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006 ファリス神殿、夜


 神殿の門扉は既に硬く閉ざされている。
 裏の当直小屋へ回ると、まだ明かりが灯っていた。
 小屋の戸を静かにノックする。
■シャッケル To:小屋の中
もし。ごめんくだされ。

■当直の僧 To:訪問者
・・・?・・・こんばんは。
こんな夜更けにどういった御用でしょうか?

ニッコリと微笑むと静かに聖句を唱えるライル。
■ライル To:当直の僧
ラウマ・アドニア・モイル・デ・ファリス…
夜分に申し訳ございません。
私と私の仲間達が依頼を受けたのですが、
邪教の関与が見受けられる案件が出てまいりましたので
その報告に伺いました。
司教様はいらっしゃいますでしょうか?

■シャッケル To:当直
場合によっては殺人に発展するやもしれんのでな、
お手数ぢゃが、取次ぎ願えんぢゃろうか?

■当直の僧 To:訪問者
モイロス・ラームようこそいらっしゃいました。
司教様はもうお休みになられていますが、
私でよければお話を伺いましょう。
さあ、中へどうぞ。

■シャッケル To:当直の僧、ライル
ん、んむ。とりあえず構わぬぢゃろ、ライルよ?

■ライル To:シャッケル、当直の僧
ええ。
それではお邪魔します。

部屋の中に招かれた一行は、席を勧められて小さなテーブルを囲む。
人数分のお茶を淹れ終えた僧が席についた。
■当直の僧 To:訪問者
邪教というこですが、詳しい話をお聞かせ願いますか?

■シャッケル To:当直の僧
かたじけない。
わしはシャッケルと申す者。そしてこちらはライル。ファリスの敬虔なる使徒ぢゃ。

爺ぃはとりあえずお茶をずずずとすすってから、自分とライルを紹介した。
■ライル To:シャッケル、当直の僧
アノスからきたライルと申します。
改めてよろしくお願い致します。

■当直の僧 To:ライル
左様でございましたか、遠路遥々お疲れ様でございました。
ライル殿が出向く程の御用とは・・・
まさか、本国で何かあったのでございますか?

■ライル To:当直の僧
いえ、国とはまったく関係ありません。
私は修行の一環として正義を実行できる依頼を受けながらファリスの『声』をより鮮明に聞こうとする冒険者に過ぎません。
先ほども言った通り、我々の依頼の中で気になった案件が出た為負かり越したのです。

■シャッケル To:当直の僧
では早速本題に入らせていただこう。
神官殿はアウスという村をご存知かな? オランより3日ほどの森の中にある狩人の集落ぢゃ。

■当直の僧 To:ALL
ああ、そのことでございますか。
ご安心ください、アウスでは邪教崇拝の事実はありませんでした。
一月前のアウスへの調査には私も同行しております。
村人たちはとても良い方々でしたよ。
彼らは森の霊を祀っているということでした。
本当はファリスの信仰を勧めたかったのですが・・・
まあその辺りは、これからじっくり時間をかけて
教えを説いていこうということになりました。

■ライル To:当直の僧
そうでしたか(^^
それを契機に信仰に目覚めてくれれば喜ばしいことですね。
ところで…その噂の元となった人物のことはご存知でしょうか?

■当直の僧 To:ライル
ジェレイド・アウナンスのことですね。
目下全力を挙げて捜索中でございます。
現在の所、配布されている手配書に書いてあること以外は
わかっておりませんが、
情報が入り次第ご報告いたしましょう。

■ライル To:当直の僧
それは心強い。
ですが我々は明日アウス村へ立たねばなりませんので
そのジェレイドについてもう少しお聞かせ願えれば
ありがたいのですが。
万が一遭遇しないとも限りませんので。

■当直の僧 To:ライル
左様でございますか・・・。
ジェレイド・アウナンスは32歳。
ファラリスの信者で国籍不明の間者と目されております。
アウスには彼の弟が住んでいますが、
ジェレイドは5年以上前に村を追放されており、
それから村には戻っていないということでした。

■シャッケル To:当直の僧
ふむ、そうぢゃったか…
ところで神官殿は調査に同行された折に、
その弟殿に会って話を聞かれたことと思うのぢゃが、
兄のことをどんな風に言っておったかのぅ?

■当直の僧 To:シャッケル
そうですね、言葉では語りませんでしたが、
慕っていると言っても良いかと思います。
ただ、アウナンスの家は親の代から村長を任じられていたので、
兄の邪教崇拝発覚の件で追放せざるを得なかったのでしょう。

■ライル To:当直の僧
??
すいません理解を得られなかった部分があるので質問させていただきたい。
先ほどのお言葉を借りますと
ジェレイドは国籍不明の間者と目されていると仰っていましたが、
国籍不明という事はその弟とやらも実の弟ではない、
という意味でしょうか?
それとも弟も兄と一緒にアウス村に移住してきたのでしょうか?

■当直の僧 To:ライル
いえ、血の繋がりはあるようです。顔も似ていましたし。
現在の情報では、少なくともオランの間者ではない、としか言えないですね・・・
村を出た後、他国で登用されたのではないかと噂されています。

■シャッケル To:ライル、当直の僧
どうやら、ジェレイド自身が国籍不明ということではなく、ジェレイドが間者として使えている国が不明、という話のようぢゃな。
ところで、ジェレイドが邪神につけ込まれた原因については、調べはついているのですかな?

■当直の僧 To:シャッケル
それもよくわかっていません。
弟も追放に至るまで気づいていなかったようです。

■ライル To:当直の僧、シャッケル
なるほど…。
非常に参考になりました。
(シャッケルに目配せし辞去を促し席を立つ)
…もうかなり遅い時間ですね。
貴重なお時間を頂戴しありがとうございました。
こちらが何か掴んだらまたお伺いします。
そちらで情報を得ることがあれば『銀の網』亭まで
お願い致します。

■当直の僧 To:ALL
いえ、お役に立てたのならば幸いでございます。
ジェレイドについてはファリス神殿にお任せください。
捜査に進展がありましたらご報告致しましょう。
では、ファリス神のご加護がありますように・・・


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