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022 アウナンスの血族


ホラドリック村長がしっかりとした足取りで台座に近づいてくる。
それとは対照的に、トロアはぎこちなく立ち上がり、
ゆっくりと後ずさりしはじめる。
■ホラドリック To:トロア(?)
兄さん・・・

■トロア To:ALL
何を言っているんです。その男は邪教徒ではないんですか?
そこの妖魔だって、その男が召還したに違いありませんよ。
さあ、何をしているんです。
早くその男と妖魔を倒してしまいなさい。

この状況を前にして、依然として無表情と冷静な声を崩さないトロア。
その淡々とした口調にはかえって不気味さを感じる。
■レヴィック To:トロア
アンタねぇ…。

あまりの胡散臭さにうんざり気味。
■リッキ To:トロア
トロア…さん……。

■ザン To:トロア&ホラドリック
……すまぬが、その言葉を鵜呑みに出来るほどおぬしを信用出来そうにない。
我々は確かにおぬしに依頼を受けた身だが、かといって悪事と知ってそれに加担するほど落ちぶれてもおらん。
拙者を動かしたければ、納得できるだけの説明をしてもらいたい。

……ホラドリック殿、おぬしもだ。
こんな場所に都合よく現れる時点で、充分に怪しいと言える。
下手な動きをするなよ。意にはそぐわぬが、拙者は自分と仲間を守るためなら、おぬしを打ち倒さねばならなくなる。

モールを構え、トロアとホラドリック、両者の動きをけん制する。
■ホラドリック To:ザン&ALL
最初は兄が戻って来たのだと思ったんです。
何者かがこの洞窟に侵入したのがわかって、
急いで駆けつけたんですが・・・あなた方だったとは・・・

センス・イービルの奇跡を起こしたライルはブロードソードを抜き放ち、
トロアに厳しい目を向ける。
■ライル To:トロア
トロアさん、偉大なる至高神はあなたの心の中に邪悪を認めました。
ですが、ザンさんの言葉は俺の思う所でもあります。
申し開きがあれば伺いましょう…
(ホラドリックに視線を移し)
村長、あの黒い妖魔の事、お聞かせ願えませんか?

静かに、怒りを湛えた目で二人を見つめるライル。
■トロア To:ザン&ライル
・・・悪事に・・・邪悪か

トロアも心持ち身構えながら、ゆっくりと一行から距離を取る
■ホラドリック To:ライル>ALL
それは・・・咄嗟の事だったので・・・でも危険はありません。
暗黒魔法には妖魔を呪縛して従者とする術法があるのです。

ホラドリックは苦痛に耐えるように顔を歪めさせて俯く。
■ザン To:ホラドリック
今……なんと言った?
暗黒……魔法……?

■ホラドリック To:ALL
アウナンスの一族は、ことごとく暗黒魔法の使い手なのです。

■シャッケル To:ホラドリック
…つまり、そのインプは、ぬしのしもべだと…?

■ホラドリック To:シャッケル
はい・・・。

■ライル To:ホラドリック
暗黒魔法だって!?邪法だぞ!

■ルキシュ To:ホラドリック
え、えええええ、なんで、どして!?

■ホラドリック To:ライル&ルキシュ
どうして・・・なんでしょうね。
私は当然の様にそう育てられましたから・・・。
今でも、なぜ隠れて生きてゆかねばならないか疑問に思うことがあります。
真に邪なのはこの力ではなく、使う者の考え方なのではないかと・・・。
しかし、それが認められることはありませんでした。
この力を持つ限りは・・・

■ライル To:ホラドリック
力そのものが邪悪でない?
裂傷を与える力や妖魔を使役する力、自分の望みを叶えるのに他人を生贄に捧げて得る力があるというのに!?
それに使う人次第などというのであれば、あなた方は「自由」という言葉で変節を正当化するじゃありませんか!

■ホラドリック To:ライル
邪悪や自由の定義は人それぞれ違ってもいいはずです。
私はそういった違いが許されることが「自由」だと思うのです。
あなたがこの力をそうと思うことも自由です。
ただ、そんな考えもあるということを知っていて欲しいとは思いますが・・・

■ライル To:ホラドリック
あなたは定義の意味をご存知ですか?
定義とは、ある概念の内容やある言葉の意味を他の概念や言葉と区別できるように明確に限定すること。また、その限定を指します。
邪悪は絶対であり中庸はありません。
変化の無い概念であるこれこそ限定なのです。
…とはいえ、今アウナンス家の秘密をゆっくりお伺いする状況では無い様ですね。
後程相手をしていただきましょう。

ライルはホラドリックを一瞥すると、トロアに対して身構えた。
■シャッケル To:(心の声)
(苛烈な正義と冷酷な法の守護者にして遂行者か…。
この道を行く限り、この者の行方は、あまりに正しいがゆえに時に疎まれ孤独ですらあろうが、しかし、崇高なことよな…)

■ザン To:ALL
小難しい理屈は知らん。
拙者にとって大事なのは、守るべき仲間と自らの信念。これだけだ。
貴様らが拙者と仲間に危害を加えるというのならば、拙者は信念に基づいて、貴様らを倒す。


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