SW-PBeM Scenario #91 今を盛りと咲き誇り

7章 沈黙の花、いつも通りの宴会……或は出所不明の金子のこと
<< Previous Story| ■ #91 Top Page

銀の網亭  個室

 その日、銀の網亭では、妙に盛大な宴会が繰り広げられていた。今回は実入りの無かったどころか、大赤字の面々。会費は誰が持つのやら……。
■エメラルド To:ALL
あのぅ……こんかいの依頼って失敗だったんでしょーか?
エメ、とちゅーで寝ちゃってたもんで良く知らないんです……ごめんなさい(>_<;

 お腹は減ってるけれど、黒耀逢香を倒した辺りの記憶が無いエメラルド。
 申し訳ないのか、食事には手を付けずに平謝り。
■クロス
(…途中で人が変わったみたいな様子だったけど、つまりはその間のことは憶えてないってことなのかな…?)

■ルリィ
……寝て??
(ということは、あれは以前文献で読みました『にじうじんかく』というものなのでしょうか?
違った魅力が2つあるだなんて、エメちゃんはお得さんなのですわね〜(^-^))

 そんな文献、どこで読んだんだよ……。
■パオル To:エメラルド、ALL
じゃ、その責任を取って、ここはひとつエメラルドさんの奢りって事で♪(^-^

 バクバクと皿の上の食べ物を口に運びながら、心臓の止まりそうな言葉を吐く。
 もちろん冗談ではあるが、パオルの食べるペースはいつも以上のは事実。
 会費の支払いはどーなるのやら……。
 しかし、
■エメラルド To:パオル
え……えええええええ!?
ぱ、ぱおるさんの食事代をおごるんですか?
……そ、そんなぁぁ……むりですよぉ(/_;)

 パオルの言葉を額面どおり受け取り、今にも泣き出しそうな顔で厚みのない財布を覗きこむ。
■クロス To:エメラルド
ははは(^^; (冗談なんだよ、エメラルド。でも面白いからもう少し黙っておこう)

 クロスがフォローするが、しかし実際は、冗談である保証なんかどこにも無かったりする。
■フィアルラ To:エメラルド
私もちょっと出しますから……それでも足りないかな(^^;)

■ルリィ To:エメラルド
あ、私もカンパいたしますわ(^-^;

■おやじ To:おおる
おや、聞いてないのか?
今回のお前たちの雇い主の奢りだぞ。
遣いの女の子が、世話になったからって金を置いていったけどな。
違うのか?

 麗しき女の子同士の友情。
 そこへ、親父が助け舟を出した。
■クロス To:おやじ
ほ、ホント!? 
…いや、まって。でもそれって、やっぱ常識的な額でしょ?(ーー;)

 やっぱり焼け石に水なんじゃないか? と、クロスは思った。
 確かに、パオルの食欲に世間の常識は通用しないからね。
■エメラルド To:おやじ
ふつーの食事代だと三日分くらいないとたりそーにないですよね……

■フィアルラ
貰ったお金、全部食費で消えちゃうんじゃないでしょうか……。

■おやじ To:おおる
いや、とりあえず今回の宴会分ぐらいはありそうだぞ。
もっとも、際限なくこのペースが続いたら分からんがな。

■エメラルド To:おやじ
そうなんですかぁ?
それなら助かりますです、よかったぁ(o^-^o)

■ルリィ
……流石に高Lvの冒険者さんとなりますと、資本(?)を維持するだけでも大変な額になるのですわね。
今回、改めて学びましたわ……(^-^;

 冒険者は、身体が資本。
■フィアルラ To:ルリィ
この人はその中でも特殊な部類だと思うんですけど……。

 多分正解です。
 その時、扉を開けて一匹の子猫と、そして一人の吟遊詩人が入ってきた。
■クロス To:ナムール
ああっ、ナムール!?

■ナムール To:クロス
お客さん、なかなか聞きに来てくださらないからこちらから押しかけてしまいました。
何かリクエストはございますか?

■クロス To:ナムール
リクエストねぇ…。
それなら、欲に目が眩んで自分が育てた人食い植物に食われかかった男をかっこ良く助け出した貧乏冒険者の歌なんかをひとつ。
最後は、その冒険者達は報酬を受け取れなくて大赤字、っていう落ちがつくんだ。

■フィアルラ
あは、あは、あははははは。

 乾いた笑い。
■ナムール To:おおる
面白そうな題材ですね。

■エメラルド To:ALL
大赤字だなんて今のエメ達みたいですねぇ(o^-^o)

 こっちは、まるで気付いてない。
■クロス To:ナムール
じゃあ、まじめに。そうだね…黒耀逢香を追ってそれを滅ぼした、西方よりきたる黒髪の美しい謎の盗賊の歌なんかがいいなぁ。
どんなドラマがあって、こんな遥か東国まで来たのかな、とかさ。

■ルリィ To:クロス、ナムール
あ、それは素敵ですわね〜。
私も是非とも聞かせていただきたいですわ(にこにこ)

■ナムール To:おおる
……それでは、ご所望の物語を一弾き……

 竪琴を一かき鳴らすと、ナムールは美しい声で歌いだした。
 王より勅命を受ける美しき女盗賊。
 手掛りを追い、幾多の困難と冒険を乗り越えついに国宝を盗んだ犯人を追い詰める。
 しかし、追い詰められた犯人は国宝から古代の悪魔を呼び出し、そしてその悪魔に殺されてしまう。
 その悪魔は、女盗賊と、そして彼女が町々で知り合った心正しき冒険者によって打ち滅ぼされる……。
■フィアルラ
綺麗な歌声ですね……。
吟遊詩人さんに冒険譚を紡いでもらう。
これが今回の報酬、かな?

■クロス To:フィアルラ、ALL
違いないね。
でもま、この次は僕らももっと上手にやることにしよう(^^;

■ルリィ To:クロス、ALL
次に生かすことが出来るのでしたら、反省も左程悪いことではありませんわ(笑)。

それにしても本当に素敵な声…。
思わず聞き惚れてしまいましたわ(^-^)

■クロス To:ルリィl、ナムール
うん、ほんとに。僕も少しは上手くなった積もりでいたけど、ナムールに比べるとまだまだ修行がたりないなぁ。
これからどうするの? もう西方へ帰るのかい?

 まぁ、これが本職(?)だしね。
■ナムール To:おおる
折角ですし、しばらくはオランで歌っていこうかと思います。
また縁があれば、お会いすることもあるでしょう。
その際は、よろしくお願いしますね。

 と、優雅に一礼をすると、銀の網亭の扉を開き出て行った。
■クロス To:ALL
行っちゃったね。気持ちの良い娘だったな…。

■ルリィ To:クロス
えぇ、本当に…。
あのような方とお会いすることが出来ただけでも、今回の御仕事の価値があったように思いますわ。
そんな風に相手に思わせる方って素敵ですわよね(にこにこ)

 ふと気づくと、ナムールが立ち去った後のテーブルに小さな皮袋が一つ置かれていた。
■クロス To:ALL
? これは?

 クロスが皮袋を持ってみると、中には指輪が一つはいっていた。
 アマリリスの花をかたどり、ルビーがちりばめられた見事な品だった。
 売り払えば、5000ガメル相当にはなるだろう。
■クロス To:ALL
…すごいな、相当な値打ちものだよ、これ。ナムールが置いていったんだな。
彼女に限って忘れていった訳はないだろうし、これは…

■ルリィ To:ALL
あらあらあら…!
ナムールさんの心遣いでしょうか…。
本当にお優しい方ですわね(感嘆)

 ルリィの言葉を聞きながらちょっと考え込んでいたクロスが、何かに得心がいったと言う表情で、ぽんと手を打った。
■クロス To:ルリィ、ALL
そっか!(くすくす)うん。それじゃ、僕らも彼女の好意に応えて、月下の紫猫の正体については、黙っておかないとだね(^^)

■フィアルラ To:ALL
アマリリス……花言葉は『沈黙』。……なるほど、そういうこと、ですね。
でも、わざわざこんな事してもらわなくても、秘密を言っちゃうようなヒドイ人はいないと思いますけどね(^^)

 もっとも、話されても月下の紫猫に関するうわさが増えるだけなのであるが。


■おやじ To:クロス
そうだ、クロス、預かりものだ。
バジルから、以前預かっていた金だそうだ。
本当は本人が返したかったんだろうが、行き違いになってしまったようでな。

 このお金は、以前ブラックモアからとった依頼料の残金1000ガメルに、別の冒険 (#45)の報酬を合計した金額、計9,000ガメルを頭割りした取り分らしい。
■クロス To:おやじ
バジルが? そういや最近会ってないけど、元気にしてるようだった?
それにしても、なんのお金だろ…
まあいいや、もらっとくよ。後で会ったら聞いてみる。ありがとう。

 こうしてまた一篇、銀の網亭に集う者達の冒険譚が生まれた。
 後世に語り継がれるほどの事件ではないかもしれないが、関係者にとっては忘れることの出来ない、かけがえの無い物語である。

<< Previous Story| ■ #91 Top Page

ページ製作 桐耶
mail: toya@home.enail.ne.jp

BasePageSource 神楽
mail:kagra@na.rim.or.jp