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16a 紅の谷、夕暮れ


雨の旧街道をひた走るハティノスとライラックは、半刻を待たずして
小高い丘ひとつ挟んだ「紅の谷」の入り口付近に到着した。
乗馬の疲れをものともせず丘を登り詰める。
ようやく谷の入り口を見下ろせる場所まで来たその時、谷から十数体の人影が踊り出て、一行とは反対の丘を目指して駆け上がっていくのが見えた。
■ハティノス To:ライラック
ライラックさん、あれ!
よく見えないけど、リシィアさん達が追われているのかも
追いかけましょう!

■ライラック To:ハティノス
は、はいっ
(小声で)・・・・数が多い・・・・囲まれてないと良いけど(汗)

人影を追って丘を下るも、その集団に追いつくことはできなかった。さすがに距離が詰まり、その姿を確かめることができた。夕べの骸骨たちだ。その中の数体が立ち止まり、武器を構えてこちらを見ていたが、すぐにきびすを返して反対の丘へ駆け上がっていく。その時だ。谷の奥の方から人間の話す声が、谷に反響して聞こえてきた。内容はわからないが、そう距離はなさそうだ。
■ハティノス To:ライラック
これは・・・
こんなところにいるとしたらリシィアさん達か敵の親玉か・・・
行って見ますか

切立った崖の間を、少し急ぎながらも慎重に進むハティノスとライラック。
進むにつれて谷の幅は次第に狭くなり、ついには5,6m幅の岩壁が見える所まで来た。
そこには、先ほどの一団とは異なる骸骨達が、整然と並び待機している。その中央では、一際大きい骸骨が、手に持った棒切れを、まるで舞うように振り回している。
■男の声
の女…れてんのか!?
顔をひっぱたいてみろ、アズラ!

男の怒鳴る声。今度は聞き取ることができた。
ふと見上げると、切立った崖の上に、1本のロープが渡されているのが見える。しばし様子を伺っていると、崖の両方から声が聞こえるのがわかる。どうやら谷をはさんで何かやりとりをしているようだ。
■ギャスパー
合図をしたら、アンタも一緒にロープを引っ張ってくれよ!

■ハティノス To:ライラック>ALL
あの声、ギャスパーさんだ!
みんなそこにいるんですか?!!

■ライラック To:ハティノス
もしかして向こうの崖に渡ろうとしてるんでしょうか?
そしたら・・・・あの骸骨達と鉢合せしちゃうんじゃ?(汗)
とにかく、みなさんのいる辺りまで登る方法を考えないとっ

突然、ザザッ!と大きな音が聞こえる。
隊列を組んだ骸骨達が一斉に足を踏み下ろす音だ。
どうやらこちらに気づかれたらしい。
前列の5体が、槍を構えてこちらに突撃してくる!!

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