マルシェの村に戻った一行は、大骸骨の首とオウルの証言で、領主から約束の5000Gを受け取ることができた。村に怪物退治の報が伝えられ、その晩は村を救った英雄達のために村唯一の酒場で宴が開かれることになった。ひとしきり村人からの歓迎を受けた後、やっと落ち着くことができた。
■オウル To:ALL |
いやあ〜、ほんとによお、すげえよなあ!あんたら!俺の目に狂いはなかったってわけだ!いや〜めでたい!わははは |
■ギャスパー To:ALL |
そういや、どたばたしていて報酬の交渉するのを忘れていたなぁ…。(笑) |
■リシィア To:ギャスパー |
そういえば、慌しくてすっかり忘れていましたね。 でも、なんとか死者を出さずに済んだのがなによりです。 |
■アズラ・ラ・ライト To:独り言 |
ふにゃあ、初めての冒険だったからどうなるかな〜とちょと不安だったでしが、無事終わって良かったです〜 仕事の後のお酒は美味しいです♪ |
■マイス To:ALL |
彼女を救ってくれて本当にありがとうございました。 こいつ、何もわかってないみたいですけど、やっぱり普通じゃないですよね。 これからどうしたらいいんだろう・・・ |
■ギャスパー To:ALL>リシィア |
どうしたもんかなぁ…。 リシィア、言葉を覚えるまで、この子を学院に預けるとしたらいくら位かかるかなぁ? |
■リシィア To:ギャスパー |
私は学院で勉強したわけではありませんから詳しくは分かりませんけれど、通常の手順で学院に入るとなると、一般の家庭では支払えない程度にお金がかかるでしょうね(^^; 事情を全て話した上で、調査対象として預かってもらうという手も有りますけれど……安全ではあるでしょうが、記憶が戻った場合に一生学院から出してもらえなくなる可能性もありますね。 |
■アズラ・ラ・ライト To:リシィア>マイス |
学院でしか……調査対象って言うと聞こえはイイでしが、なんかモルモットみたいでヤでしねぇ。 とりあえずは言葉や普通の生活に慣れるまで、この村でしばらくのーんびりさせてあげるのもいいんじゃないでしか? 村にとって迷惑でなければ、の話でしが〜。 それに……マイスさん、彼女の事お気に入りみたいだし(にこにこ |
■マイス To:アズラ・ラ・ライト |
お、お気に入りって、そんなことはないけど・・・ 困ってたから助けだだけだよ。 |
この青年にしては珍しく焦った様子。心なしか頬も赤くなっているようだ。
■リシィア To:ALL |
先ほどから考えていたのですけれど、私はしばらくこの村に残ってみようかと思っています。 骸骨達もリーダーを失ったとはいえまだ大量に潜伏していますし、湖の調査も終わっていませんから。 それに女性に言葉を教えるにも、下位古代語が分かると便利でしょうし。 |
■ギャスパー To:リシィア |
確かに。 |
■オウル To:リシィア |
そりゃあいい!、万が一骸骨どもが戻ってきても、あんたがいれば安心だ。なにより美人が村に残るってのがうれしいねえ!わははは |
■ギャスパー To:オウル |
…。俺も残った方がいいかと思ったけど…。 美人じゃないしなぁ。(笑) |
■アズラ・ラ・ライト To:ギャスパー |
まあまあ。ギャスパーおにーさんもかっこいーから村の娘さんとかに惚れられちゃうかも知れないでしよ?(にこにこ |
■ギャスパー To:アズラ>オウル |
それは嬉しいな。そんじゃ、もう少しこの村でブラブラしてみっか。(笑) まじめな話、もう少し谷の辺りの安全を確認したい気がするから、俺もしばらく残ろうかと思ってんだけど…。 空家はあるかなぁ? |
■オウル To:ギャスパー、リシィア |
なあに、あんたらは村を救った英雄じゃあないか!リシィアともども、うちの客間を使ってくれい!わははは |
■ハティノス To:ギャスパー |
そうですね、僕もその点はちょっと気になっているのでギャスパーさんが残ってくださるなら安心です ・・・でも、帰りは4人かぁ・・・なんかちょっと寂しいなぁ。 |
■リシィア To:マイス |
ところで、ずっと『彼女』では不便ですし、名前をつけてあげませんか? いずれ記憶が戻るまでの仮の名前になりますけれど、無いよりはあったほうがいいですよ(^^) |
■マイス To:リシィア&ALL |
うーん・・・それなら、「ナナイ」というのはどうかな。極東の言葉で”名もなき歌”って意味だって、東から流れてきた小人族の旅人が言ってたけど。 |
■ライラック To:独り言 |
・・・・ナナイ・・・・・名もなき歌・・・・(ブツブツ) |
マイスの言葉を聞いた、ライラックは自分の楽器を手元に引き寄せて、
小声でその言葉を何度も繰り返し始めた。
■アズラ・ラ・ライト To:マイス>ALL |
ナナイ、でしか。いい響きでしね^^ そいえば「名もなき歌」ってので確かこんなのがあったような…… ♪輝く奇蹟をその瞳(め)に宿し、祝福されし乙女は唄う。 其れはあたかも星の煌めき、涙こぼれん輝石の欠片(かけら)。 或いは確かな大地の息吹き、はるかに萌ゆる命の鼓動。 乙女は唄う名もなき歌を、此の世に芽吹く奇蹟の歌を。 風に泳ぎて旋律響く、麗しきこの世界を讃え……♪ |
荷物から素早くハープを取り出すと、アズラがゆっくりと古い旋律の歌を吟じた。
■マイス To:アズラ・ラ・ライト、ALL>ナナイ |
結構いい歌なのに、名が無いなんて不思議ですね。 じゃあ決まりかな。 ナナイ。君の名前だ。 |
■ナナイ To:マイス |
ナナイ?・・・ナナイ。 |
■リシィア To:ナナイ |
よかったですね、ナナイさん(^^) |
■オウル To:ALL |
ふーん。それはいいとして、もって帰ってきた大骸骨の身体はどうするんだ?村に置いておくのは勘弁してくれよぉ〜?気味悪いったらありゃしない! |
■ライラック To:オウル&ALL |
・・・・・骸骨・・・・骨・・・・あ、えーと、あの、オランの・・・ えと、こんなのこそ魔法学院で引きとって貰えたりは・・・できないでしょうか? |
■ギャスパー To:ライラック |
あるいは、研究材料として売りつけるか、な。(^^;; |
■アズラ・ラ・ライト To:ギャスパー |
あの置物と一緒に、古代の遺跡に関係あるものって言って売りつけたら高く買ってくれるかも知れませんでしね〜。 せっかく頑張って倒したのにタダで引き渡すのは勿体ないでし♪ |
■リシィア To:ALL |
ただの骸骨で無いのは形と大きさからも確かですし、きっと買い取ってもらえると思います。 後ほど、詳細を書いた手紙を用意しておきますね。 |
■オウル To:ライラック、ギャスパー&ALL |
まあ、なんでもかまわんさあ。きれいさっぱり燃やしちまう方がすっきりするけどなあ |
■リシィア To:オウル |
脅かすようですが、燃やしても場合によっては元に戻ってしまう事もあるかも知れませんよ? 魔法的な力が関わっていることは確かですから。 その点、学院で保管してもらえば、まず今後問題は起こりませんから安心です。 危険があると判断されれば、封印してしまいますしね。 |
■オウル To:リシィア |
ふーん、そんなもんかなあ。まあ専門家に任せるよ。 |
後に、オランで鑑定された大骸骨はボーンサーバントの残骸と判断されることをまだ知らぬ一行・・・。
売却を考えてもほとんど無価値。
置物の方も、魔力をほとんど使い切っており、これまた無価値。
(ただ、材質的な価値はあり、40Gで引き取ってもらえた)
リシィアの紹介もあり、双方とも一応調査はしてもらえるが、
すぐに結果が出るものではない、ということになる。
■オウル To:ALL |
さあて!最後にもう一度乾杯だあ! |
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
村はすっかり寝静まったけれども、ライラックは眠れないでいた。
初仕事だったから、まだ気分が高ぶっているのかもしれない。
散歩をする事にした。
湖の方から吹いてくる風が、火照った身体に心地いい。
・・・・・
店を飛び出して、冒険者の店にきて、気がついたら今ここにいる。
これから自分はどうするんだろう。
仕事をしていた間は忘れていられた事柄が、また頭の中をグルグルと回り始める。
♪そして乙女は ここより歩み始めん 今だ気付かぬ愛に見守られて
名も無き始まりなれど
骸の影を穿つ 銀の色の その一雫に導かれて
あて無き道なれど
いつか雫の 湖になり海になるが如く 歩みし道こそ名となれリ
やがて朝日の 地の果てより上るが如く 咲きし花こそ愛となれり
もやもやした悩みを振り払おうとして歌ったその歌が、
ナナイのこれからを祈る歌だったのか、
今回の冒険を歌ったものだったのか、
いまだに思い出を引きずって冒険者になりきれない自分のことを歌ったのか、
ライラック自身にもわからなかった。