船着場には入り江の見張り命じられた従者だろうか、佇む人影が二人見える。多くの小船が綱に繋がれているが、雨と風で激しく揺れ動いている。
■従者1 To:ALL |
おお、あんたたちか。こっちは今のところ異常なしだよ。・・・しかし、マイスの奴本当に船を出したかなあ。これじゃほとんど視界が利かないじゃないか・・・ |
■ライラック To:ハティノス>従者1 |
うわぁ・・・・・・・ ハティノスさん、凄い波です(汗) あ、あの、他に誰か船を出せるような方は村にいらっしゃいますか? |
■従者2 To:ライラック>従者1 |
あー、まあこの村の男なら皆船を操れるが、この雨じゃ・・・なあ? |
■従者1 To:従者2>ライラック、ALL |
うーむ。場合にもよるが・・・どこか行きたい所でもあるのかい? |
■ハティノス To:従者1 |
えぇ、マイスさんが向かうとしたら湖の湖底にあるといっていた遺跡だと思うんです。 なので船を出せるだけでなく遺跡の位置もご存知の方が望ましいのですが。 その付近までいけばマイスさんの船が見つかるかもしれません |
■従者1 To:ALL |
湖の遺跡かあ。前にも偉い学者さんが大勢の冒険者を雇って湖を調べたけど、見つからなかったからなあ。本当にマイスは遺跡を見つけたのか・・・?何か目印になるような事、言ってなかったか? |
■ハティノス To:従者1 |
えっと・・・・ そうだ、マイスさんは自分の漁場の湖底に遺跡が現れたと言っていました マイスさんが漁場としているあたりにいけば何かわかるかもしれません |
■従者1 To:ハティノス>ALL |
漁場か・・・まあ、いくつか心当たりはあるが、この雨の中全部回るのは骨が折れるなあ。 他になにか手掛かりになるような事思い出せないかな? |
■従者2 To:ハティノス>ALL |
俺は素潜りもやるから、湖の中のことも少しはわかる。 地形的な特徴なんかがわかれば、ある程度特定できるよ |
■ライラック To:ハティノス>従者1&2 |
えーと・・・・・なんでしたっけ・・・・ そうだ、『底が見えないくらいの亀裂が延々と走ってる』って・・・ あ、マイスさんの漁場だから、しゃべっちゃだめだったかな(汗) 僕が話しちゃったこと、マイスさんには内緒にしておいてくださいね(大汗) |
■従者2 To:ライラック、ALL |
はは、平気だよ。亀裂か・・・大断裂だな。 あいつ、まだあんな危険な所で漁をしてたのか。 大断裂の近くなら漁場は2カ所だな。そう遠くはない。 |
■従者1 To:ALL |
なるほど。ふむ、どうするね、そこに行ってみるのかい? |
■ライラック To:ハティノス |
村に誰も残ってないのに、マイスさんを探しに出ちゃったら・・・ やっぱりダメですよね? |
■ハティノス To:ライラック>従者 |
難しい問題ですねぇ、体が二つ欲しい^^; えっと、そう遠くないというのは、どのくらいの時間がかかるんでしょうか? 村に骸骨が来た時に、手遅れになる前に戻ってこれないのはまずいと思うんです それと、その漁場からこの場所は視界にはいりますでしょうか? 何かあったらたいまつかなにかで合図を送ってもらえれば、すぐ引き換えしてこれますので |
■従者1 To:ALL |
まあ半刻もかからん所だが、この視界の悪さじゃ見渡せな・・・い!? |
湖面を指して視界の悪さを説明しようとした従者は、唐突に言葉を詰まらせる。
見ると、雨霧の向こうから一艘の小船がゆっくりとこちらに近づいてくるのが見える。
■従者2 To:ALL |
・・・あれはマイスの船だな。 |
しばらくして湖岸に小船が着くと、さっと人影が飛び降りる。
昼間尋ねた男、マイスその人だ。
マイスの腕には、人間の頭蓋骨のような物が抱えられている。
■マイス To:ALL |
・・・あんた達か。どうした、何かあったのか? |
■ハティノス To:マイス |
マイスさんこそ、どちらへ行かれていたのですか?^^; 領主さんもマイスさんにお話があるということで、マイスさんのことを探していたんですよ・・・・ で、その骨はいったい? |
■マイス To:ALL |
俺を探していたのか・・・何の話だろう? 実はあんた達と話していて思い出したことがあってな。 女を助けた時に、一緒に持ち出そうとした品物があったんだが、 途中で水中に取り落としてしまってな。 あいつを探す手掛かりになると思って探しに行ったんだ。 こいつがそうだよ。何だか解かるか? |
マイスは持っていた頭蓋骨を差し出す。
良く見ればそれは硝子質の石のような物を削り出して作り出されている。
後頭部の方には、下位古代語で何か掘り込まれている。
ハティノスの横から、ライラックも頭蓋骨をしげしげと覗きこんだ。
■ハティノス To:マイス |
えっと・・・ 『あなたは【ティンダー】を使います。 私は【イリュージョン】を使います。 それは【ボーンコレクター】です。』 ・・・ 他には仕掛けとかないのかな・・・ |
ハティノスはその骸骨の置物を鑑定した。
古代遺跡でよく見つかる、インテリアの1つのようだ。
頭蓋骨の眼窩から幻覚を映し出すものもあり、
娯楽道具のような使われ方もしていたという。
魔晶石の様に魔力が込められており、
その残量が多いものは、好事家の間では高値で取引されているらしい。
ティンダーは共通語魔法でも使われている「火種」のことだろう。そう考えると、イリュージョンは中級の古代語魔法で、幻覚を作る魔法ではないだろうか。ボーンコレクターについては、思い出すことはできなかった。
ライラックは「虹の巨人」伝説を思い出していた。
ある村の上空に現れる巨大な虹の人影が現れ、供え物を要求する話で、
巨人の幻影が出る頭蓋骨を老人が見つけ、食料を得る為にそれを利用していた。
話の結末は、幻影を出している途中で頭蓋骨が壊れて、それがばれてしまうというものだ。
■マイス To:ALL |
・・・どうだ、何かわかったか? |
■ハティノス To:ALL |
この置物を火種のあるところにおいてイリュージョンを使うと何か起きるってことなのかな? ボーンコレクターっていうのがなんなのか良くわからないけど、ボーンっていうくらいだから骨に関係はありそうですね |
■ライラック To:ハティノス |
これだけじゃダメっていうことですね・・・ |
■ハティノス To:ALL |
とりあえず村にもどりませんか みんなも彼女を見つけて戻っているかもしれないですしね |
■ライラック To:ハティノス |
そうですね。マイスさんも無事でしたし。 |
村に戻る道すがら頭蓋骨に目をやっていたライラックは
ふと思い出して前を歩くハティノスの袖を引いた
■ライラック To:ハティノス&ALL |
そういえば、「虹の巨人」っていうお話に、こんな感じのシャレコウベが出てきますよね。 おじいさんが幻影の出る骸骨を使って、村人から食べ物を取ろうとするんでしたっけ。 ・・・・歌にもなって・・・えーと・・・ ♪ある日 巨人が飛んできて 供え物をよこせと言ったとな ご馳走よこせと言ったとな 村人達はオロオロ じいさんこっそりウッシッシ じいさんシャレコウベを使っては 巨人を呼び出しご馳走を 毎日たらふく食べたとな 村人のオナカはグーグー じいさん一人でウッシッシ ある朝シャレコウベを使ったら うっかり落して壊れたと 村人達にもばれちゃった じいさん皆からポカポカ 壊れたシャレコウベだけがウッシッシ |