10 ボーンコレクター
黒い石版の表面が一瞬波を打ったように見えたあと、
染み出すように白い人影が出現し、やがて髪の長い全裸の女性が床の上に降り立つ。
女性の顔を見て、あ、っと声を上げる一行。
ナナイとうりふたつ。
いや、似ているというより本人そのものだ。
■ヘキサ |
え? ……… …… … !!! あ、あうあうあう。 |
女性に注意を向けたヘキサであったが、すぐに顔を真っ赤にして横を向いてしまう。
■ギャルム |
ヘキサ! 赤くなってる場合かっ! そっくりだ……どうなってんだ!? |
■ヘキサ To:ギャルム |
そ、そんな事言ったって…… |
ちらりとナナイと、女性のほうを見て、また赤くなる。
■フレイム |
……元より、ここで発見されたのだ。 無関係と言う事は、あるまいが…… |
■女性 To:ALL |
(下位古代語で)これより、暴走したボーンコレクターを回収する。 ただし、統率下の僕は破壊活動を続ける可能性があるため、完全に消去する。 |
女性が片手を上げると、背後の石板から玉座のようなものが出現する。
まるで巨大なあばら骨でできた玉座だ。
彼女がそれに腰掛けると、彼女を包み込むようにあばら骨が閉じていく。
■ギュネイ To:ALL |
ボーンコレクター・・・暴走? 支配下の・・・ちょ、ちょっと! 全て消去するって、我々のことじゃないか!? |
■ヘキサ To:ギュネイ |
……消去? |
今度はためらい無く、しっかりと女性を見据えた。
その目がスーッと細まり、戦闘用のそれへと変わってゆく。
■ギャルム To:ギュネイ&ALL |
え、何だよ、何て言ったんだ? ボーンコレクターが“ここ”にいるのか? でもって、オレたちがその下僕扱いかよっ? |
ギャルムはショートボウを準備。
■ギュネイ To:ギャルム、ALL |
暴走中の「ボーンコレクター」を捕まえるって言ってる。 そして、その「ボーンコレクター」の支配下にある僕を、全て破壊するとも言っている。 その僕ってのは、おそらく我々のことなんじゃないか? |
■ギャルム To:ギュネイ>ALL |
思いっきり誤解だぜ……。 みんな、スケルトンには刃物はあまり効かない。 リールの神聖魔法に期待しようぜ! |
■リールォン To:ALL |
ボーンコレクター……? それって、もしかして、ナナイさんのことですか!? それに暴走って……。 ああもう! とにかくスケルトンに囲まれたらまずいです。いったん扉まで下がりましょう!!。 |
■マーキュリー To:ALL |
( ̄ ; ̄)・・・もう死んでもいいかも♪・・・ ちがうちがう! さぁ、僕たちも下がろう! ナナイさん早く! 盾役4人は扉のラインで一列になりましょう! アビィとギャルムは後列の両側でギュネイさん達を守って! |
ナナイを急かすように扉の方へ連れて行く。
■ギャルム To:マーキュリー |
おう、任せろ! |
■女性 To:ALL |
(下位古代語で)逃がしはせぬぞ。 |
あばら骨に包まれた女性の口から、短く上位古代語の詠唱が唱えられる。
すると、入ってきた門の扉が閉まり、門全体がボゥっと光りだす。
■ギュネイ To:ALL |
しまった!ハード・ロックか!閉じ込められた!? |
■ギャルム To:女性 |
……んのヤロー。 |
女性の高笑い。
そして、あばら骨の「玉座」が立ち上がった!
左右の背後から骨の腕が現れ、「背もたれ」にあった垂れ幕を、マントのように羽織る。
さらに背後から現れた頭蓋骨が女性の頭部を覆い隠し、完全に見えなくなってしまった。
一歩前に進み出たそれは、まるで外套を纏った軍師のようだ。
■フレイム To:ALL |
ふん……感情はあるらしいが、気に入らぬな。 とは言え……全て相手取る、と言うのも……。 ……やはり、大元を断つが先決か? |
■リールォン To:フレイム&ALL |
たしかに、全部のガイコツさんを相手にするのはちょっと無理ですからね。 あるていど、ガイコツさんたちがまとまったら、僕がターンアンデッドで足止めをしてみますっ! |
■ギャルム To:フレイム&ALL |
こっちはふたりを守るので手一杯だ、大元を叩くなら任せたぜ。 気を付けろよ! |
■フレイム To:ALL&ギュネイ |
……ならば、打って出よう。 万一、と言う事もある。ギュネイ殿は持ち物の確認を……。 或いは、反応している物が、あるかも知れない。 |
■ヘキサ To:女性 |
消去? 人を傷つけるつもりなら、自らも傷つく覚悟を持ってるってことですね? |
ヘキサはショートソードをその場に捨て、メイスを取りだし、その切っ先を女性に向けた。
■ヘキサ To:女性 |
あなたを敵とみなします、誰も傷つけさせはしません。 |