
■オウル To:マーキュリー、アビィ、ALL |
研究所といっても、掘っ立て小屋に毛が生えたようなもんだけどな。留守番が2、3人残ってるはずだから、尋ねてみるといいよ。 |
■アビィ To:オウル |
ところで、その進水式だが、誰が参加することになっていたのだ? あえて式というからには、大勢の見物人を想定していてもおかしくないかとも思っていたのだが。 |
■オウル To:アビィ |
基本的には調査チームの人間だけだよ。 まあ、あんたらは遺跡を浮上させた功労者だから、特別ゲストってわけだな。 |
■マーキュリー To:オウル、ALL |
そうですか♪特別ゲストですか♪(^^ ねぇ、みんなで研究所へ行ってみませんか? |
■アビィ To:ALL |
そうだな、調査隊の事情を一番把握していそうなのはそこだろうしな。 広場の手伝い組が落ち着いているようだったら、合流して向かったほうがいいだろう。 資料の山を調べることになったら、手が多くあったほうがよいかもしれぬ。 それに、広場には挨拶したい顔もあったのでな。 |
■ヘキサ To:ALL |
うん。じゃあ広場で皆をひろって研究所へ、かな? |
■アビィ To:オウル |
お忙しいところおじゃまして申し訳なかった。 研究所の状況によって、いつ、どこへ向かうかが決まると思う。 遺跡に向かうなら船をお願いすることになると思うが……オウル殿の手はいつ頃空きそうなのかな。 例えば、すぐに向かうとなった場合、今の仕事を優先されるということもあるのではないか? |
■オウル To:アビィ |
そんな悠長なことを言ってられんだろう。 そっちの準備ができ次第、すぐに出られるようにしておくさ |