森の獣道に入って半刻。
鬱蒼と生茂るシダの茂みを抜けると、木々の間から開けた空間が見えた。
更に進み、コケの生茂る岩を幾つか超えると、眼下に谷底を望める場所に出ることができた。
そして・・・谷底には円陣を作る無数の人影。昨夜村を襲った骸骨の群れがそこにあった。
その中で一際大きい体格の骸骨が、円陣の中央で何か作業をしている。
■アルテナ |
…なんだあれは? |
■オウル To:ALL |
結局女は見つからず終いか。 となると、やはり谷の入り口の方に下りたかな・・・? どうだ、何か見えるか? |
■ギャスパー To:ALL |
うーん、ガイコツどもが円陣を組んでいるんだけど… 何をしているのかなぁ? |
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
ふにゃにゃ、一匹だけ大きいのが真ん中にいますね…… もしかしてあれが、オウルさんが言ってた「最初に村に出現したでっかいガイコツ」でしかねぇ??? |
■ギャスパー To:ALL&オウル |
あれ? そいつはオウルさんが倒したって言ってなかったっけ? オウルさん、アンタが倒したヤツって、アレくらいの大きさだったのか? |
■アズラ・ラ・ライト To:ギャスパー |
いや、確か「斬りつけたら逃げてった」って言ってたような……。 大きさが似てるってだけでは、同一人物…じゃない、同一骸骨かどうかは断定はできないでしがね〜 |
■オウル To:ギャスパー&ALL |
どれどれ、よっと・・・ああ、あいつだ! くそ、あいつが骸骨どもの親玉ってわけか・・・? なんだ、何をしてやがるんだ? |
■リシィア To:ALL |
女性の姿は……無いようですね。 捕まってはいないようですから、やはりまだ周辺に居るのでしょうか。 |
崖の上から谷底までおよそ20m。
谷の幅も同じくらいだが、所々で数mほどまで狭くなっている所もある。
円陣の骸骨の数はおよそ30。中心の骸骨から4,5mほどの距離を置いてぐるりと取り囲んでいる。
谷のあちこちに数体ずつ骸骨が配置されており、これと合計すれば40体を超えるだろうか。
■オウル To:ALL |
なんだありゃ・・・踊ってるのか?? |
中央の骸骨は、手に持った棒切れを滑らかな動きで振り回している。
骸骨が纏っているぼろぼろの外套がふわりと翻り、まるで踊っているように見える。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
お、踊ってますです……??? しかも他にもガイコツいっぱいいるし…… 宴会、ってのは違うでしょうから、何か儀式みたいなものでしかね?? ガイコツがそんな事するなんてちょっと信じられないでしが…… |
■アルテナ To:ALL |
それにしても数が多すぎる。ここにすべて終結しているのか? |
■リシィア To:ALL |
もうしばらく様子を見てみましょう。 |
ふと思いついて、小声でセンスマジックを使う。円陣の中央付近に強い魔力を感じる。
古代語魔術の儀式魔法(ディスペルやファミリアーなど)が行われている感じに良く似ている。
中央の骸骨についてはよくわからなかったが、少なくともスケルトンやスケルトンウォーリアではないようだ。
■オウル To:ALL |
ああ!地面が! |
中央の骸骨が天高く棒切れを掲げると、その足元が次々と盛り上がっていく。
そこから突き出た白骨の腕、そして頭蓋骨が、もどかしそうに地面から抜け出そうとしている。
その数は5体。まぎれもなくスケルトンだ。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
はにゃあああ……ガイコツ出てきたですうぅ! あれって、召喚……でしか??? |
■リシィア To:アズラ |
召喚か、もしくは地面の下に埋まっていた骨を利用してスケルトンを作り出しているのかも……。 |
リシィアの魔法の視力は、円陣の中央を覆っていた魔力の光がスケルトンの出現とともに消える光景を捉えていた。
しかし大きな骸骨の方は、その外套の下から僅かに魔力の光が漏れている。
■オウル To:ALL |
なっ・・・!5体も増えちまったぞ!どういうこった!? |
■アルテナ To:ALL |
信じられん…このままではきりがないぞ! |
そして女の悲鳴。谷の対岸、一行のいる側とは反対の谷の淵からだ。
岩陰から女物の服を着た人影が飛び出し、谷の入り口方面に駆けていく。
谷底の骸骨達にも変化があった。
十数体が入り口の方へ駆け出し、残りも整然と隊列を組み始める。
■アズラ・ラ・ライト To:ALL |
あっ!! あっち、あれって例の女の人じゃないですかにゃ?? 早く追いかけないとヤバそうな気配ですぅ〜〜 |
■リシィア To:ALL |
急いで後を追いましょう! |
女性を追い、谷の入り口方向へ向かう。
■ギャスパー To:リシィア |
ボスを足止めできないかなぁ? 俺が弓を使ってもいいんだけど…。 |
リシィアの横に並びながら訊ねるギャスパー。