10b フードの男

情報収集を終え、再び大噴水前に集まった一行。
大声でグレイ達を呼び、グレイ達がやってくるまで各々が得た情報を交換し合っていた。

・このあたりには大樹と呼べるような木はないはずだ。
 せいぜい、並木道の木ぐらいだろう。
・このあたりにある動物関係の業者は2軒。1つは剥製を扱うスレイナー商店、
 もうひとつは愛玩動物を取り扱うルーク商店だ。

その時、通りから聞こえる女の悲鳴。
一瞬遅れて通りの曲がり角から飛び出してくる影。
フードつきの外套を羽織った背の高い人物が、噴水を挟んだ一行とは反対側の通りを駆け抜けていくのが見える
■ウォルフ To:独白
あれは!?

そう言うなり、反射的に走り出すウォルフ。
■メイプル
獲物ね、おいかけるわよっ!

メイプルも続いて走り出す。
■カーガッド To:ALL
グレイさんはまだ来てませんけど……ここは追いかけるべきですね。
グレイさん達にはあとから合流して貰いましょう。

そういって、ウォルフとメイプルの後を追って走り出した。
フードの人物が駆け抜ける噴水の迂回ルートの先に、細い路地の入り口がある。
一行はそれを遮るように、フードの人物の前に立ちはだかった。
見ると、外套の下には鱗に覆われた腕と足元まで伸びた尾が見える。
フードの人物は立ち止まって一行の様子を窺っている。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL>フードの人物
(フードの人物を見て)
えっと、これは……やっぱり例のヒト達のお仲間さんでしかね。
言葉は……どうなんだろ。

(フードの人物に)……えっと、私らの言葉、分かります?卵を捜してるんでしよね?

遅れながらもパーティに追い付いたアズラが、駄目元で身振り手振りを交えフードの人物に話し掛けてみる。
■カーガッド To:アズラ
もし言葉が通じないなら、グレイさん達が来るのを待つしか無いでしょうね……。
彼らがこっちに気付いてくれれば良いんですが。

■フードの人物 To:ALL
・・・どこで卵の事を聞いたかは知らぬが、深入りしない事だ。
そこをどけ。悠長に問答している暇はないのだ。

フードの中から聞こえてきたのは流暢な共通語だ。
男の声で、少しかすれているようにも聞こえる。
武器を持たない両手を突き出すように身構えた。
■メイプル To:フードの人物
どけと言われて退いてるようじゃ冒険者はできないのよねー
お互い時間がないようだから、単刀直入に言うわよ。
「卵」をもっていない? 探し出さないと大変なことになるらしいから、探しているんだけど。。

■フードの男 To:メイプル、ALL
冒険者・・・卵を狙っているのか。
いくらで雇われたかは知らぬが、この子を渡すわけにはいかんな

構えた拳が、ぎりぎりと握られる。
外套の上からも、肩や腕の筋肉が隆起していく様子がわかる。
しかし、すでに肩で息をしているようにも見える。
拳を見れば、その拳は血のようなもので汚れており、立ち止まった足元には、どす黒い斑点が広がりはじめている。
■ライル To:フードの人物
手荒な事はしたくないし、して欲しくないな。
あなたの出方次第では、こちらも知っている事を話す準備がある。

■フードの男 To:ライル、ALL
・・・どういう意味かわからんな。買収なら時間の無駄だ。

■アズラ・ラ・ライト To:フードの人物
(素手の構え……?)
あのっ、ひょっとして、アグニさんとかグレイさんとかアドグルさんて知ってましか?
私ら、グレイさんに頼まれて一緒に卵を探してるんでしが。

■フードの男 To:アズラ・ラ・ライト、ALL
!?

■カーガッド To:フードの男
あなたと私達の目的は一緒だと思いますよ。
私達もこの事態を解決しようと動いているのです。
まあ、すぐに信用して貰えるとは思いませんけどね……。

ああ、あとアグニという名前もご存じではありませんか?

■フードの男 To:カーガッド、ALL
・・・よく調べ上げているようだな。
あの匂い、やはりアグニだったか。
お前達、グレイとアグニを・・・

■男の声 To:ALL
そこまでだ!

先ほどフードの男が飛び出してきた通りに、高級そうなみなり男が現れた。
右手には皮製の鞭を持っており、だらりと下がった左腕からは血が滴り落ちている。
■男の声 To:ALL
そいつらは・・・仲間か?
無駄な事を。さあ、あれを返してもらおうか

■アズラ・ラ・ライト To:鞭の男
(フードの男を庇う様に進み出て)
あなたこそ何者でしか?
卵を手に入れて、何するつもりでしか?
あれはリザードマンさん達の物でしよ。

■カーガッド To:鞭の男
あなたなのですか? リザードマンの「卵」を奪ったのは。
空を見上げてくださいな。
あなたの軽率な行動で、オランは大変なことになってますよ……。

■メイプル To:フードの男、鞭の男
私たちの目的は卵をリザードマンたちに返すことよ。
グレイのおじさまや、アグニと目的を一緒にするものだわ。
・・さて、これで旗色がはっきりするのかな?

内心、グレイ達がこの声で気付いてくれないかな、とか思ってたりする。
その様子を、じっと窺うフードの男
■鞭の男 To:カーガッド、ALL
リザードマンごとき下等な生き物の卵など奪って何になる?
そいつは「覇王の卵」、次のオークションの主役だ。
こちらも大金を投じている。そう易々とあきらめるわけにはいかんな。
上空の翼竜なら気にするまでもない、すぐに騎士団が動き出すさ。
市民に多少の被害は出るだろうが、最後は人間が勝つ。
まあそんなことはどうでもいい、痛い目に遭いたくなければ大人しく卵を返せよ

■リールォン To:鞭の男
……なるほど、この騒動はあなたが原因ですか。
しかも、リザードマンを下等と蔑み、お金なんかのためにたくさんの人を不幸にしようとしています。
僕はあなたのような人を許せません、しかるべき裁きを受けてもらいますよ。

リールォンの言葉に、同意の頷きをしながら剣を抜くライル。
■ウォルフ To:鞭の男
リザードマンが下等‥‥?
市民に被害が出ても構わない‥‥?
つくづく下種な男ですね‥‥。
大切なモノを奪われる痛みがわからないようであれば‥‥。
わからせてさしあげましょう、貴方の命と引き換えにね‥‥。

そう言い放つとスラリとレイピアを抜き、凍て付いた氷のような瞳で男を見やるウォルフ。
■カーガッド To:鞭の男
街中なのでできれば穏便に済ませたいのですが……。

先程の話だと、あなたは「卵」の事を知った上でオークションに掛ける、と言うことなのですね。
まあ、買う方も何を考えているかは分かりませんが、商品を騙って売りつけようとするとは……。
このことを”ギルド”辺りに話したら楽しいことになりそうですね。
あなたが関係者で、既に”了承済み”とかそれなりのバックがあれば別なんでしょうけどね。

皮肉をこめて男に言い、愛用の戦斧の柄に手を掛けた。
■鞭の男 To:リールォン、ウォルフ、カーガッド
ふん、ずいぶんと青臭いことを言うゴロツキどもだな。
とりあえず卵を渡す気は無いってことか?
ならば、力ずくにでも奪い返すまでだ。

持っていた鞭を振りかぶり、すばやく地面に打ちつけて鳴らす。
■アズラ・ラ・ライト To:フードの男
貴方、アドグルさん、でしよね?
話はグレイさんから聞いてますです。私ら、グレイさんに雇われた冒険者でし。
さっきまで皆で手分けして卵を探してて、で近くにグレイさんとアグニさんもいて、もうすぐ此処に二人も来る筈でし。

グレイさんとアグニさんが早く来てくれるといいんだけど、と思いつつフードの男に話し掛ける。
■アドグル To:アズラ・ラ・ライト、ALL
いかにも、俺はアドグルだ。
グレイにはアグニを探すように頼んだんだが・・・
どうやらアグニの方が、卵を探しに来ていたようだな。
あの鞭の男、甘く見ないほうがいいぞ

■アズラ・ラ・ライト To:アドグル
了解でし、御忠告どうもです。
……怪我、してるでしね? 幾ら格闘技の達人とはいえ、怪我してる状態では鞭と素手では分が悪すぎますです。
此処は私らに任せて下さい。

荷袋からロングボウと矢筒を引き抜くアズラ。
アドグルの怪我の様子を心配しつつ、鞭の男に向かって弓矢を構える。
その時、鞭の男が出てきた通りから何かが崩れる音がして土煙があがる!
同時に聞いた事も無いような生き物の咆哮が聞こえる。
そして土煙の中から大きな翼を持った獣が飛び立った!
■鞭の男 To:大翼の獣
ゆけ!オルガ!
奴らを一人残らず食い尽くせ!

鞭の男がもう一度革の鞭を鳴らすと、大翼の獣がホバリングしながら地面に降りてきて一声鳴く
■アドグル To:アズラ・ラ・ライト、ALL
あれだ・・・あの男、あの獣を手足のように操る事ができるようだ。
くそ!あの化け物、まだ戦えるのか・・・

■ライル 
なんだあれは!?

地上に降り立った獣は、翼を広げて一行を威嚇している。
巨大な獅子を思わせる体躯、頭は荒鷲に似ている。
が、その大きさは小児ならひと飲みしてしまいそうなくらい大きい。
■ウォルフ To:独白
あの怪物は一体‥‥!?

思わずその場に立ち尽くすウォルフ。
■アズラ・ラ・ライト To:アドグル
な、何でしか、あの生き物は……
あんなのと素手で戦ったら確かに怪我しますですぅ。
あのヒト、街中なのにあんなの戦わせるなんて。早く止めないと……。