09a 空を覆うのは翼竜の群れ
不意に明るさを失う地面。
そして太った男のうめくような悲鳴。
空を見上げると、翼を持つ何体もの生き物が視界を覆い尽くしている!
それらは直進するような飛行ではなく、舞うように空を遊泳しながら何処かへ向かっているようだ。
そのうちの一体が急速に高度を落として一行の直上までやってきた。
蝙蝠の皮膜のような翼、爬虫類の頭に生えた角、全身を覆う鱗、大きな鉤爪を持った手足。そして長い尾。全長は3mほどだろうか。
一行の上空6mほどでくるりと一周すると、威嚇するように大きな口を開け、おぞましい咆哮を張り上げた!
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
ふ、ふにゃあぁ! 恐いですぅぅ〜 あ、あれってひょっとしてドラゴンってやつでしか!? |
■ライル To:アズラ・ラ・ライト、ALL |
い、いや! 大きさはドラゴンみたいだけど、身体はリザードマンみたいだ。 あれは一体…!? |
その咆哮を聞いて、小屋の中の見張りが飛び出してきてまた悲鳴を上げる。
先に森の中へ逃げていく太った男を見て、足取りもおぼつかないまま追いかけていく。
翼竜はまた急降下し、丸太小屋の天窓を破って中へ入ってしまった。
中からぎゃあぎゃあという翼竜の鳴声が聞こえる。
■グレイ To:翼竜 |
卵・・・じゃと!? スキアめ・・・早まったことを・・・ |
天を仰ぎ見て顔をゆがめるグレイ。
そして意を決したように目を閉じた後、洞穴の方に向き直る。
■グレイ To:ALL |
・・・わしはアグニを助ける。 おぬし達には本当に世話になった。 これからわしがすることは、人の法に背く事になるじゃろう。 しかし、わしらにはやらねばならぬことがあるんじゃ。 おぬし達を巻き込むようなことはしたくない・・・ わかって欲しいとは言わぬ。ただ、見逃してほしい。 |
懐から革の袋を出すと、カーガッドに放り投げる。
その投げられた革袋をカーガッドは受け取り、グレイの方を見つめた。
■グレイ To:ALL |
賄賂じゃあないぞ、調査報酬じゃ。 本当によくやってくれた |
■アズラ・ラ・ライト To:グレイ |
ちょっと待って下さいですぅ〜 一体何がどうなってるんでしか?? あのドラゴンのひとたちって、アグニさん達の仲間? その卵とやらを捜しに来たんでしか? |
■グレイ To:ALL |
うむ・・・そのようじゃな・・・ |
■メイプル To:グレイ、仲間 |
そーいわれて、はいそうですかって見逃せるわけないでしょ 囚人を監獄の見張りにかわって怪物から助ける名目が立つから、もういちど監獄所の中にもどることはできるわ。 私は一緒についていくから、その間に説明しなさいよ。 他のみんなは・・どうかな? |
■ライル To:グレイ、メイプル |
(苦笑しながら)法に背く事をする、と明言されて看過できませんよ。 …とは言ってもより大きな悪がそこにあるなら、まずはそれを排除しないとね。 俺も同行させていただきますよ。 |
■ウォルフ To:グレイ、メイプル |
このまま帰ったとあっては、冒険者失格ですからね。 最後まで付き合いますよ。 |
■リールォン To:グレイ&ALL |
そうですよ、これからたくさんの人たちに不幸が訪れることになるかもしれないのに見過ごすことはできません。 それに「人の法」ってゆうのは万人ができるだけ幸せになるために存在するものです。 その「人の法」が人々を不幸にするのなら僕は喜んでその法を破りますよ。 |
■カーガッド To:グレイ&ALL |
どうやら、皆さんも同じ考えのようですね。 グレイさん。ここまで関わった以上、これでさよなら、という訳にはいきません。 ……ご協力させて頂きます。 |
■グレイ To:ALL |
皆・・・すまぬな・・・ |
一行に背を向けて俯くも、すぐに顔を上げて皆に向き直る。
そして力強く頷き、洞穴に向かって歩き出す。
■グレイ To:ALL |
あの翼竜たちは、アグニを育てた部族の者たちじゃ。 その小屋の中で暴れている者も見覚えがある。 今も「卵はどこだ」と言っておるから、族長の命によって卵を探していると見て間違いないじゃろう。 あの者たちがオランへ降りたら、街は大混乱じゃ・・・彼らより前に卵を見つけ出し、大事に至る前に帰ってもらわねばならん。・・・人間を敵に回してはならんのじゃ・・・ |
■アズラ・ラ・ライト To:グレイ |
じゃあ早くアグニさんを牢から出して、卵を探さないとでしね。 そういえば、卵のある具体的な場所って大体は解ってるんでしか? やっぱり商業地区なのかにゃ? |
■グレイ To:アズラ・ラ・ライト |
アグニの話した感じだとそのようじゃな。 アグニを連れて行けばわかるじゃろうて |
■リールォン To:ALL |
卵を探すのはもちろんなんですケド、翼竜さんたちをこのままにしておく訳にはいかないんじゃないでしょうか。 僕たちも卵を探すのを協力するから、それまでオランに降り立つのは待ってくれるように交渉するとか必要じゃないですか? |
■カーガッド To:ALL>グレイ |
そうですね。まずはそう話してみたほうが良いと思います。 もっとも、話を聞いて貰えるかどうか分かりませんが……。 グレイさん、何とか交渉出来ませんかね? |
■グレイ To:リールォン、カーガッド |
うむ・・・族長に会えればなんとかなるやもしれぬが・・・。 族長はあの群れの中心にいるじゃろうから、わしの声は届かぬじゃろう。 まあしかし、駄目を覚悟であの小屋の中の者に伝言を頼んでみよう |
ちょうど小屋の屋根へ出てきた翼竜に、グレイが獣のように吼える。
翼竜は一瞬動きを止め、グレイの声を聞く。
が、途中で翼を広げて飛び立ってしまう。
■グレイ To:ALL |
むう、かなり興奮しておるから、ちゃんと伝わったかどうか・・・ |
■アズラ・ラ・ライト To:グレイ |
そうそう、部族ってリザードマンじゃなかったんでしか? 何であんな翼生えてすっごいカッコ良くなってるの? 特別な魔法か何かであんなに変身出来るのかにゃ?? |
■グレイ To:アズラ・ラ・ライト |
おそらく竜語魔法じゃ。 鍛錬を積んだ術者は自らの体に竜の能力を宿らせる事ができるものがあるんじゃよ。 他者に、しかもこの数の者達を一度に効果を及ぼせるのは、族長が「秘儀の技」を使ったからじゃろうて |
■カーガッド To:グレイ&ALL |
なるほど……。 さて、こうしているのも何ですし、グレイさんは一応ここに残って貰うとして、アグニさんを助けに行きましょうか。 アズラさん、仕掛けの方はお願いしますね。 すぐに戻ってきますよ。 |
■メイプル To:カーガッド、グレイ&ALL |
助けにいくのはいいんだけど・・・ねぇ、彼を助けたところで、ことば通じないわよ? グレンおじさまにはいらっしゃって貰わないと・・速攻で逃げられちゃうかも。 見張りが必要なら、パーティからだせばいいと思うわ。 あるいは、ちゃちゃって助けちゃうか・・ダメかな? |
■アズラ・ラ・ライト To:カーガッド、グレイ&ALL |
あのでしね、アグニさん力強いし、私達の顔知らないから助けた途端に飛び掛かったりされそうで恐いでし(苦笑 なので、通訳とかそういう意味も含めて、グレイさんについてきて貰った方が私もいいかなと思うでし。 |
■ウォルフ To:カーガッド,グレイ&ALL |
助け出そうとして襲い掛かられては堪りませんからね(苦笑) グレイさん、同行していただけますか? |
■カーガッド To:ALL |
……よく考えて見れば、その通りですね。 ちょっと間違って考えていたようです。 すみません、やっぱりグレイさんも一緒に来てください。 急いでアグニさんを助けて、戻ってきましょう。 |