夜。最も危険な通りを抜けて、
ギルドの窓口にやってきた。
出入り口の横にうずくまる、
ボロを纏った乞食が、ギロリと睨みを利かす。
窓口の男が、わざとらしい笑顔を向ける
| ■窓口の男 To:訪問者 |
| よう、兄弟。景気はどうだ？ |
シーフの挨拶を見せつつ、ルキシュはにこっと笑う。
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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まぁまぁかなー。今回はギルドへの上納もあるし。 そうそう、ちょっと冒険に行く事になったんで、ご挨拶と、ちょこっと行き場所の事調べたいんだけど、いいかな？ |
| ■窓口の男 To:訪問者 |
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そりゃかまわんさ。何を遠慮してんだい、兄弟。 もったいぶらないで話しちまいな |
相変わらず男はニヤニヤと笑っている。
ふと気づくと、出入り口の乞食がいなくなっている。ルキシュは乞食の座っていた所を眺め、首を傾げるが、すぐに視線を戻した。
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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行き先はー、アウス村、って言うんだけど……。最初のサービスでどこまで教えてくれるかなぁ？ さいしょっからお金払って聞け、なんて言わないよね？（にっこり） |
アウスの名を聞いて、一瞬目を細める男
| ■窓口の男 To:ルキシュ |
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ほう・・・なかなか旬な所をついてくるじゃんか。 『オランから３日ほど離れた森の中にある人口20人ほどの集落 村人全員が狩人 広大な森を一定期間ごとに移動しているが、 村から現在地の報告がある為、位置は特定できる 過去に発生した事件の記録なし』 ・・・なんてな。 すまんな、兄弟が知ってること以外の情報はタダじゃ教えられねえよ。 ただ、新鮮さなら保証するぜ。 なにせ偵察が今日戻ってきたばかりだからな。 こっちも命張ってんだ・・・５００だな。 １万に比べりゃ、かわいいもんだろ？ |
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
| １万？ 何の話ー？ |
本気で知らない振りしてすっとぼける。
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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でもでも、情報提供してくれるのがギルドだし♪ その為に上納金払ってる訳だから……もうちょっと負けてよ☆ ボクなんておまけでしょー。 ギルドが直に動いて情報収集かけてる、って事は、 どっかから報酬元があるんでしょ？ お願い☆ って訳で、手始めに３００くらいでどう？ |
値切らずにはいられないらしい（笑）
チャザ神官の悲しき定め……。ルキシュの熱心な値切りに折れ、男は３０Ｇの値引きを約束してくれた。
| ■窓口の男 To:ルキシュ |
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ジェレイドが４日前に村から出る所を目撃したと報告があった。 残念だったな、アウスにジェレイドはいねえよ。 それともう１つ。 ジェレイドはな、うちの偵察を撒くために 外套をはためかせて夜空の向こうに、 文字通り「飛んで」いったんだよ。 「飛行」の魔法を使ったか、 空を飛ぶ道具を持っていたか・・・。 もしかしたら人間じゃねえのかもしれんな。 |
４６０Ｇをテーブルにおきつつ、ルキシュは首を傾げる。
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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ファラリスの魔法は詳しくないしな……(^_^; 飛んでいった……なんだろう……。 人間じゃない、ってダークエルフ？ |
ルキシュの短く尖った耳がピンと動く。
| ■窓口の男 To:ルキシュ |
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ん？もしかして賞金首の事を聞きに来たわけじゃないのかい？ おっと、こりゃ失言だったかな。 さっきの事は忘れてくれ、兄弟。 やべえ、最近そればっかだから勘違いしちまったよ・・・。 |
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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賞金首の事は……少し聞きたいかな(^_^; 賞金には興味ないんだけど、依頼人と関わりがあると困るからー。 |
| ■窓口の男 To:ルキシュ |
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その依頼人ってのは何者なんだ？ よっぽど凄腕の賞金稼ぎでもなけりゃ、関わりなんて無いと思うがなあ。 まあ、何はともあれ、 アウスの村は事件もへったくれもない平和な村だぜ。 ここ数年ばかし死人も出てないしな。 |
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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あれ？ ギルドなのに銀の網亭の情報入ってきてないんだ♪ 賞金稼ぎじゃないんだけど、アウス村で奥さんが亡くなった……んん？ ここ数年死人が出てないの？ それっておかしいよ。 依頼人の奥さん、アウス村で亡くなって埋葬された、って。 その真相を探るためにボク達が行くんだけど……。 その話が本当なら、奥さんは死んでない訳だよね？ 賞金首の事調べにアウス村まで行ったんだもん、賞金首の事だけ調べて帰ってきた、って事はないよね？ 最新情報でしょ？ それ。 |
| ■窓口の男 To:ルキシュ |
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なんだ、依頼人はあの爺さんか。 噂を数に入れたら２，３ダースは死んでるんじゃねえか？ 何せ邪教の村なんだろ？ とにかくアウスでは数年どころか数日前でも死人はいねえよ。 埋葬？おいおい、うちは葬儀屋じゃないんだ。 そりゃ自分で墓をあばいて確かめるしかないな。 |
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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噂で沢山死んでて、ここ数年、数日は死人がいない……？ ……ごめん(>_<) ボク頭がパニック。 死人がいるの？ いないの？ どっち？ それから、仕事でアウス訪れた女性が亡くなった、って話は入ってない？ |
| ■窓口の男 To:ルキシュ |
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まあ、噂で何人死んでいようが、 死体も報告も無いんじゃ、数として数えられんからな。 それと女性に限らず、訪れた人間が死んだという報告も受けていない。 それを調べるのが兄弟の仕事じゃないのかい？ |
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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あううう(>_<) そうでした(^_^; とりあえずギルドには情報なし、と……。 |
| ■窓口の男 To:ルキシュ |
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じゃあ、仕事がんばってな。 兄弟、もしアウスで何か掴んだんなら高く買うぜ。 万が一、邪教崇拝の噂が本当で、 ジェレイドの活動拠点だという証拠が揃えば、 ファリス神殿を使ってアウスを潰さなきゃならん。 うちのシマで、これ以上勝手な真似をさせるわけにはいかんからな。 |
| ■ルキシュ To:窓口の男 |
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ありがとー☆ アウスの情報ね、わかった♪ まぁ、仲間にファリスの神官がいるから、その手の話が本当だとすれば放っておかないとおもうけど(^_^; チャザの幸運に巡り会えますように☆ |
ルキシュが立ち去った出口を、
先程までニヤついていた男が無表情に眺める。
が、手元の銀貨の小山を見てすぐに苦笑する。
| ■窓口の男 To:ルキシュ |
| ったく、しっかり１０Ｇ抜いていきやがって・・・ |