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SW-PBM Scenario#144
白夜の島

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依頼人ヒュレス


 銀の網亭・個室

足音は慌ただしくドアの前で止まると、ちょっとした間が流れた。
その後、ためらいがちにトントン、とノックする音。
■少年の声 To:おやじ
お、おやじ様? いるんでしょう?
僕、今日が最後なんですよ!
今日決まらないと、もう、どうしたら〜…!

■おやじ To:パーティALL
…来たな。

おやじは一行に向かってニヤリと笑うと、ドアを開けた。
■少年 To:ALL
う…うわっ! とっと…(ゴン☆)ぃて!

ドアの向こうから出てきたのは、小柄な少年。
ノックしていた勢いのまま部屋になだれ込み、テーブルの端に頭をぶつけた。
両手でおでこを押さえて座り込む。
■おやじ To:ヒュレス>パーティALL
ヒュレス、このパーティが、詳しい話を聞きたいそうだ。
ま、依頼が成立するかどうかは、また別の話だが。
とにかく希望を捨てずに、全て話してごらん。

…じゃ、お前たち。よろしくな。

おやじは無言のプレッシャーを与えつつ、部屋を出て行った。
■ケット To:ALL
この依頼は、受けないとおやじさんに怒られそうな雰囲気だね(^^;
とりあえず、詳しい話を聞いてみようよ。
ん・・・と、何さんだっけ? 僕らに話してくれるかな?

■ヒュレス To:ケット&ALL
あ…。はい、ヒュレスっていいます。この依頼を貼り出した者で…
えー、ええと、どこから話せばいいのかな…

ヒュレスは立ち上がると、ずれた緑色の帽子を直しながら、テーブルに自分の依頼書を広げた。
歳の頃は16歳くらいだろうか。黒髪で、長い前髪がおでこの両端から垂れ、後ろ髪はひとつに結わえている。ひょろっとしていて頼りない体格だ。

テーブルに置かれた依頼書の内容は──

「僕らの島に、星空を取り戻してください。
 ある女性の目が見えなくなるまえに…
 報酬は一人につき1000ガメル用意できます。
           ザリィ村 ヒュレス」
■マーキュリー To:ヒュレス
初めましてヒュレス♪ぶつけたところは大丈夫?(^^;
ぁ、僕は神官戦士のマーキュリーといいます。
星空が取られちゃったってすごく変わってますね。
でもその前に、その女性の目は治せないんですか?

ヒュレスはおでこをさすりながら、
■ヒュレス To:マーキュリー
あ、は、はい。大丈夫です…あはは…。
…ええと、その人の目は、お医者様の話では、治らない、と…。
かろうじて進行を遅らせるのが精一杯で…。

そう言うと、うつむいて肩を落とした。
■カーガッド To:ヒュレス
まあとりあえず、これでも飲んで落ち着いてください。

そういって、ヒュレスに水の入ったコップを渡す。
■ヒュレス To:カーガッド
あ、ありがとうございます。

ヒュレスは両手でそれを受け取り、遠慮がちに椅子に腰掛けた。
■カーガッド To:ヒュレス
話せる範囲で、私たちに何をどうして欲しいのかを説明してもらえますか?
どんな話だとしてもきちんと聞かせてもらいますので。

■ヒュレス To:カーガッド&ALL
はい…。
ええと…僕の…僕らの住んでいる島は、ザリィ島っていいます。
その島にある小さな村、ザリィ村から来たんですが…

ザリィ島は、大昔から「夜のない島」だったそうです。
きちんと太陽は沈みますし、朝になればのぼって来るんですが、空はずっと明るいままなんです。原因は…誰も知らないそうです。

ここで気持ちを落ち着けるように、水を一口。
■ケット To:ALL
夜になっても空が明るいなんて、面白そうだね。
どんなところなのか、僕も見てみたいなぁ。

■ヒュレス To:ALL
…村には、僕が小さい頃からずっと一緒だった、リーアという女性がいます。
歳は、僕よりちょっと上ですけど…
僕が小間使いとしてお使えしている家の、お嬢さまです。
そのお嬢さまが、だんだん目が見えなくなる病気にかかってしまって…
小さい頃はうんと元気な方だったのに、治らない病気への絶望感から、すっかり生きる気力をなくしてしまったみたいなんです…
このごろは、ほとんど食事も口になさらない…すっかり痩せてしまって…

そんなお嬢さまが、突然「星が見たい」と言い出したんです。
…ザリィ島は、ずっと空が明るいせいで、星は全然見えません。
僕にはそのとき、星空だけが、お嬢さまが生きる希望を見いだせる唯一のことのように感じました。
だから…どうしたらいいかわからないけど、とにかく星を見せてあげたくて……その…えっと。突拍子ないですよね? やっぱり…はは…。

最後は照れ隠しなのか自嘲なのか、頭をかきながら笑みを浮かべた。
■マーキュリー To:ヒュレス
星を取り戻せたとしても、リーアさんの元気を取り戻せるかわからないんですよね?
でも、ヒュレスさんのその想いだけでも、突拍子ないかどうかは関係なく僕は協力したいって思いますよ(^^)
そだ、さっき部屋に入ってくるとき、『今日が最後』って言ってましたけど、何かあるんですか?

■ヒュレス To:マーキュリー
あ…それは、僕が乗ってきた船が今日、ザリィ村に戻っちゃうからです。
村では年に数回、特産物のニエブラの実をオランで売るために船を出すんですけど、島の周辺は渦潮が発生しやすくって、それが収まる時期にあわせて出港しないと、村に戻れなくなっちゃうんです。
今日まで、ちっとも冒険者の方が決まらなかったから…無理言って船に乗せてもらったのに、どうしようかって思ってました…。
本当に良かったですっ…!!

感激をこらえきれなくなった様子で、マーキュリーの手をがしっと握る。
まだ依頼を受けるとは決まってないのだが、気づいていないらしい(笑)
■マーキュリー To:ヒュレス
まぁまぁ♪まだ色々聞きたいことがありますからまずは落ち着いてください(^^;
ぁ、水以外の物も何か飲みますか?

■ヒュレス To:マーキュリー
あ、す、すいません。
…ええと、水で大丈夫です。僕、お酒飲んだことないので…。

マーキュリーの手をあわてて離して、苦笑い。
■マーキュリー To:ヒュレス
そういえばニエブラって、目の病気に効く赤くて甘酸っぱい実で、オランではなかなかお目にかかれない貴重な品でしたね(^^)

■ヒュレス To:マーキュリー
あ、はい。そうみたいですね。
僕らにとっては、島には山ほどなっているので、身近なんですけどね(^^;
毎日の朝食にはどの家もかならず食べてますし、子どもにとってはおやつみたいな感じで。
…お嬢さまは、そのニエブラの実からつくるお薬で、かろうじて病気の進行を遅らせているんです…。

ヒュレスは「お嬢さまの病気」に話が及ぶと、とても沈んだ表情になった。治る見込みがない、という残酷な状況を思い出してしまうからだろう。
■カーガッド To:ヒュレス
とりあえず、その船が出る時間はいつ頃です?
時間があるのならばオランで何か情報の収集もできるかと思いますし。
それと、なぜ村に夜が来ないのか。
このことについてもっと詳しく調べる必要がありますね。
何か村に伝わっている話なんかありませんか?

■ヒュレス To:カーガッド&ALL
船が出るのは、今日の夜です。星が出る頃…です。
本当は日が落ちる前に出たかったらしいんですが、ギリギリまで遅らせてほしいって頼み込んできちゃいました…。
ええと、村に伝わっている話…っていうのは、ないみたいです。
村でいちばん長生きのババ様も、生まれたときから空は白いのが当たり前で、誰も原因を知らなかったって…言ってました。

ここで少しためらうように、下唇を噛む。
■ヒュレス To:カーガッド&ALL
……けど、古い本ならあります。
小さくて、くたびれてて、ほとんど読めないページばかりなんですけど、文字よりも絵がたくさん描かれていて。
そこに、ザリィの島の風景によく似た絵があって…空は、星空でした。

うつむき、小さな声で言った。
なんとなく、あまり触れたくない、そんな様子にも見える。
■セイルディア To:ヒュレス
…なるほど。
貴方はその本を見たことがあったから、ザリィの島に昔は星空があったはずだ、と思ったのね。
そうでなければ、あたりまえのはずの白く明るい空をどうにかできる、とは思わないはずですもの。

なるべくやわらかい口調を心がけつつも、視線は少し探るようにヒュレスを見つめている。
そんなセイルの視線の意味にはまったく気づいていない様子で、ヒュレスはこくりとうなづく。
■ヒュレス To:セイルディア&ALL
はい。正確には、お嬢さまがそう思ったというか…、信じたんです。
僕は、お嬢さまの気分を少しでも和らげたくて、持ってた本を見せてあげただけなので…。

そう言って、困ったような照れたような笑みを浮かべた。
■セイルディア To:ヒュレス
あ、ごめんなさい。名前も名乗らずに。
セイルディア、です。よろしくね。
それで…「ザリィの島の風景によく似た絵の載っている本」だけが、手がかりなのかしら。
だとしたら、まずそれを見ないことには、貴方の願いをかなえるための行動を決められない気がしますわ。

■マーキュリー To:ヒュレス
その本を見てみたい気もしますね(^^)

■ヒュレス To:セイルディア&ALL
手がかりになるかどうかは、よく分からないですが…島に関する古いものといえば、それだけかもしれないです。
本は、お嬢さまに預けてあるので、村に来てもらえれば、見てもらおうと思ってます。

■マーキュリー To:ALL
ザリィ島のことかわからないけどオランにも、古代王国時代に「星を捨てて平和を手に入れた」とされる「島」があったらしいっていう話はありましたね。
「星を捨てて…」という表現も曖昧で、比喩表現かもって言われてます。
おとぎ話レベルの言い伝えって言われててまともな研究はされてないけど、研究した変わり者もいるらしいですよ(^^;)

■セイルディア To:マーキュリー、ALL
そういえば…ザリィ島で、古代王国時代に人間と異界の生物との激しい戦闘があったという記述を読んだことがありますわ。
もしかしたら、その戦闘を収束させるために「星を捨てた」のかもしれませんね。
ただ、何をどうやってかはさっぱり見当がつきませんけど。

■ヒュレス To:マーキュリー&セイル、ALL
そんな話が、あるんですか…へぇ〜…

目を丸くしている。

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