#140 灰色の紋章

1-1a 銀の網亭:個室2

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銀の網亭:個室2
程なくしておやじが依頼人を連れて戻ってきた。
依頼人は、いかにも商売人という格好をしているが、どことなく目つきが鋭い。
入って来るなり、ギルドの符丁を手で示しながら冒険者達を見回した。
■ウェドラー To:ALL
私がウェドラー商会代表のヴェドラーだ。
君たちが依頼を引き受けてくれる冒険者達かな?

■ジン To:ウェドラー
まあ、そんなところです。
依頼の内容に虚偽や犯罪に加担するようなものがあれば、依頼自体を断る場合はありますがね。
俺は代表のジンという。よろしく。

■ギャルム To:ウェドラー
ギャルムだ。よろしく。お手柔らかに…

符丁を返しながらつぶやく。
■ウェドラー To:ジン, ALL>ギャルム
どちらかというと、今回の仕事は犯罪の摘発に近いと思うがね。
その辺は安心してくれ給え。

(ギャルムに向かって)
君はギルド員だったのかね。
それなら話は早い。今回の仕事はギルドの名誉にも関わるからね。
是非とも協力して貰いたい。

■ギャルム To:ウェドラー
(ギルドの名誉ねぇ…ますます嫌な予感が…)
わかったよ。

■ジン To:ウェドラー
依頼の内容は人探しということですが、詳しい話を聞かせてください。

■スカンピン To:ウェドラー
立ち話もなんアレじゃ、そこの椅子を使ってくだされ。

■ウェドラー To:スカンピン
ああ、ありがとう。

ヴェドラーは言われた席に座り、少し思案して言った。
■ウェドラー To:ジン, ALL
そうだな……どこから話せばいいか。
うちの商会は、まあ直截に言えばギルドの出先機関みたいなものでね。
オランに密輸品が入って来ないかを常に見張ってるのだよ。

今、ギルドと官憲との取り決めで、麻薬はオランに入れない事になっている。
まあ、ギルドマスターの意向もあるんだがね。
ギルドが全て悪名高いドレックノールのギルドみたいではないのだよ。

だが……ここ最近どういった手を使ったのかオラン内に麻薬が入ってきていてね。
スラムを中心に出回っている。
勿論ギルドの方でも売人を摘発するなどの手を取っていたが、オランは広いし、人も多い。
流通元を叩かねばと言うことになって、ギルドメンバーに内偵させていたんだ。

ところが、3日前からメンバーと連絡が取れなくなった。
おそらく密売組織に捕まったと思われるんだが……。

君たちに依頼したいのは、そのメンバーの救出だ。
勿論、今回の仕事に関して必要な情報は全て無償でギルドから提供させて貰う。
かなり危険度が高いと思われるので、高めの報酬を用意している。

他に何か聞きたい事はあるかな?

■リフィル To:ウェドラー
その内偵していたギルドメンバーが未だ無事だと言う保証は有るんですか?
あっ…、申し遅れました、自分はリフィルと言いますので。フィルと呼んで下さい

■ウェドラー To:リフィル
確かに、生きていると言う保証は無いな。
もし、対象が死亡していた場合は、その死亡の確認を持って依頼の完了としよう。

私としては、彼女は優秀だったから是非とも生還して欲しいのだがね……。

■ギャルム To:ウェドラー
女か…。

■ジン To:ウェドラー
麻薬・・・そいつは一般的な種類のやつなのか?
特殊なら、その名称を教えてくれ。

■ウェドラー To:ジン
麻薬には気分を高揚させる物と、逆に沈ませる物の二種類があってね。
普通はだいたい高揚させる物が好まれる。
ところが……だ。
今回流通しているのは、気分を沈ませる物みたいなんだ。
しかもかなり安く流通してるらしい。
それこそ、その日暮らしの貧乏人でも変えるような金額だそうな。

薬はギルドでも新種と認定しているようで、名称はまだ無い。
どんな副作用があるかもさっぱりなんだ。
学院のコネを通して分析はさせちゃいるが……今のところ結果が出てない。
裏町じゃ、「あの新しいヤク」で通ってるらしいな。

■ジン To:ウェドラー、ALL
気分を沈ませる麻薬か。人間は妙なものを欲しがるものだな。

■リフィル To ジン
気分を沈めるのと、気を落ち着かせるは紙一重ですからね。
有る意味、リラックスの方法としてはあながち間違えでは無いかも知れませんよ。

■スカンピン To:ジン
これ以上聞いてしまうと断れなくなりそうじゃな、リーダーどうする?
報酬も高めというはなしじゃ。ワシは引き受けてもいいと思っているが。

■ウェイン To:ジン
俺も良いと思うな、人助けって話しだし。裏が無いかぐらいは知っておきたいけどな。

■レヴィン To:ジン
麻薬という自然ならざる状態に追い込むものを放置するわけにはいかないな。人命もかかっている訳だし、私に断る理由は今のところ無い。

■ギャルム To:ジン
ここまで聞いてしまったら、断れないよな、ジン?(笑)

■ジン To:ALL
ああ。危険な仕事ではあるが、報酬は充分だしな。
・・・人間が相手では危険度の予測が難しくなる。
しっかり情報を集めようか。

■リフィル To:ALL
リーダーが乗る気ですし、みんなもやる気十分ですから。
この依頼は受ける方向で話を進めていいんですね?

■スカンピン To:ALL
おーけー、それじゃ話の続きを聞こうではないか。ウェドラーさん続きおお願いできますかな。

■ギャルム To:ウェドラー
じゃあ、その救出するべきギルドメンバーの名前と、特徴を教えてくれ。
あと、内偵していた場所と人物も。

■ウェドラー To:ギャルム
名前はカトリーという。そうだな、似顔絵を渡しておこうか。

■ギャルム To:ウェドラー
ふーん…歳はオレと同じくらいかな。
危険に首を突っ込みそうな顔してるぜ。

■ウェドラー To:ギャルム
内偵していた場所なんだが……常闇通りで売人を見付けたとの報告を最後に消息を絶っていてね。
おそらく売人から辿って調査するつもりだったと思われるんだが……。
これ以上はちょっと分からないな。

■ギャルム To:ウェドラー
その売人の性別や特徴なんかは、報告にあったか?
名前はさすがにわからなかったろうな…。
あと、具体的に常闇通りの、どこだ? 特定できると助かるんだが。

■ウェドラー To:ギャルム
そうだな……すまんが、売人の素性まで掴めていないんだ。
場所なんだが、裏町の安酒場が集まってる通りで売人と接触する予定だとの報告だったな。
残念だが、酒場の名前までは報告に上がっていない。

■ギャルム To:ウェドラー
そんなもんだろうな。
安酒飲みの酔っぱらい相手に聞き込みするしかねーか。

■ジン To:ウェドラー、ALL
すまんが、人間達がどのように麻薬の密売を行うのか教えてくれんか。
通常の品物の場合、例えば農作物などなら、商店が農家から農作物買い入れて、街の店頭で売るだろ。
麻薬はどこで手に入れて、どうやって売りさばくんだ?

■ウェドラー To:ジン
君の言うとおりだよ。農作物と全く同じさ。
どこかで麻薬が栽培されていて、それをオランに密輸して裏町で売りさばく。
密輸しているルートについても調査させていたんだが……。
それなりの組織が背後にいるのは間違いないね。

■ジン To:ウェドラー、ALL
なるほどね。その安酒場通りとやらがやつらの「店頭」になるわけか。
売人に接触するか・・・?いや、策無しではカトリーとやらの二の舞だな・・・

■ギャルム To:ジン
オレは当たって砕けろ派だけどな(笑)
まぁ接触は危険だろうけど、売人を尾行してみるのはいいかもな。
どこから運んでくるのかがわかれば、カトリーの足跡にも辿りつけるかも。

■リフィル To:ウェドラー、ALL
自分からも質問ですけど
此方の禁止事項とか有りますか?公に成るとダメだとか、日数が掛かるとダメだとか

■ウェドラー To:リフィル
なるべく、表沙汰にして欲しくはないな。官憲に話すのはやめておいてくれ。
日数については、「可及的速やかに」と言うところだね。
……日数が掛かれば掛かるほど彼女の生存が怪しくなると言うことだから。

■スカンピン To:ウェドラー
今回の件でほかに動いているグループはあるのかのぉ?ギルドもたった一人に全てを任せているわけではないじゃろう。あと、この件に関してはギルドは協力的とおもってよいのかの?

■ヴェドラー To:スカンピン&ALL
ああ、勿論だ。
今回の件に関してはギルドは全面的にバックアップする事を約束しよう。

実はな……内偵はカトリーとその妹のミレイアに任せていてな。
二人に調査だけさせて、詰めは別の人間にやらせる予定だったんだが……。
カトリーの奴が先走り過ぎたみたいなんだよ。

この件でミレイアは相当落ち込んでいてな……。
私にとっても、二人は孤児だったのを引き取って育てた……まあ娘みたいなもんだ。
……何とか無事に帰ってきて欲しいと思っている。

それと、もう1つお願いなんだが、ミレイアを君たちの調査に同行させて貰えないか?
足手まといにしかならないかもしれないが……。
もし同意してくれるなら、この後ここに来るように話しておこう。

■ジン To:ウェドラー>ALL
いや、それなら話が早い。似顔絵だけでは心もとないからな。
カトリーを良く知る者がいるなら是非同行して欲しいね。
みんなも構わんだろ?

■リフィル To ALL
構いませんよ。
むしろ、姉を想って先走られる方が怖いです。
姉を想う気持ちは自分もよく解ってますから、自分達がミレイアの協力者兼歯止め役を勤めないとダメですね
(お姉さんか…自分の姉さんは今、何処に居るんだろう。生死すら不明だからね…)(遠い目)

■ギャルム To:ALL、ウェドラー
まっ、そういう事情じゃ断れねぇよな。
別に護衛しろってわけじゃないんだろ?

報酬以上の仕事はするつもりのない男(笑)
■ヴェドラー To:ギャルム&ALL
ミレイアも一応ギルドの教育は受けているから、自分の身は守れるはずだ。
ただ……あの娘の場合性格にちょっと難があってな。
姉の正反対で……どうにも引っ込み思案というか、人と接するのが苦手と言うか……。
そのあたりで迷惑を掛けるかもしれないが、宜しく頼むよ。

■ギャルム To:ウェドラー
さっき、学院に麻薬の分析を依頼していると言っていたけど、
オレたちが直接学院に行ってその状況や結果を聞くことはできるかい?
できなければ、新しい報告があるたびに知らせて欲しいな。
何かヒントになるかもしれないから。

■ヴェドラー To:ギャルム&ALL
分かった。学院に行ったら、セルバン導師を訪ねるといい。
今回の分析を依頼している方だ。
ギルドの依頼を受けていると言っても問題ないから、安心したまえ。

■ギャルム To:ウェドラー
了解。セルバン導師、だな。

■リフィル To:ウェドラー、ALL
取り敢えず纏めてみると…
カトリーさんは売人を尾行して捕まった可能性が高い
密売されてる薬は、ダウナー系で安価
輸入ルートは不明、現在調査中
背後には大掛かりな組織があるので、末端を捕まえる程度では意味がない

密売組織側もカトリーさんを捕らえた以上、奪還に対して何らかの手を打ってきますよね…。
なら、こちらは向こうの対策より速く行動すれば、奪還が楽になる?

■ジン To:リフィル、ALL
まあ、カトリーが組織に捕らわれていない可能性も残ってはいるがな。
向こうからギルドに接触があれば決定的なんだが・・・。
確かにすばやい対応は必要だ。カトリーが捕まっていても、いなくても。

■レヴィン To:ジン&ALL
確かにその可能性はあるが、ここはより悪い事態を想定しておくべきではないか?拘束されていないのならそれでよし、自分でギルドに連絡を取る手段は考えつくだろうからな。彼女からの連絡がないと言うことは、連絡が取れない状況に追い込まれていると考えるべきだろう。素早い対応を取ることに賛成だ。

■ヴェドラー To:ALL
それでは、君たちから質問が特に無ければ、私は一旦帰ってミレイアにここを訪ねるよう話しておくことにしよう。
1時間も待たずに済むと思うから、ゆっくりしておくと良い。
ああ、それとこれは、報酬の前渡し金だ。

そう言って、ヴェドラーはガメル銀貨の入った袋を取り出した。
中には報酬額の一割である600ガメルが入っている。
■ギャルム To:ALL
じゃ、飲んで食って待つとするか!

ふたたび焼き鳥に手をつけ始めるギャルム。

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GM:teshima