12a 水上都市ブレア

■ヘキサ
……はっ! 敵は!

周囲を見回すヘキサの目が、目の前の女性にとまる。
■ヘキサ
――ッ!

■骸骨に包まれた女性 To:
(下位古代語で)
緊急避難・・・ブレアの・・・停止す・・・

突然広間を襲う強い衝撃!周囲の柱が振動を始める。
柱の小窓を覗くと、凄まじい勢いで水が流れているのが見える。
しかし、あまりの勢いに柱の何本かが破裂し、そこから大量の水が流れ出てくる!
たちまち周囲の水位が上がり始める。
ヘキサは、燃え盛る骸骨の残骸から、女性を引っ張り出した。
■ギュネイ To:ALL>ナナイ
みんな!脱出の準備をしてくれ!
よく聞こえなかったが、先ほどの女性がこの遺跡の・・・ブレアの緊急事態と判断して、何かを起動したらしい!
(下位古代語で)
ナナイくん、そこの扉を開けられるか?!

■フレイム
なに!?くっ、だが、このまま相手をするよりはマシかも知れん……

■ナナイ To:ギュネイ
(下位古代語で)
緊急時は全ての門が一定時間開錠される。
今なら手動で開くはずだ。

ギュネイはうなずいて門を押し開ける。
緩やかに水が流れ出し始める。
■マーキュリー To:ギャルム、ナナイ
ギャルム、石版は持って行けそう?
遺跡のサンプルげっとしなくちゃ。
僕は骸骨の持ってた剣を拾ってくよ。
さぁ、ナナイさんも急ごう。

骸骨の頭部がマーキュリーの方を向く。
ナナイを包む骸骨には隙間が無く、表情などは読み取る事はできない。
ナナイにそっくりの女性に改めて驚きながらも手を差し出す。
■マーキュリー To:女性
君も行こう。
立てる?

女性の反応は無い。
使命を果たした後は、ただ虚空を見つめてるだけだ。
■ヘキサ To:マーキュリー
マーキュリーさん、尋ねてる場合じゃないよ!
こういう時はね!

女性に自分のマントを巻きつけ、抱え上げる。
ぐったりとして全く抵抗するそぶりも見せない。
まるで大きな人形のようだ・
■ヘキサ To:マーキュリー
無理にでも引っ張って行くんだ!

■マーキュリー To:ヘキサ
きゃっ♪ヘキサったら、ご・う・い・ん♪(/∇\)

ヘキサの素早い動きに感心しつつも軽口を言い、骸骨が持っていた剣を拾う。
■ギャルム To:ヘキサ
助けるのか? まったくお人好しだな。

■リールォン To:ギャルム
ヒトを助けることに理由なんていりませんよ(^-^)助けたいから、助ける。
ただ、それだけなんですから。

■ギャルム To:リールォン
……勝手にやってくれ。

さほど嫌そうでもなく苦笑いを浮かべながら石板に向かい、しばし黙考。
■ヘキサ To:ギャルム
ギャルムさん! ぼくが読み上げますから、“覚えて”下さい!『・・・する・・・に・・・せよ・・・』
……あー、ごめんなさい、読めませんでした。

下位古代語で記述されている箇所はわずか・・・。
ほとんど意味が通じない。
ギュネイも、石板をみて眉間に皺を寄せる。
■ギュネイ To:ALL
こいつは・・・ただの上位古代語じゃないな。
言わば、専門用語の羅列だよ。
文法の構成からすると、何かのマニュアルのようだけど・・・

■ギャルム To:ギュネイ
遺跡の動かし方でも載ってるのか?
持って行けそうにないな、これは。写すか。

インクを取り出して石板にぶちまけ、羊皮紙を擦りあてる。
■アビィ To:ギャルム
……手伝おう。

二人で手分けして、石板のルーン文字を全て写し取った
■フレイム To:ギュネイ、ALL
のんびりはできんぞ……急げ。

■ヘキサ To:フレイム
あ、はい。
よい、しょっと。

女性を抱え直し、ヘキサは皆の後を追った。