Sword World PBM #69「元祖夜逃げ屋」



「さらばフェイス」



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野営中の広場にて

こうして、その後は何ごともなく一行はライク家をエレミアまで送り届けた。
リックともエレミアで別れ、その帰り道のことである。
丁度野営でバーンとフェイスが一緒になったときであった。
■フェイス to:バーン
 ………ねえ、バーン。
 バーンは今なんか目標持ってる?
 将来なりたいものとか………。

冒険を終えてしばらく何やら考え込んでいたフェイスが、唐突にそんな言葉を発する。
いつのものようにおちゃらけた感じではないようだ。
■バーン to:フェイス
 どうしたんだ?突然…

そこで言葉を切ると、フェイスの様子が違う事に気づいたバーン。
フェイスの目をまっすぐに見た後、ゆっくりと話し始める。
■バーン to:フェイス
 …そうだなぁ…。
 ……今やりたい事、目標にしている事はさしあたって三つ位かな?
(指を折りながら)
 ひとつはお金を稼いでレイリアの脚を直す事。
 ひとつは鍛えた技を世話になった人々のいる国に役立てる為、オランの騎士団に入団する事。
 そして最後は…あの国で初めて好きになった人と一緒になる事かな。

■フェイス to:バーン
 むふふふふっ(^ー^)
 でもさすがバーンだね、しっかりしてるや。

照れくさそうに頭を掻くと、フェイスに水を向ける。
■バーン to:フェイス
 フェイスは何かやりたい事があるのかい?

■フェイス to:バーン
 僕? 僕はねぇ……。

フェイスは一拍おいてから口を開く。
■フェイス to:バーン
 ……オランを出ようと思うんだ。
 ある人を捜しに行こうと思ってる。
 だから、バーンや銀の網亭のみんなともしばらく会うことができなくなると思う。

■バーン to:フェイス
 ………そうか。

立ち上がり、夜空を見上げるバーン。フェイスにはその表情を見て取れない。
■バーン to:フェイス
 フェイスなら大丈夫!きっとその人とめぐり合うことができるよ。
 …だから…いつかその人とオランに遊びにおいで。
 ……約束だよ。

■フェイス to:バーン
 ……うん、約束する。
 絶対もどってくるよ!!
 バーンも頑張ってね。
 僕が帰ってくるまでにちゃんと騎士になってるんだよっ♪
 それとぉ……。

むふふっ、と怪しく笑って。
■バーン to:フェイス
 な、なに…?

■フェイス to:バーン
 今度会うときには、バーンの子供も見たいよねっ(^∇^)♪
 頑張って恋愛成就してね!!
 ふぁいとぉっ!!

■バーン to:フェイス
 いっぱ〜つっ!!…って違うだろ(^^;;
 しかも変な意味でうまい事掛かっているし。
 だあ…と、とにかく世界はフェイスのほっぺた以上に広いんだから、そっちこそ頑張るんだよ。

といいながらフェイスのほっぺたを「みにょ〜ん」と伸ばす。
■フェイス to:バーン
 ふええ〜〜っとはっちり〜〜(>____<)!!
 ……れもやっはりあーんってはうはうはすきらよね……(^――――^)♪
 (訳:ひええっとばっちり〜!! ……れもやっぱりバーンってば「うはうは」好きだよね♪)

 ありかと、あーん。かんはるよ、おく!!
 あ、そうた!!


そういうと、フェイスはほっぺたをひっぱられた状態でばたばたしだす。
■バーン to:フェイス
 おっと。

ほっぺたを離し自由にしてあげるバーン。
■フェイス to:バーン
 あ、ありがと♪
 えっと、これ……。

と、髪をしばっている黄色のリボンをほどいてバーンの方に差し出す。
■フェイス to:バーン
 友情の印として受け取ってくれないかな?
 また会えるようにっていう願掛けも含めて♪

リボンが取れたフェイスの髪は、三つ編みがほどけて驚くほど長いストレートとなっている。めったに見れない貴重なカットである(笑)。
■バーン to:フェイス
 フェイスの髪ってそんなに長かったんだ…
 ありがとう、大事にするよ(^^)
 じゃあ俺からも…

フェイスからもらったリボンを長剣の柄に軽く結わえると、柄頭の鷹の彫刻を取り外した。
■バーン to:フェイス
 俺のお守りがわりなんだ。…受け取って。

■フェイス to:バーン
 えっ、これ大事にしてたんじゃ……。
 ……ありがと、バーン。大切にするよ♪
 これさえあれば、これから何があっても大丈夫な気がするよ♪

フェイスはバーンからもらった柄頭の鷹の彫刻をショートソードの柄にはめる。
■フェイス to:バーン
 オランにきて銀の網亭にきて色々な人にあって色々なことがあって……。
 本当に楽しかったよ♪
 バーンっていう大切な友達もできたし……。
 冒険者やってて本当によかったと思う。うん♪
 …………。

しばらく沈黙ののち、踏ん切りをつけるようにフェイスが口を開く。
■フェイス to:バーン
 ……じゃ、そろそろ僕、行くね♪

■バーン to:フェイス
 …うん。元気で…

いつもは利き手と逆の右手を差し出すところを左手を差し出すバーン。
■フェイス to:バーン
 うん、バーンも元気で!!
 ……またね♪

笑顔で差し出されたバーンの手を両手でしっかりと握ったあと、くるっと振り返りそのまま走り出すフェイス。

しばらくの間、一度も振り返らずに無我夢中で走りつづけ、息があがったところで後ろを振り返る。

■フェイス to:独り言
 ……もうオランがあんなにちっちゃくなっちゃった。

  本当に冒険者やってよかったな……。
 いろんな人に会って、バーンにも出会えて……。
 楽しかった……。
 ………。
 ……いけないっ、絶対泣かないつもりだったのに。

 そうだっ、歌でも歌って元気だそう!!


涙を拭きながら、即興で歌を歌いだす。
■フェイス to:即興歌
♪「冒険者なんてロクなやつはいない」♪
♪そんな声をよく耳にする♪
♪うん、たしかにロクなもんじゃないね♪
♪でもさ、アンタたち味わったことあるのかい?♪
♪自分が本当に“輝く瞬間”ってやつをさ♪
♪命をかけてそれを求めるロクでなし♪
♪それが冒険者ってもんなんだよ わっかるかなぁ〜(^▽^)?♪

謎歌を歌いながら街道を進むフェイス。
もう、彼の目に迷いはなかった。

このあとすぐ、オランに向かう呪い師の女の子に出会い、いつものドタバタを繰り広げるのだが、それはまた別の話。

小さな冒険者、フェイスの未来に幸あれ!!


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