【12b 浮上】
もと来た道をひたすら駆け戻る一行。
塔を出ると、船までの道のりが水が干上がっているのがわかる。
オウルの船は大きく傾いており、今にも滑り出しそうだ。
■オウル To:ALL |
くそっ!おまえら何をしたんだぁ!? 急げ!早く碇を揚げないと、船が転覆しちまう! |
■ヘキサ To:オウル |
すいません! すぐ行きます! |
■ギャルム To:オウル |
話して欲しけりゃ、見捨てるなよ! |
オウルの船まで走り出す一行。
結び目のついたロープが何本か投げ出され、それに掴まると同時に、背後に轟音が響く。
振り向けば、塔が崩れ折れていくのが見えた。
■オウル To:ALL |
もう待てない!出るぞ! |
振りかぶった手斧で近くのロープで断ち切るオウル。
2本マストの帆が同時に下ろされ、風を受けて膨らむ。
命からがら甲板まで上がると、凄まじい勢いで船が滑り出す!
■ギュネイ To:ALL |
くっ!・・・ブレアが・・・浮上してるんだ・・・ |
投げ出されるかのような衝撃!
船が一瞬空中に浮き、すぐに着水の衝撃が襲ってくる!
舞い上がった水しぶきが、雨のように甲板に降りそそぐ・・・。
しばらく大波で揺られていたが、やがて立てるほどの揺れにおさまる。
そして、一行の目の前に広がる光景。
・・・まるで黒い箱舟だ。
その側面に並ぶ、櫂の様な柱が突き出ている穴から、大量の水が流れ出ている。
箱舟の上に広がっているであろう街並みは、ここからは見ることができない。
■ギャルム |
どこへ行くんだ……? |
■オウル To:ギャルム |
どこって・・・また遺跡に戻る気なのか? まあそれでもかまわんが、さっきの衝撃で船が大分傷んでいる。 あまり長くは持たないかもしれん・・・ |
■ギャルム To:オウル |
いや……導師が行きたいって言わなけりゃ、行かないさ。 ただ、遺跡はこれからどこへ行くのか……どうなるのかって思ってね。 |
甲板の手すりに手を掛けて、箱舟を眺める。
■オウル To:ギャルム |
ああ、あっちの方か(^^; さてね。喫水線から見て、あの櫂のような柱が、湖底に突き立って浮上してるようだからな。 あのままじゃ、船出はできんだろうよ。 |
■ギャルム To:ギュネイ |
導師、あれ、ほうっておいていいもんかな。 |
■ギュネイ To:ギャルム、ALL |
うむ・・・。さっき遺跡の女性が最後に言った言葉から推測すると、あれは今、すべての機能を止めた状態になっているはずなんだ。 おそらくあの広間は都市を動かす機関室・・・そこが破壊されたんで、緊急停止したんだと思う。 あんなに攻撃的だった彼女も、今は呆けたように意識がないし、他のガーディアン達も、おそらく同じような状態なんじゃないかな? |
■ギャルム To:ギュネイ |
そうか……それを聞いて安心したよ。 |
■アビィ To:ギュネイ&ALL |
とはいえ、不浄なる者が出現する可能性があるのは否定できまい。学院もそうだが、寺院関係にも報告をあげる必要があるだろうな。それまでは、この辺りの村も安心してはおれまい。 |
■フレイム To:ギュネイ、ALL |
……しかし、折角出てきたのだ……。 このまま放って置くのも勿体無いだろう。 ……尤も、次の機会となりそうだがな。 |
■ギュネイ To:アビィ、フレイム |
このまま放って置く気はないさ・・・ 遺跡の発掘はまだ始まったばかりだしね! これからは忙しくなる・・・ |
■リールォン To:ギュネイ&ALL |
そうですね、遺跡が完全に壊れた訳じゃないんですから、また調査できますね。 ところで、これからナナイさんやそのガーディアンさんたちはどうするんですか? |
■ヘキサ To:ALL |
どっちでも……どうにでもなるよ、そんなことは。 皆元気で、ここに立ってるんだ。 それ以上のことなんて…… |
■ギャルム To:リールォン>ヘキサ |
ナナイは保護者に返すだろ。 連れて来ちまったあいつは、どうしたもんかな。 ヘキサ、責任とって面倒見るか? |
にやにや(笑)
■ヘキサ To:ギャルム |
え!? あ、うーえ、えーとんーと…… |
面白いほどに動揺する少年でした。
■マイス To:ギャルム |
お、俺はナナイの保護者じゃないっての! |
もう一人動揺する青年がここにも・・・
■リールォン To:ヘキサ&マイス |
あはは。 せっかく出逢った縁ですよ、大切にしなくちゃ(^-^) |
■ギュネイ To:ALL |
できれば彼女達には、これからも遺跡調査に協力してほしいものだな・・・ もちろん、君達も一緒にね |
ニコニコ(笑)
■フレイム To:ギュネイ、ヘキサ |
……成る程、乗り掛かった船と言う事か。 機会があれば、また任されよう。 尤も……理由としては、ヘキサには劣るだろうが。 その女性は、学院で保護するべきだと思うがな。 面会を、する権利程度は我等にはあるだろう。 |
■ギュネイ To:ALL |
もちろんかまわんさ。いつでも遊びにおいで |
■ヘキサ To:ギュネイ、フレイム |
え? あ、はい。 そうですね、そうですよねー、あははー。 |
ほっとしたといった表情で、女性に向き合う。
■ヘキサ To:女性 |
また、逢おうね。 そのマント、大事なマントだから、絶対に返してね。 その時まで、預けておくから。 そして……今度は一緒に笑ってられるといいな。 |
相変わらず虚空の見つめたままの遺跡の女性。
ただ彼女の手は、ヘキサのマントの端を強く握り締めていた。
■リールォン To:ヘキサ |
やっぱり、この縁は大切にしなくちゃいけないようですね(ニッコリ) |