04a 常闇通り、午前
すがすがしい朝日とは無縁の薄暗い路地。
「常闇通り」と呼ばれる危険地帯に盗賊ギルドはあった。
■ウォルフ To:アズラ |
ん〜、いつ来ても陰気な雰囲気ですね〜☆ |
と、場違いとも言えるような爽やかな声で傍らのアズラに話しかけるウォルフ。
何気にこんな所で言うには危険な台詞を吐くウォルフの袖を、くいくいと引っ張るアズラ。
■アズラ・ラ・ライト To:ウォルフ |
ちょ、ちょっとウォルフおにーさん。 そんな事言ってるの聞かれたらあんまり良い顔されないでしよ。 |
■乞食 To:ALL |
ここは女子供の来るところじゃねえよ。とっととけえりな・・・ |
道端に座る、ぼろをまとった髭もじゃの男が、鋭い視線で一行を見つめている。
■ウォルフ To:乞食 |
ん〜、これでもこの地のギルドに属しているんですが☆ “昏き天使”のウォルフガングと申します☆ 以後、宜しくお見知りおきを☆ ちょっとした情報を戴きたいので取り次いで貰えますか? |
鋭い視線に全く怯むことなく、のほほんと、にこやかに応じてみせるウォルフ。
■アズラ・ラ・ライト To:乞食 |
宜しく御願い致しますですぅ〜(ドキドキ |
そんなウォルフとは対照的に、かなりおどおどとした様子のアズラ。
■乞食→ゼウ To:ALL |
同業か・・・情報がほしいのか? 俺は“三つ耳”のゼウ。 今日は俺が窓口だ。何が知りたい? |
■アズラ・ラ・ライト To:ゼウ |
えっとね、この街で「トカゲ男」について何か情報あったら知りたいんでし。 どうやら、フード付きの外套をすっぽり被ってる怪しい人物、らしいんでしが。 |
ペコリと頭を下げた後、ゼウの前に膝を抱えてしゃがみ込むアズラ。
■ゼウ To:アズラ・ラ・ライト |
最近、商業区に出没する怪人のことだな。巨漢の割りにえらくすばやい奴で、運動神経は抜群にいい。目撃数は多いが、誰も素顔を見た者はいないってことになってる。 |
そこまで言って、薄汚れた木の椀を前に出し、沈黙する。
■ウォルフ To:ゼウ |
ねぐらのような処は掴んでいないのですか? |
木の椀に10ガメル程入れ、尋ねるウォルフ。
のほほんとした雰囲気は既に消している。
代わりに殺気にも似た雰囲気がウォルフを包み込んでいる。
■ゼウ To:ウォルフ |
ふん。ねぐらか・・・言い得て妙だな。 目撃者が見ている鱗が生えた尻尾や腕は作り物じゃない。 本物のリザードマンさ。 宿や空家で寝泊りするような奴じゃなきゃ、俺達の管轄外だよ。 |
■ウォルフ To:ゼウ |
ふむ‥‥、フード姿の怪人はリザードマンでしたか‥‥。 話は変わりますが、背が高く、がっしりとした体格で、 髪も髭も剃りあげている、そんな人物についての情報はありませんか? 服装は粗末な麻布を紐で留めている程度のようなのですが。 |
木の椀に更に10ガメル程入れ、続けて尋ねるウォルフ。
■ゼウ To:ウォルフ |
おいおい、ここはオランだぜ? 坊主頭でガタイのいいやつなんてごまんといる。 粗末な風体も、このスラム街じゃめずらしくもない。 他に何か特徴はないのか? |
■ウォルフ To:ゼウ |
人語を解さず、リザードマン語しか話せず、 人界の理に疎いので何かトラブルを起こしている可能性があるのですが‥‥ 出没しているリザードマンと何らかの関わりがあると思われるのですが‥‥。 |
■ゼウ To:ウォルフ |
・・・リザードマン語かどうかはわからんが、共通語や地方語でない言葉で話す、というなら1人いる。 先週からオランに来てるサーカス団「踊る大鰐」の“死なない男”がそうだ。 まあ、ショウの演出で未開の言葉を話してるだけってこともあるがな。 トラブルを起こすような奴なら、既に官憲に捕まっている可能性も強い。 この1週間で官憲に捕まった大男は22人。 凶暴なやつなら、すでにオラン郊外の特別監獄所に送られているかもな。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ゼウ |
そうそう、そのリザードマンが現れるのは大体夜だけなの? それと、何処から来て何処に帰ってく、とか……目的とかってのは流石に解んないかにゃ? |
椀の中に財布から出した10ガメルをチャリーン。
■ゼウ To:アズラ・ラ・ライト |
いや、昼夜はあまり関係ない。 人ごみに紛れたり、裏道に逃げたりでいつのまにか消えちまうんだそうだ。 商業区でも、とりわけ高級商人どもが集まる区画に現れるからな。 金品が目的ってことも考えられる。 |
■ウォルフ To:ゼウ |
リザードマンが金品に執着するとは思えないのですが‥‥ 何か、彼等にとっての“神器”のようなものについての情報はありませんか? |
■ゼウ To:ウォルフ |
普通のリザードマンがフード付きの外套なんて羽織るか? 今までの行動から見ても、かなり頭の切れる奴だ。 金品に興味があっても不思議はあるまい。 リザードマンの“神器”については、聞いた事はねえな。 |
■ウォルフ To:独白>ゼウ |
そうですか‥‥。 どうやらただのリザードマンではなさそうですね‥‥。 それから‥‥、「踊る大鰐」というサーカス団は、どこから来たのかわかりますか? それと“死なない男”の演目は? |
と、続けざまに尋ねるウォルフ。
木の椀に10ガメル入れることも忘れない。
■ゼウ To:ウォルフ |
あいつらはジプシーだからな、故郷なんざ無いんだよ。 「自由人の街道」を西へ東へ往復しているだけだろうさ。 演目は確か檻に入った男を、槍や弓矢で串刺しにするようなやつだと思ったが。 よくある大道芸だろ。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ゼウ |
普通のリザードマンってそんなに頭良く無いんでしか…… リザードマンにそっくりの賢い生き物っているのかにゃ? あ、そうそう。今迄に今回みたいにリザードマンが街中に現れた事ってあるのかにゃあ? それと、その高級な商業区で金品が奪われたとかいった、「リザードマンの仕業ではないか」って噂されてるような事件ってありますですか? |
再び10ガメルをチャリーン。
首を傾げながら手にはもう10ガメル用意してある。
■ゼウ To:アズラ・ラ・ライト |
ああ、普通はかなりバカだ。まあ動物よりはましだろうがな。 何にでも例外はあるってことだろ。 リザードマンがオランの地下水道に巣くっているって噂は昔からあるが、あまり信憑性は無いな。 大方、どこぞの好事家が密猟者から買って、ペットにしてたのが逃げられたんだろうよ。 リザードマンが原因で起きた事件なんてのは記憶に無いね。 もちろんここ数日でもだ。 まあ、怪人がうろつくだけってのも事件と言えなくはないが、誰も被害は受けてないからな。 |
■アズラ・ラ・ライト To:ゼウ |
うーん、成る程でし〜。 ……そうそう、そのサーカス団ってのは今何処で興業してるでしか? あとそのサーカス団の団長の名前と、「死なない男」の名前も解れば教えて貰えませんですか。 |
■ゼウ To:アズラ・ラ・ライト |
西門広場にテントを張ってるやつがそうだ。 団長の名は“千の牙”。 ”死なない男”の方はそのままさ。 |
■ウォルフ To:アズラ>ゼウ |
必要な情報は、大体これで良さそうですね☆ 有益な情報どうもありがとうございました☆ また、何かありましたら宜しくお願いします☆ |
そう言って微笑みを浮かべつつ、ゼウにペコリと頭を下げるウォルフ。
纏っていた殺気は既に失せ、元ののほほんとした雰囲気に戻している。
ゼウはにこりともせずに木の椀を後ろに下げ、最初に会った時のように、乞食を装って胡坐をかきなおす。
■ウォルフ To:アズラ |
ではアズラさん、一旦「銀の網亭」に戻るとしましょうか☆ カーガッドさん達もきっと有益な情報を得ていることでしょうから☆ |
そう言って、アズラににっこりと微笑むウォルフ。
その姿は艶やかな佳人そのものである。
‥‥こんな長身の「佳人」がいるものならば(笑)
■アズラ・ラ・ライト To:ウォルフ>ゼウ |
はいです、そろそろオナカも空きましたですし。 んでは情報ありがとございましたです、また何かあったら宜しくです〜。 |
ゼウに向かってペコリと頭を下げると、銀の網亭に向かってスキップしながら歩き始めるアズラ。