07b 湖面の斜塔2
塔の内部からは確実に水が抜けつつあるようだ。
既に頭頂部からの水流はほとんど止まっている。
塔には所々に窓らしきものが見えるが、扉は閉められているようだ。
その扉の隙間から水が流れ出ている。
塔の根元は瓦礫で埋まっており、入り口らしきものは見当たらない。
不安そうな面もちで、塔を見上げながら
■マーキュリー To:ALL |
塔まで行くのも、塔の上に昇るのも裸かな・・・ 壁は滑りやすいのかな・・・足がかりは多そうかな・・・ ロープがあっても、アースさんやマクドナルドさん、マイスさんは自力では登れないんじゃないかな・・・ どうします? |
自分も登れませんと顔に書いてあるぞ?
■オウル To:ALL |
ロープに結び目でも付けてくれりゃ、楽に登れるんじゃないかな? |
■アビィ To:ALL |
なに、高さを違えて2本張ればいい。 そうすればかなり安定する。 鎧を着たまま上がってもいけそうだぞ。 |
■ギャルム To:アビィ |
船と塔を繋いで渡るってことか? どうかなぁ、土台が船だろ…、だいぶ揺れるんじゃないか? |
■オウル To:アビィ、ギャルム |
今は引っかかって動かないが、風が吹けばいつ動き出すやもしれん。 船が固定されているとは思わない方がいいな。 |
■ギュネイ To:ALL |
私はともかく、ナナイさんには難しいかもしれん。 中に入ったら他の出入り口を探さないといかんな・・・。 |
■アビィ To:ギュネイ |
つまり偵察してきてほしいということだな。 遺跡がどのくらいこの状態であるかもわからぬし、急いだ方がいいかもしれない。 窓あたりから入ってみようか。 |
■ギュネイ To:アビィ、ALL |
うむ・・・危険な役目だが、よろしく頼むよ。 |
■ギャルム To:アビィ |
いや…、待てよ、窓の隙間から水が流れ出てるぜ。 あの状態で開けたら危険だな。 頭頂部はもうすぐ水が引けるだろう。まずは上から入って様子を見てみないか? |
■フレイム To:ギャルム、ALL |
・・・元より、水に入る事を・・・前提と考えていたな。 様子が落ち着いたら、そこから入って見ても、良いだろう。 ・・・先ずは、身の軽い者から様子見か?ならば、俺も行けるが・・・。 |
■アビィ To:ALL |
水に入るには鎧を脱がねばならん。 得体の知れない塔に鎧なしで近づくのはできるだけ避けたいしな。 言い出したのは私だ、私が行こう。 無事に着き、安全だったらマントを振るので、続くなり、水中から近づくなりしてくれ。 ああ、長いロープを貸していただけるとありがたい。 |
■ギャルム To:アビィ |
頭頂部までは20mくらいか? オレのロープでギリギリかな。 任せたぜ。 |
ギャルムは背負い袋からロープを出し、アビィに手渡す。
■アビィ To:ギャルム>ヘキサ、マーキュリー |
かたじけない。 われわれはこれで十分だが、もう1本あると上りがもうすこし安定するのだが……。 もしよろしければ、ヘキサ殿、マーキュリー殿、その長いロープもお貸しいただけないだろうか。 貴殿らの勇気は承知しているが、最初の接触でなにがあるかはわからぬ。 周りを守れる腕をお持ちの方は、依頼人のそばにいていただきたいと思うのだ。 もし私が失敗したら、水中から攻略を試みていただけるとありがたい。 |
今の水位でも背が立たないという、コンプレックスがアビィの口から語られることはけっしてない。
■ヘキサ To:アビィ |
ん、わかったよ。 ぼくはぼくの役割を果たすから、アビィさんも自分の役割がんばってね。 |
言いながらロープを渡す。
■フレイム To:アビィ |
・・・気を付けろ。我等の中で、お前が最も水辺が危険だ・・・。 こちらの事は、任せてくれて良い。 |
■アビィ To:フレイム |
フレイム殿、非常にやる気のでる警告に感謝する。 |
なんとなく冷ややかにも思える視線をなげると、アビィは気を取り直すようにマイスの方を向く。
■ギャルム To:フレイム |
(小声)あーあ、機嫌損ねちゃったぜ。 オランに帰ったら、火酒でも奢らないとな。 |
肩すくめて微笑。
■フレイム To:アビィ、ギャルム |
・・・すまない、そう言うつもりでは、無かったのだが・・・。 ・・・解った、祝杯は奢ろう。 |
■マーキュリー To:アビィ、ギャルム |
もちろんだよ。 こんな時のためのロープだからね。 二人とも気を付けて、がんばってきてね♪ |
そういって、アビィにロープを手渡す
■ギャルム To:ALL |
おう、任せとけ。 |
■アビィ To:マイス |
ところでマイス殿。 以前ナナイ殿を見つけたというのはどのあたりだろう。 まわりの情景も覚えておられたなら教えていただきたい。 |
■マイス To:アビィ |
あの塔の一番上さ。以前よりひどく崩れているな。 ナナイと脱出した時にもかなり崩れ落ちたから、もう何も残ってないかもしれん。 |
■アビィ To:マイス&ALL |
なるほど、となると最上部は安全に入れる可能性が高いな。 さらにやる気が増してきたぞ。 それでは、ちょっとした軽業をお目にかけよう。 |
アビィはロープの先に、ハンドアックスをくくりつけると、慎重に狙いを定めた。
そして・・・投擲したハンドアックスは崩れた外壁の端に手斧が引っかかった。
ロープを引っ張って外れない事を確認すると、そのままするするとロープを伝って上り始める。
塔の崩れた頭頂部に到着すると、すばやく周囲に目を走らせ、周囲を警戒する。
天井の無い、がらんとした部屋だ。
部屋の端に四角い穴が開いており、階段が下へと続いているのが見える。
アビィはくさびとハンマーを使って、2本のロープを固定すると、マントを振って合図を送った。
■ギャルム To:ALL |
どうやら上手くいったみたいだな。 オレたちも続くか。 ナナイさんも入れるような入り口があると良いんだがな。 |
そう言ってアビィの後に続く。
出だしで、足を滑らせたが、再びロープを握りなおすと、
危なげも無く塔の登頂部にたどり着いた。
頭頂部の部屋(ほぼ全壊)には、もうほとんど水は残っていない。
瓦礫も落ちておらず、身支度品も何もない。
見えるのは下階へ続く階段への穴だけだ。
■フレイム To:ALL |
・・・殿は、勤めよう。先に進んでくれ。 |
■マーキュリー To:ギュネイ |
アースさんや他の人も全員で塔の中に行くのかな? そだ、アースさん、遺跡がここに留まっている時間って、後どれくらいあるかわかりますか? 捜索時間もそうだけど、脱出時間も計算しておかないとって思って。 |
■ギュネイ To:マーキュリー |
塔の他に出入り口が無ければ、それも仕方ない。その場合は私も塔を登ろう。 遺跡の滞在時間だが、5時間か・・・長くても6時間ぐらいだろうか。 |
■リールォン To:ALL |
そうですね、あまり遅くならないようにしないと。 村の方にまた、モンスターが出現するかもしれないですし、できるだけ効率よく調査しましょう。 |
■マーキュリー To:ALL |
じゃぁ、みんなで塔の根本まで歩いて行きましょうか? アビィやギャルムが入りやすそうな入口を見つけてくれたら、そこから入ればいいし、 見つけられなかったときは、重い装備やナナイさんをみんなで引っ張り上げてはどうですか? 取り敢えず、準備しなきゃ。 |
そう言って、背負い袋から探索に必要ないと思われる食器、毛布、調理道具を取り出して舟の上に並べ始める。
■ヘキサ To:ALL |
なんにしても、ぼく達は二人に呼ばれるまで待つしかないね。 |
■マーキュリー To:ALL |
そうだ、どうせしばらく待つのなら、舟の下に潜ってみて、拾えそうな物を探してみるのはどうかな? ちょっと潜ってみようと思うんですけど。 |
■ヘキサ To:マーキュリー |
あ、それいいね。 |
■ギュネイ To:マーキュリー、ALL |
なるほど、遺跡を前にして黙っていては冒険者といえぬというわけですな。 確かに、水の中とはいえ、我々はもう古代遺跡の中にいるも同然だ・・・。 どこに財宝が眠っているかわからんからね。 |
■フレイム To:マーキュリー |
・・・解った。こちらの警戒は、やっておこう。 |