SW-PBeM Scenario #91 今を盛りと咲き誇り

2章 抜けられぬ宿命、難儀する情報収集……或は忘れ得ぬ笑顔の君のこと
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オラン市街  盗賊ギルド

 常闇通りの一角。もう通いなれた道をすいすいと進み、一軒の酒場の前でクロスはすっと姿を消した。
■ミスティ To:クロス
おや、クロス。
この前はずいぶんと儲けたらしいじゃないか。

 疾風のミスティの二つ名の通り(?)、爪を磨く視界の隅にクロスの姿を認めると、すっとその白い手をクロスの方に伸ばした。
■クロス To:ミスティ
うう、さすがに耳が早いなぁ。そんなに派手に遊んじゃいないのに、よくわかりましたね(^^;

 先制攻撃にたじろいだクロス、なんとか気をとりなおして、懐から何か取り出す。
 ミスティの手に置かれたそれは、緑色に輝く宝石だ。
■クロス To:ミスティ
綺麗でしょう。これは、以前にグリフォンの巣から取ってきたんだ。幻獣の守ってたお宝ですよ。

■ミスティ To:クロス
あんたたちのせいで儲けの無かった連中もいるからねぇ。
話は、一方からしか来ないわけじゃないんだよ。
で、こいつかい?
……まぁいいんじゃないの。これからもがんばって稼ぐんだね。

 宝石を無造作にしまいこむ。
■クロス To:ミスティ
ああ…そういう事か(汗)
儲けに浮かれて、ちょっとうっかりしてましたよ(^^;

 ギルドの年会費を『うっかり』忘れると、後が怖いよ(^^;
■ミスティ To:クロス
それで、今日の用事はこれだけかい?

■クロス To:ミスティ
それじゃ、そろそろ本題を。
姐さん“黒耀逢香”ってご存じですか?

■ミスティ To:クロス
なんだいそりゃ?
聞かない名前だね。
すこし時間をくれれば調べてくるけど?

■クロス To:ミスティ
いえ、大まかにはわかってます。実は強力な麻薬の原料になる植物なんです。
で、僕の用があるのは、実はそいつじゃなくて、それを追ってる盗賊なんです。
西方で名を売ってるらしいんですが、“月下の紫猫”。
こいつについて、なにかわかることが有れば教えていただけませんか?
あ…あと、麻薬を捌くルートに、最近何か動きがあるかどうかも。
何か強い麻薬がうちのシマに持ち込まれそうだとかそう言う話が流れてるとか。
調べていただけるんなら、少し待ちます。

■ミスティ To:クロス
へぇ、麻薬ねぇ。

 そう言いながら、ミスティはこつこつと机をたたきます。
■クロス To:ミスティ
これで。

 クロスは、200ガメルほどカウンターに積んだ。
■ミスティ To:クロス
それじゃ、ちょっと待ってな。

 ミスティは、席を立つと奥の部屋へ向かった。
 なにか調べ物をしていたようだが、すこしすると戻ってきた。
■ミスティ To:クロス
黒耀逢香ね。こりゃまたマイナーなネタを追ってるね。
なにやら国外持ち出し禁止の花みたいだけど、これが麻薬のもとになるっていうのかい?
初耳だね。そりゃ国外持ち出し禁止にするわけだ。
それに、そんな麻薬がこっちに流れてくるなんて話は聞かないねぇ。

■クロス To:ミスティ
そうですか…
それじゃ、そのラインの情報は、今はいいです。

■ミスティ To:クロス
それに、月下の紫猫ねぇ……。
どんな情報が欲しいんだい?

■クロス To:ミスティ
そうですね…、一人なんでしょうか。それとも、何人か居るグループなんですかね?
それに、性別や風体、あとは得意にしている手口とか。

■ミスティ To:クロス
なるほどね。
人数は複数。
性別は男。
痩せ型だけど、スタイルは良いらしいね。
80歳を越えた婆さんて話だ。
何でもすごい力持ちで、壁を強引に壊して強奪するのが得意らしいよ。

 と、ニヤニヤしながら答える。
 対してクロスは渋い顔だ。
■クロス To:ミスティ
なんですかそりゃ。何人かいて、痩せ型でスタイルの良い男と、80歳のおばあちゃんで組んでるってことですか?
それにしたって、壁を強引に壊して強奪だなんて…よくあっちのギルドはほっときますね。

■ミスティ To:クロス
おや、気に入らなかったかい?
それなら、クロス好みのかわいい女の子にしといてもいいよ。
舌ったらずで、黒髪のかわいらしい神官ていうのはどうだい?
確か、そんな話もあったはずだよ。

 相変らずニヤニヤ。
■クロス To:ミスティ
うわっ、変な情報を正確に集めないでくださいよっ!

 赤くなって悲鳴を上げるクロス。他の仲間を連れてこなくて良かったと、心の底から思う。
 意味のわからない人は、過去のクロスの冒険を参照。
■クロス To:ミスティ
…つっ、つまり、正体がつかめていない、ってことなんですねっ?
普通に言ってくださいよぅ(ーー;)
でも、手口くらい分からないんですか? 壁を壊して強引にってのは、まさかホントだったりしませんよね?

■ミスティ To:クロス
まぁ、有体に言えばそうだね。
確実な話として、西方を仕事場にしていて、こっちじゃまず話を聞いたことは無いってことだけど、なかなか面白い盗賊でね。
まぁ、新しい麻薬なんて美味しいネタを持ってきてくれたことだし、いい話を聞かせてあげるよ。
……さっきのあんたの神官の例じゃないけど、本当のことを知られたくなかったらどうする?
誰にも分からないように黙ってるっていうのは、無しだよ。

■クロス To:ミスティ
…なにか工作するってわけですか? 口止めとか。

■ミスティ To:クロス
ひとつは、黙っているように金を払うっていうのがあるね。
金で売る情報なら、金で売らない様にすることも出来るってことだよ。
そしてもうひとつは、どれが本当のことか分からなくしてしまうってことだね。
クロスが、とっかえひっかえ女漁りをしてたら、たぶん本命の娘さんは霞んじまうだろ。

■クロス To:ミスティ
あさっ…!いや、ええ、そうですね。具体例は気になりますけど、その通りでしょう。

■ミスティ To:クロス
この二つを、異常に巧みに扱える奴が居たとしたらどうだい?

■クロス To:ミスティ
は〜、それは強みでしょうねぇ…。
とにかく、そんな感じの工作をしてるか何かで、情報が撹乱されてて正体がつかめない、って事なんですね。
わかりました。これは今回はきびしそうです。(とほほ…)

■ミスティ To:クロス
まぁ、そんな情けない顔しなさんな。
一個だけ確実な情報をあげると、月下の紫猫はオランに来てるよ。
もっとも、本当に正確に話すならば、月下の紫猫を名乗る盗賊があたしの前にきたってことだね。
本物かどうかなんてあたしにゃ分からないから。
と言うわけで、そいつはちゃんと仕事料払っていったから、勝手働きだってギルドに泣き付いても無駄だよ。

 一瞬、ちょっと間抜けな表情で固まってしまったクロス。
■クロス To:ミスティ
そっ、それ早く言ってくださいよ〜っ!
は〜…なんてこった。真っ正面から来てましたか…

■ミスティ To:クロス
そうそう、もしそれなりのもの置いてくのなら、さっきの花についてもうちょっと調べておくけどどうする?

■クロス To:ミスティ
それは…う〜ん、じゃあ、おねがいします。それじゃ明日にでももう一度聞きにきますんで、それくらいまでで。
あと、そういうことならあまり参考にはならないとは思いますけれど、それでも一応念のために聞いておきたいんですけど、月下の紫猫を名乗った奴ってどんな奴ですか?
ここへ堂々と顔出しに来たんなら別に口止めなんてしてないんでしょう? 同じ縄張りで仕事してる都合で、関係者が居るならできれば知っておきたいんですよ。もし見かけたら僕も挨拶くらいし ときたいですしね。

 そう言いながら、あと100ガメル、カウンターに積む。
■ミスティ To:クロス
花の方は、まかしときな。
でも、猫のほうはねぇ。別に、来たことは口止めされなったけど、姿はねえ……。
……どうだい? その情報も買うかい?(笑)

■クロス To:ミスティ
姿については口止めしてったってわけですか!? まじですか…
う〜、子飼いの構成員にはちょっとくらいおまけしてくださいよ〜
これでなんとかなりませんか?

 もう100出してみせた。
■ミスティ To:クロス
ふふん♪
んじゃ、とっておきだよ。
黒髪のかわいらしい女の子だよ。
神官かどうかまでは聞きそびれたけどね。

 そういって、おかしそうに笑うのだった。

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