ヒューイの家

　ケルズ山から帰って来てから2週間あまり。
　なんとか、翼が完成しつつあった。
　ヒューイは実際に翼を装備して何度か動かし、細かい調整をしている。

　そう言うと、ヒューイはカーガッドの前で翼を羽ばたかせて見せた。

　そう言って、ヒューイが羽ばたいている所をじっと見ている。
　ヒューイはそのまま、何度か羽ばたかせた。

　カーガッドの心配を別の意味で捕らえているらしい。
　しかし、とりあえず最悪のパターン ― 一人で飛行実験を行い、失敗して墜落死 ― というのは避けられそうだ。

　ヒューイは一度台所に引っ込むと、ポットとカップを持って来た。

　胸を張り、いかにも得意満面という感じだが、目は真剣そのものだ。
　少し追い込まれているようにも見える。

　そう言って、ヒューイの入れてくれたお茶を飲みながら、カーガッドは彼の様子を伺った。少々、彼の追い込まれているような態度が気になるらしい。
　実は、カーガッドはここに来る途中で、近所の人々のヒューイに関する噂話を耳にしていたのだが、その殆どが酷い内容だったのだ。
　当然、ヒューイも自分が周囲からどう思われているか知っているに違いない。

　お茶のお代わりを注ぎながら、ヒューイはぎこちなく笑った。

　ヒューイはカーガッドを見送った後、再び翼の調整を始めた。
　これ以上調整しようがないのだが、何かしていないと落ち着かないのだ。

　今度こそ成功しなきゃいけないのに……ますます追い込まれていくヒューイだった。