07d 水上都市ブレア
マーキュリーは鎧を脱いで軽装になると、船を下りて司祭像の周囲を捜索し始めた。
像の足元の苔を払ってみると、下位古代語が刻まれた台座を見つけた。
巨大な石板で、持ち出す事はできない。水面に浮上すると、無言で舟に上がる。
■ヘキサ To:マーキュリー |
どうだった? どうだった? |
■マーキュリー To:ALL |
像の足元で文字の書かれた台座を見つけたよ♪・・・ でも、ものすごく大きくて重そうだし、なにより、なんて書いてあるか読めませんでした(T▽T) たぶん、下位古代語だと思うけど・・・ ぁ、像の周辺では特に危険は感じられなかったよ。ただの勘だけどね。 |
■ヘキサ To:マーキュリー |
あ、うー、えーと…… そ、それじゃあ今度はぼくが潜って見るよ。 下位古代語ならぼく読めるし。 さすがにギュネイさんに行ってもらうわけにもいかないしね。 |
言うが早いか水の中に飛び込む。
■フレイム To:ヘキサ |
・・・あまり、深入りは・・・遅かったか。 こちら側に、時間をかけ過ぎるものでは、無いと思ったが。 |
周囲を警戒しながら像の台座に近づき、彫刻された下位古代語を解読し始めるヘキサ。
墓碑銘だろうか?
「水上都市ブレア設計者 ジエン・ウォーレント 209-246」
と翻訳できた。
■ヘキサ |
(……ブレア? ……ジエン?) |
水の中を漂いながら、しばし目を閉じて黙考する。
■ヘキサ |
(……ジエン……ジエン……! そうか、あのジエンか……となるとブレアもジエンの作品のひとつ……なるほど、それならこの都市が動いていたことも納得できるね) |
ヘキサは合点がいった顔をすると、水面向かって戻っていった。船に戻って皆に報告する。
■ヘキサ To:ALL |
内容はこう「水上都市ブレア設計者 ジエン・ウォーレント 209-246」 ギュネイさんならわかると思うけど、ジエンっていうのは古代王国期の高名な建築家にして付与魔術師、エンチャンターだった人だよ。 建築した構造物自体に魔力をかけて、まるでゴーレムみたいに操っていた……っていうのは伝説として語られてたんだけど…… |
ちらりと後方を振り向き、水をたたえた塔を流し見る。
■ヘキサ To:ALL |
この水上都市ブレアを見る限り、ただの伝説じゃなかったみたいだね。 |
■マーキュリー To:ヘキサ |
ヘキサ、お疲れ様♪ 最初からヘキサに潜ってもらえば良かったね |
■ギュネイ To:ヘキサ、マーキュリー |
おお!そいつはお手柄だったね!ジエン・ウォーレントか・・・ この遺跡が、奇才ウォーレントの作品だとしたら、大発見だな! |
■マーキュリー To:独り言 |
それにしても、昔の魔法はっていうか、ジエンさんって人はすごいんだなぁ 都市自体に魔法をかけて、浮かしたり、移動させたりしてたってことかな? 今度の調査で、ジエンさん印の魔法の品でも見つけられるかな♪ |
■ギュネイ To:マーキュリー、ALL |
無限の魔力があった時代とはいえ、1人で都市を動かす魔力を付与するのは難しかったんじゃないかな。 ジエン・ウォーレントの一門には、数多くの弟子がいたそうだよ。 その中には、武具や装飾品に魔力を付与する者もいたんじゃないかな。 |
■マーキュリー To:ギュネイ |
・・・ん?最後の数字はなんだろ?年号かな?それとも座標かな? アースさんはなんだと思います?座標だとしたら、湖のどこかを指し示していたりしてませんか? |
■ギュネイ To:マーキュリー |
うむ・・・おそらく年号にあたるものだろう。 座標にしては数字が小さすぎる。 それにしても・・・古代王国期にしては、若くして亡くなったんだな・・・ |
■リールォン To:ギュネイ |
……こうやって、この都市を造った人の名前が分かっただけでもいろいろと想像できますね。 ジエンさんはどんな思いを込めてこの都市を建造したんでしょうね。 自分の自分を悟っていたから、自分が存在していたことを残すためにこの都市の建造にそれこそ命を懸けていたのかもしれない……。 そして、残されたジエンさんのお弟子さんたちや家族の人たち……。 彼らにも彼ら自身のいろんな物語があったんでしょうね。 もしかしたら、ナナイさんは彼らのそんな物語の一つに関わっていたのかもしれませんね。 |
■ギュネイ To:リールォン |
”落ちた都市”レックスほどの巨大さではないが、500年以上経ってなお稼動し続けるこの魔力。私は偉業だと思うね。 ウォーレントの作品は奇抜なものが多くてね。 当時も一般人には受け入れられがたく、正史としてはあまり有名じゃない。 天才がゆえの孤独感を持っていたんじゃないかな・・・ ウォーレントの一門のその後については、記録はどこにも残っていない。 強力な指導者を頂く組織は、指導者を欠くと崩壊する・・・かな |
■フレイム To:ギュネイ |
・・・年号とすれば、終わりの数字を刻んだのは・・・弟子と言う事になる。墓標でもなければ・・・建設に費やした時間・・・かも知れない。 |
■ギュネイ To:フレイム |
なるほど、着工〜竣工の年号か。うん、その可能性も強いね。 |
■マーキュリー To:ギュネイ |
若くして亡くなった・・・病気か事故ですかね? それとも、骸骨軍団に・・・殺された? 骸骨軍団を率いた太守といざこざでもあったら、あり得ない話でもないですよね? 夢の実現に全力を注いだジエンさんと、魔法の都市と無限の兵力を手に入れた太守・・・ なんだか太守が悪い人だったような気がして来ちゃった(^^;) |
■ギュネイ To:フレイム |
骸骨軍団というなら「死霊魔術(ネクロマンシー)」の一門を思い出すね。 「付与魔術(エンチャント)」の一門と仲が悪いという話は、特に聞いた事はないが・・・。 その辺りの文献も、この遺跡を探せば見つかるかもしれん。まあしかし、当時の導師級はほとんど不死身の存在だからね。 自然死よりかは謀殺という方がうなずけるかな。 |
■フレイム To:ギュネイ、ALL |
・・・単純な事故死の類と、考えたいな・・・。 亡霊の類に、現れられるのは・・・・・・あまり、考えたくは無い。 |