07c 湖面の斜塔3

頭頂部で合流したアビィとギャルムは階下へと続く階段を覗き込んだ。
螺旋状の階段が続いているが、その途中から階段は水の中へと伸びている
その暗い水の底をアビィは暗視で見通してみるが、かなり下まで伸びているのがわかるだけだ。
おそらく、塔の円柱部は螺旋階段が根元の下層部に続いているのだろう
■アビィ To:ギャルム
これは……かなり深いぞ。
わたしの目ですら底が見通せぬ。

■ギャルム To:アビィ
そうか…。
でも階段が続いてるってことは、下っていけば遺跡内部に入れるかも知れないな。

■アビィ To:ギャルム
とりあえず、行けるところまで潜ってみるか。
すまないがロープを頼む。

■ギャルム To:アビィ
わかった。気をつけてな。
引き上げて欲しかったら2回引っ張って合図をくれ。

ギャルムはロープをしっかりと握り直す。
湖の水で満たされて塔内。
螺旋階段を少し下りてから塔の底を覗き込むアビィ。
ここからではドワーフの視力をもってしても判別することはできないかった。
あわてず、すばやく塔内を潜水してゆく。
階段から壁面に至るまで、水苔で埋め尽くされている。
外側から見えた窓は金属製の扉で、こちら側から閂が掛けられている。
そして更に下りると、塔の底にたどり着いた。
床の中央には金属製の扉が備え付けられている。
やはりこちら側から閂が掛けられており、両開きの扉のそれぞれには、頑丈そうな取っ手が備え付けられている。
早速扉を調べるアビィ。
罠は仕掛けられていないようだ。
かんぬき以外に鍵は仕掛けられていないようだ。
閂を南京錠で固定する為の通し穴はあるが、錠前がかけられていない。
ちょうつがいが内側に付いているので、内側に向かって開くようだ。
通常であれば、大人一人で扉を持ち上げられる程度の大きさだが、現在は塔内の水の圧力で、その数倍の力が必要となると思われる。
扉を叩いてみたところ、扉の中は空洞になっているようだ。
扉を開ければ、周囲に居た者は水流で押し流されてしまうだろう。
アビィは慎重に閂をはずしにかかる。
錆付いてスライドさせるのに手間取ったが、何度か蹴りつけると、ゴポリと泡をだして閂が外れた。
扉の取っての片方にロープを結びつけるとアビィは塔の上に戻り始めた。
■ギュネイ To:アビィ、ギャルム
おおうい!そっちはどうだぁい!何かわかったかぁ?

船の方からギュネイの呼びかけ。
ギュネイたちも船の方で調査を進めていたようだ。
遺跡の水底で何かを発見したらしい。
ギュネイは水底で見つけた石版のことを説明する。
■ギャルム To:ギュネイ
おーう、こっちはアビィが塔の下部に潜水して調べているところだ。
ちょっと待っていてくれなー。

大声で返す。
と、そこへ塔の中に潜水していたアビィが戻ってくる
■ギャルム To:アビィ
お疲れさん。何かわかったかい?

アビィに手を差し出しながら尋ねる。
■アビィ To:ギャルム
待たせてすまなかった。
この下は扉まで螺旋がつづいている、もちろん水でいっぱいだ。
正面の扉の閂をはずしてこのロープを結んできた。
運が良ければひっぱることで扉が開き水が抜けることだろう。

■ギャルム To:アビィ
そうか、お手柄だったな。
じゃあひとつやってみるか。

ギャルムはアビィからロープを引継ぐと、全身をたわめてから、ぐいっとロープを引っ張り始める。しかし、相当力を入れて引っ張ってみるが、びくともしないようだ。
■ギャルム
くそ、手強いな。やっぱり水圧が…。

■アビィ To:ギャルム
かなりきつそうだな…わたしも力を貸そう。

アビィもギャルムの後ろについてロープを引っ張ってみた。2人でタイミングを合わせて力を込める。
が、慣れない作業のせいか、うまく力を出し切れなかったようだ。
■ギュネイ To:アビィ、ギャルム
おおうい!どうしたぁ!何してるんだぁ?

■ギャルム To:ギュネイ&ALL
塔の下に扉があったんだが、水圧で簡単には開かないようなんだ。
ロープで引っ張ってみたんだが。
悪いが何人か登ってきて、手を貸してくれないかー?

■マーキュリー To:船待機組
僕昇ってみますね!力技なら手伝えるかもしれないから♪
鎧や武器や荷物は置いていきます。
塔の上から道が開けたら、装備はロープで引っ張り上げるって事で(^^)
あと一人誰かいきませんか?
僕は先に行きますね!

言うが早いか、ロープに手を掛けて昇り始める。
斜めに張ってあるロープに、両手両足でぶら下がりながら頭頂部を目指すマーキュリー。
特に危なげなく頭頂部にたどり着く事ができた。
■ギャルム To:マーキュリー
おう、お疲れ。

■マーキュリー To:アビィ&ギャルム
おまたひぇ〜
内心ドッキドキでした〜(T▽T)
っと、早速引っ張りましょう!

■アビィ To:マーキュリー、ギャルム
マーキュリー殿、ありがたい。
今度は息をそろえて引くとしようか。
1・2のさんっ!

アビィ、ギャルムに加え、マーキュリーがロープ引き寄せを手伝い、掛け声を共に一斉に力を込める。
すぐに手ごたえがあった!
しばらくして塔内の水面におびただしい量の水泡が巻き上がり、かなり早い勢いで水位が下がっていくのがわかる。
■マーキュリー To:アビィ&ギャルム
やったぁ♪
これでもっと入りやすい入口も確保できますね♪
それに建物の中にも入れますね♪(^^)

■ギャルム To:アビィ&マーキュリー
ふぅ、やっと開いたか……。
ん、そうだな、さっそく下に行って調べてみるか。
滑らないように気をつけてな(笑)

■アビィ To:ギャルム、マーキュリー
少なくとも、水があったときは罠らしきものはなかった。
とはいえ、気をつけていこう。

慎重に階段を降りていく。