07a 湖面の斜塔
翌朝。一行はギュネイが導き出した水域を目指して、帆船に乗り込み出発した。
船上では、濡れると使えなくなる装備に、油紙や蝋などで念入りに防水し、水場での探索に備える。
ギュネイはその一行の様子を見ながらも、ナナイの方も時折見つめている。
ただ、どうにもよそよそしい感じはする。まるで物でも見るかのようだ。
そして天頂に日が差しかかった頃、目的の水域に1本の杭が刺さっているのを発見した。
しかし、近づくにつれてそれが杭などではないことがわかる。
巨大な黒い円柱。登頂部が崩れてており、空っぽの内側から水が流れ出ている。
それほどの量は流れ出ていないが、円柱内部には水が満たされている。
まるで、つい先ほど水のなかからせり出てきてきたかのようだ。
■マイス To:ALL |
あれは・・・俺があの時見た尖塔じゃないか・・・ |
さらに近づこうとするが、強い衝撃とともに船が停止してしまう。
湖面を覗き込むと・・・そこは一面の廃墟。
崩れた建物などで深さはまちまちだが、深い所で3m、浅いところ人間の腰のあたりほどだろうか。
光の屈折のせいだろうが、すぐ手が届きそうな所に苔むした巨像が倒れているのが見える。
像は長衣を着た司祭を模ったもののようだ。苔で詳しい輪郭などはわからない
■ヘキサ To:ナナイ |
おあっとととと。 ナナイさん、大丈夫? |
自身船の縁につかまりながらも、他人の心配をしている辺りヘキサらしい。
■ナナイ To:ヘキサ |
・・・ヘーキ |
衝撃でバランスを崩し、甲板にぺたんと座り込んでしまったようだ。
■ギュネイ To:ALL |
す、すごい!本当にあったんだ! どどどどどうしよう!! |
興奮して船上を行ったり来たりするギュネイ
■アビィ To:ギュネイ |
ギュネイ殿、気持ちは分かるがもうすこしじっとしていてもらえないだろうか。 船が転覆して岸まで泳ぐとでもなれば、探索どころの話ではなくなる。 |
ゆれる船縁にしがみつきながら言うアビィ、そう言いながらも目はしっかり廃墟に吸い寄せられている。
■ギュネイ To:アビィ |
これがじっとしてられるかい!? ああ、どこから手を付けていいのやら! |
■ギャルム To:ギュネイ |
焦って飛び込まないでくれよ(笑) |
■リールォン To:ALL |
ホントにスゴイですねぇ……。 やっぱり、古代魔法王国ってとんでもな力持ちさんですねぇ……。 |
荘厳とも思えるあまりの風景に、惚けるリールォン。そしてその発する言葉もどこかずれている。
■フレイム To:ALL |
これは・・・・・・確かに、凄い・・・・・・。 探索の必要も無かったが・・・先の衝撃、船底が何かに引っ掛かってしまったのでは? |
■ギャルム To:フレイム>オウル |
そうかもな。 オウルさん、船は大丈夫そうかい? 船底を見てきたほうがいいか? |
■オウル To:ギャルム、フレイム |
それほどすごい音じゃなかったから平気だと思うよ。 ほらちょっと引っかかってるだけさ。 |
船体すぐ下に崩れた壁面が積み重なっているのが見える。
その壁面でできた浅瀬に乗り上げたようだ。
ナナイはその光景を不思議そうに眺めている。
■フレイム To:オウル、ALL |
ふ・・ん・・浅瀬が、多くなっているのだな。 入り込めぬ所が、出ていなければ良いが・・・。 まあ、どの道・・・底には泳いで行かねば、ならんか。 |
■マーキュリー To:オウル、ALL |
もう少し進めそうですか? それとも、ここからは泳いで行った方がいいのかな? 尖塔まで、どれくらい距離あるのかな・・・ |
手を伸ばして指を立て、尖塔との距離を目測してみる。
直線で約15m。それこまではそれほど深くないので、歩いてゆけるけもしれない。
円柱の直径は5m、水面からは10mほど出ているだろうか。
■オウル To:フレイム、マーキュリー |
この浅さだと、遺跡の上を進むのは危険かもしれんな。遺跡の周囲を移動するなら平気だと思うが・・・ |
■ギャルム To:ナナイ |
…なるほど。 すげぇだろ。あんたはこの下にいたんだってさ。思い出せそうかい? あんまり覗き込むと落ちるから気をつけてな。 |
さりげなく片手で制しながら。
■ナナイ To:ギャルム>ALL |
・・・ワカラナイ。なない、シタ、オリル。 |
サンダルを脱いで、飛び降りようとてすりに手をかけるナナイ
■アビィ To:ナナイ |
ナナイどの、およげるのか? |
■リールォン To:ナナイ&アビィ |
うわわわぁ〜! そんな、一人で飛び込もうとしちゃ危ないですよう!! アビィさんも、そんな冷静なツッコミしてないでくださいよう(T-T) |
■ナナイ To:アビィ、リールォン |
?・・・オヨゲル?・・・アブナイ? |
■ギャルム To:ナナイ>マイス |
オレたちが危険がないかどうか確かめてから泳いでくれな(笑) マイスさん、しっかり見張っとけよ。 |
ナナイの肩を掴んでそっと引き戻してマイスに渡す(笑)
■マイス To:ギャルム>ナナイ |
あ、ああ。わかった・・・ナナイ、そこ、座る、待つ。 |
マイスに言われて、渋々あきらめるナナイ。ぷーっと頬を膨らませている。
■ギャルム To:マイス |
やれやれ、あんたも大変だな。 |
■ヘキサ |
ううー、すぐ近くにこんなにいいモチーフがあるのに……あるのにー。 こんなことなら画材持ってくれば……いや、でも水に濡れちゃったらもともこもないし……ブツブツ。 |
■ギャルム To:ヘキサ |
わかったわかった、依頼が無事終わるまでは我慢しとけよ。(笑) |
■ヘキサ To:ギャルム |
ううー……うん、“とりあえず”はガマンガマン。 |
この光景を脳裏に焼き付けようと言うのか、食い入るように湖面を見つめている。
■アビィ To:ギュネイ |
ギュネイ殿、ちょっとお尋ねしたい、古代王国の遺跡にはよく司祭の像があるのか? この遺跡から骸骨が出てくるらしいということが気になる。 あの像がどの宗派のものか推測をつけることができないだろうか。 |
■ギュネイ To:アビィ |
うーん、苔むしててよくわからないな・・・古代王国期ならラーダの司祭像を見た事があるけど、ちょっと雰囲気は違うね。邪神の類じゃなきゃいいけどなあ |
■アビィ To:ギュネイ |
邪神の可能性もないわけではないと、なるほど、心しておこう。 |
■フレイム To:アビィ、ギュネイ |
モンスターが出る・・・と言うのだ。 その可能性、決して低いと言うほどでは、無いと思うが・・・。 |
■マーキュリー To:ギュネイ |
最初にどこから手を付けます? さしあたっては、尖塔まで行くか、潜って司祭っぽい像を調べますか? |
■ギュネイ To:マーキュリー、ALL |
とにかく遺跡への入り口を探そう。さしあたっては・・・あの尖塔が怪しいそうだけど・・・まあ、まずは君たちにまかせるよ。 |
■ギャルム To:ALL |
そうだなぁ、これ以上は船では進めなさそうだし、歩いて行けるのなら尖塔の様子を見てくるか。 この距離なら、ロープを命綱にして体に縛り付けておくこともできるしな。 |
■アビィ To:ギャルム |
ロープか、先にここから塔まで先に届かせられるといいのだが。 |
■フレイム To:ALL |
・・・ああ、ここからでは、検討も付け辛い・・・。 ここは、正面から一つずつ、調べるべきか。 |
■ヘキサ To:ALL |
んじゃ、とりあえずぼくが潜ってみようか? |
言うが早いかマントを脱ぎ捨て、いつものクロースに腰にショートソードを差しただけの格好になる。
■ヘキサ To:オウル |
この湖で危険な生き物っている? |
■オウル To:ヘキサ |
特に危険なやつはいないかな。ワニは岸辺の沼にしかいないしな。 |
■ヘキサ To:オウル |
そりゃあよかった。 |
■マーキュリー To:ALL |
そういえば、もし遺跡から化け物が出てきたなら、どこから、どうやって岸まで行ったんだろ? 泳げるのかな?水の中を歩いて岸まで行ったのかな? それに、水の中に大きな出入り口でもあるのかな? 新しく作られていく怪物がぞろぞろと・・・(==;) |
■ヘキサ To:マーキュリー |
そりゃあよかった。 |
って、ちがうだろ。
■ギャルム To:ヘキサ |
面白いモチーフになりそうじゃないか。 |
笑いを堪えながら(笑)
■ギュネイ To:マーキュリー |
ボーンサーバントなら水に浮くかもしれんね。 結構複雑な動きができるそうだから、泳ぐ事もできるかもしれん。 なんにしても、そんなものがぞろぞろ出てきてもらっちゃこまるなあ・・・ |
■マーキュリー To:ヘキサ |
ぁ、がんばってね・・・僕のロープ、30mあるから使ってね。 |
妄想入って、ひとり合掌w
■ヘキサ |
ううー、勢い込んで言ったものの……なんだか心配になってきたよ。 |
ブツブツ言いつつも、体にロープを巻きつけていく。
■ギャルム To:ヘキサ |
まぁ待てよ、まずは濡れずにすみそうな所から調べてみようぜ。 |
ヘキサの手を止めて、尖塔を指差す。
■ヘキサ To:ギャルム |
え? ああ、うん。 そうだよね、やっぱりその方が良いよね。 |
安心したような、でも何故か少し残念そうな顔をして、巻きつけていたロープを解いていった。