08a オラン郊外、正午
官憲詰め所で教えてもらった監獄所を探して、一行はオラン郊外の森林近辺にやってきた。
かろうじてわかる道を辿って見えた建物は、森の中でよく見る丸太小屋だ。
その奥の岩壁には洞穴が見える。
丸太小屋の入り口には、一応見張りがいるようだが、今は胡坐をかいて眠っているようだ。
■ライル To:ALL |
すごい場所にあるね… |
■ウォルフ To:ALL |
どうやら、洞穴を加工して使っているようですね‥‥。 確かに“特別”な監獄所のようですね‥‥。 |
■メイプル To:ALL |
・・・・ここ? まぁ目立つ所にあるわけないけど・・・さ。 |
■カーガッド To:メイプル&ALL>見張り |
たぶん……間違いはないかと思います。 (見張りの人に近付いて) 済みません、ちょっとお願いしたいことがあるんですが。 |
■見張り To:カーガッド、ALL |
ふあぁ・・・あ、なんだおまえら。 俺は今忙しいんだ、要件は手短にな |
胸元をぼりぼりと掻きながら、めんどくさそうに立ち上がる
■ウォルフ To:見張り |
お願いしたいことというのは、こちらに投獄されている方にちょっと面会させて戴きたいのですが☆ |
にっこりと微笑みながら、そう告げるウォルフ。
■カーガッド To:見張り |
相手は、ごく最近ここに入れられた人なんですが……。 鉄格子を素手で破ったとか言う人です。 |
■見張り To:ウォルフ、カーガッド、ALL |
なんだ、面会か。めんどくせえから、勝手に入んなよ。 一昨日入った奴が、また威勢が良くてな。 ま、飯も水も与えてないから、そろそろ大人しくなる頃だろうがな。 |
■ウォルフ To:見張り |
(食事どころか水も与えないとはね‥‥)では入らせて戴きます。 |
ほんの一瞬その瞳に冷徹な光を宿すウォルフ。
だが、すぐに微笑みを絶やさない普段の顔に戻ると、洞穴の中に入っていく。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
まあ、それなら勝手に入らせて頂きますですか〜。 善は急げ、でしね〜。 |
見張りの態度に多少呆れながらも、キョロキョロ周囲を見回しながら洞穴に入ってゆく。
■カーガッド To:グレイ&ALL |
グレイさん、もしここに居るのがアグニさんだったらどうします? そのときは交渉してみるしか無いですかね。 |
■グレイ To:カーガッド>ALL |
交渉してどうにかなるならよいがのう。 詰め所の男の口ぶりといい、さっきの男の態度といい、あまり期待はできんじゃろうな。 アグニがここにいるなら、それでお主らの仕事は終わりじゃ。 その後の手伝いまでは頼まぬよ・・・。 |
■アズラ・ラ・ライト To:グレイ |
まあ、ここにいるとまだ確実に決まった訳じゃないですし。 いたらいたで、そっからの事はそれから考えてみるがいいでしよ。何か、私らでも力になれる事があるかもですし。 |
■グレイ To:アズラ・ラ・ライト |
・・・それもそうじゃな。まずはアグニの安否の確認をしてからじゃ・・・ |
■ライル To:グレイ |
はい… |
しばらく一本道の緩やかな坂道を下っていくと、昨日見た図書館の広間ほどの広さはある巨大な空洞に辿り着いた。
見回す限り、今来た道以外の出入り口は無いが、天然岩の床には井戸のような縦穴がいくつも見える。
その穴には、極太の竹で作った格子が嵌っている。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
え……と、ひょっとして、この穴が牢屋……なのかにゃ。 |
立ったまま穴を凝視するが、流石に覗き込む勇気は無いらしい。
■アズラ・ラ・ライト To:グレイ |
グレイさん、アグニさんに通じる言葉でちょっと呼び掛けてみて貰えませんでしか……? 一個一個覗いていくのも、ちょっとあれみたいですし……。 |
■グレイ To:アズラ・ラ・ライト>アグニ |
ああ、そうじゃな。では呼んでみるぞい。 (リザードマン語) アグニ、ここにいるのか?いたら返事をしてくれ |
グレイの声が広間の中に響き渡る。
一瞬の沈黙の後、穴のひとつから獣のような咆哮が聞こえる。
グレイはその穴まで走り寄り、中を覗きこんだ。
■グレイ To:アグニ>ALL |
(リザードマン語) おお!アグニ!無事か! (共通語) アグニじゃ!アグニがおったぞ!ぴんぴんしとるわ! |
■ライル To:グレイ |
やりましたね!グレイさん!! |
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
えっ! アグニさんいたでしか!? |
グレイに続き穴の側に走り寄り、一緒に覗き込むアズラ。縦穴は5mほどの深さがあり、その底には坊主頭の青年がこちらを見上げている。
衣服は一切纏っておらず、全身の筋肉の隆起が上から見てもよくわかる。
1日半飲まず食わずとは思えないほどの精力的な顔つきをしている。
■リールォン To:グレイ&ALL |
ホント、よかったですね(^-^) 1日半、何も口にできなかったってコトですけど、お元気そうですし。 |
■グレイ To:リールォン |
アドグルの修行の中には、石や泥を食らって栄養とする技もあるという話じゃ。 1日2日なぞ屁でもないじゃろうて |
■カーガッド To:グレイ&ALL |
それは良かった。 とりあえず、アグニさんが見つかって何よりです。 あとは、どうやって連れ出すかですね。 それと……一体何があったかを聞いて貰えますか? グレイさん。 |
うむ、と頷くと、グレイはアグニと会話を始めた。
内容はわからないが、グレイの顔が次第に険しさを増していくのがわかる。
■メイプル To:カーガット、おーる |
そうね・・まぁ、元が無銭飲食だったら、出して貰えるかもしれないし・・・ |
■ライル To:メイプル |
そういう話ならいいんだけど… |
■メイプル To:おーる |
(辺りの気配を観察して) ”お客さん”・・は、彼ひとりみたいね。 |
そして、他の穴には死体が転がっているっぽいのを感じ取って
■メイプル(心の声) |
少なくとも、生きているお客は・・・ね。 |
■リールォン To:ALL |
なんとゆうか、ここには幸福のひとかけらも見つけることができませんね…… 牢獄なんですから、あたりまえなんでしょうケド……。 |
目を伏せがちにそう呟き、幸福神へ祈りをささげる。これまで、ここで罪をあがなってきた人々の赦しと彼らの来世の幸せのために。
■ウォルフ To:独白 |
せめてもの手向けに‥‥。 |
そう呟きつつ、どこからともなく花束を取り出し、アグニが投獄されている以外の穴に供えていくウォルフ。
■アズラ・ラ・ライト To:独り言 |
きっと、「だつごく」……はやっぱりヤバイでせうねぇ。 |
危険な事を口にしながらそっと格子の竹を調べてみるアズラ。
竹は荒縄でしっかり結ばれているものの、道具を使えば解体は可能そうだ。
どちらかというと、上を歩く者が穴に落ちないようにする意味合いの方が強いだろうか。
■アズラ・ラ・ライト To:独り言 |
……ああ、外そうと思ったら簡単に外せそうでしね。まあ、外すのは「だつごく」すると決まったからでいいでしね。 |
うんうん、と一人頷きながら竹の格子から目を離す。