襲撃!!
オランの街 スラム |
辺りには、すえた匂いがたちこめていた。
スラムと言っても、まだオランの市街地に近い辺りである。
それでも、明らかに自分たちが今まで居た場所とは異なる空気が、そこにはあった。
手にしたカンテラの明かりに照らされて、道端で眠る人の姿が浮かび上がる。その幾人かは、眠りを妨げる光に不服そうに鼻を鳴らし、抗議の意を表した。
■ アルト To:ALL |
っとと……悪いね。ちょいと灯が強かったかな。 |
そう言って、ランタンの灯りを少し絞る。
■ アルト To:ALL |
……ふぅ……それにしても、こりゃあ大した場所だよ。 ここに子供達がいるとなると、一筋縄じゃいきそうにないねぇ……。 |
■シェル To:おおる |
……スラムって怖い所だったんだ……(ゾクッ) こんな怖いところに子供達がいるなんて……信じられないよ。 |
■ ジョージ To:おおる |
さて、まずは何処へ行きましょうか? 普通のご家庭はもうお休みになられているでしょうし、かといってスラムを闇雲に歩き回るのもどうかと思います。 一応、スラムの西側で目撃されたそうなので、西の端にあるというサージ君の師匠宅の方にでも向かいましょうか? |
■ パオル To:ALL |
(これはまた……凄いとこだね。(^^;) なんか恐いや……) そう……ですね。当ても無くこんな恐い所を歩き回るより、そっちの方が良いですよね。 |
■ ヴァーン To:おおる |
そうだな、ただ探そうったって探せるもんじゃねぇよな、夜のスラムなんてよ。 いいぜ、そのお師匠さんの家に行ってみっか。 |
■ フェリオ To:オール |
ちゃあーんと、官憲で場所聞いてきたからよ(^^) 俺について来〜い! |
先頭を歩き出すフェリオ。
しかし、一歩踏み出した瞬間に、そのマントをシェルが掴み引き留めた。
■シェル To:フェリオ&おおる |
だ〜か〜ら〜、フェリオが先頭行っちゃダメだってば(^^;;) ……でも、地図みたの、ボクとフェリオだけなんだよね……。 てことは、ボクが案内するの? (ボク、オランに住んだことないんだけどな〜) ……サージ君の家は……たしかこっちだった気が……。 |
■ ヴァーン To:シェル |
なんか目印かなんか聞いてねぇのかい? 俺ぁ、この辺りはちっとは詳しいんだぜ?! |
■シェル To:ヴァーン |
目印!? ……ごめ〜ん、そういうの聞いてなかった〜(ポリポリ) 「スラムの西の端」ってことしか、聞かなかった〜(^^;;)。 |
そう言って、それぞれが指さした方向は……
ジョージが先の路地を左へ。(13)
パオルとアルトがこの通りを真っ直ぐ。(12)
ヴァーンとシェルが左隣の通り。(16)
フェリオは、全く見当が付かなかった(1ゾロ)
しかしながら、大見得を切った手前取り敢えずこっちかなぁ? と右隣の通りを自信たっぷりに指さした。
■ ジョージ To:おおる |
スラムの西の端ですと……そうですね……。 その先を左でしょうか……? |
■ フェリオ To:おおる |
絶対こっちだ!(びしぃ!!) …………っておいこら、ちょっと待てお前ら!! な・ん・で、違う方向指差してんだよ? さっき説明しただろ? まったく、頼むぜ〜? …………ってあれ? シェル、左だと思うのか? …………こっち…………じゃなかったっけ?(^-^;; |
■シェル To:フェリオ |
オランに住んだことないからあまり自信ないけど、地図の感じだとこっちだった気がするんだ。 |
■ アルト To:フェリオ&ALL |
フェリオが右を指した……ということは、少なくとも右ではなさそうだねぇ(笑)
私はもっと先じゃないかと思うんだけどさ? まぁ、この辺りのことは知らないし、道案内はみんなに任せるよ。 |
■ フェリオ To:アルト |
何だよ、アルト…………そんなに俺が信用できないのか? 悲しいなぁ…………俺はアルトが行くと言ったら例え火の中水の中、何処へでも行けるのに…………。 アルトはついて来てくれないのかぁ……。 ふぅ……(T_T) |
■ アルト To:フェリオ |
んー……フェリオに付いていくと、否応なしに火の中水の中くぐらされそうだしねぇ?(笑) まぁ、でも 道案内以外じゃ 頼りにしてるからさ。 何かあったときは、ひとつよろしく頼むよ? |
■ フェリオ To:アルト |
道案内も任せとけって(^-^) ここは右だよ、右の道。 そんで、そこの突き当たりを右に曲がって、更にその先で右に曲がるんだ。 んで、もう一回右に曲がれば着くぜ。 間違いないって! 俺を信用してくれよ〜。 |
■シェル To:フェリオ |
フェリオ〜、しっかりしてよぉ〜(^^;;) それじゃあ、ぐるぐる回ってるだけじゃない〜 |
■ フェリオ To: シェル |
おろろ? …………おっかしいなぁ……。 そんな事ないと思うんだけど…………はれ?(?_?) |
■ ヴァーン To:おおる & フェリオ |
……まあ、多分こっちのほう――左の通り――だろうな。 ところで、フェリオ? おめぇはそっちへ――と、右隣の通りのほうへ顎をしゃくって――行きてぇみてぇだが、どうだい、こっちの道であってるかどうか賭けるかい? ずばり30ガメルでどうだ? おめぇが正しけりゃあ俺の借りは倍、でなけりゃさっきの分がチャラ……わるい話じゃねぇだろ?(にやにや |
■ フェリオ To:ヴァーン |
な、何だと!? くっ……良い度胸じゃねえか! 俺はなぁ、「チャ・ザの地獄案内人」って呼ばれてんだ! 受けてやろうじゃねえか、その勝負! 後で後悔すんなよなぁ! |
■ ヴァーン To:地獄の案内人 |
おぉっ、怖ぇ〜怖ぇ。(にやにや |
■ ジョージ To:おおる |
ふう……。 わかりました……では左の通りにしましょうか。 |
ようやく行く先が決まり、一行は歩き出した。
■シェル To:おおる |
あ〜る〜こ〜、あ〜る〜こ〜、ボク〜は〜げ〜んき〜♪ |
ホントはスラムが怖いので、ことさら明るく振る舞っているらしい。そんなシェルの気配に引き寄せられたのか、路地からいきなり4人のちんぴらが現れた。
彼らは、行く手をふさぐと、手にした武器をちらつかせる。
■ ちんぴらA To:おおる |
こんな時間にここをうろつくなんざぁ、オレたちにカモられたいってことか? なぁに、手の二、三本で許してやってもいいぜ? それが嫌なら、そうさなぁ……特別に、少々の金目の物でも許してやるぞ。 |
独創性のない、使い古されたチープな脅し文句。頭は弱そうだ。
■ アルト To:ちんぴらーず |
あー……何だか、いかにもお約束な奴らが出て来たねぇ……(^^; |
■シェル To:アルト |
お約束? ねえ、アルトさん、スラムってこういう人達が出て来るのが普通なの? |
■ アルト To:シェル |
ん? ……あぁ、スラムに限らずこういう輩ってのは、夜の裏路地の風物詩みたいなもんでね。 オランには、『ドラゴンも歩けばごろつきに当たる』なんていう有名な諺もあるんだよ? シェルも、夜一人で外を出歩くときは気を付けなよ(^^) |
■シェル To:アルト |
へえ〜、そうだったの。 じゃ、夜に「ごろつき」がいるのって普通なんだね♪ ……『ドラゴンも歩けばごろつきに当たる』かあ、そんな諺あったんだ...φ(。。) わ〜い♪これでまたひとつ新しいこと憶えた♪ |
どんどん間違った知識を憶えていくシェル……その間違いに気付く日は来るのだろうか……?そんな会話を後目に、フェリオは挑戦的に一歩前に出た。
■ フェリオ To:ちんぴらA、その他 |
…………あ? 寝言は寝てから言いな。 てめえら、たった4人で冒険者相手にやりあうつもりか? いい度胸じゃねえか! その腐った根性を叩きのめしてやる!! かかってきやがれ!! |
■ ジョージ To:フェリオ&カツアゲマンズ |
(フェリオに)まあ、待って下さい……。 (カツアゲマンに)金目の物と言いますといくらくらい必要なのですか? |
■ ヴァーン To:ジョージ & カツアゲマンズ |
おいおい、ジョージ……(-_-;) やれやれだな。そんなにカモりやすく見えるんかねぇ、俺たちは…………。 ほれ、手間賃やるから、テメェらこそ怪我しねぇうちに、とっとねぐらに帰ってクソして寝ちまいな! |
と、肩をすくめて1ガメルコインをちんぴらの足下に放る。
■ シェル To:おおる |
なんか、とっくみあいになりそうな感じ……。 |
これから起こるであろう事を予感し、そっと後ろに下がる。
■ ちんぴらA To:ヴァーン |
てんめぇ、俺達をナめてんのか! おうおう、この赤いバンダナが見えねぇみてーだな! |
ちんぴら達は、ずいっと薄汚れた紅いバンダナを巻いた左腕を突き出した。
■ フェリオ To:ちんぴら |
ハン! そんな汚ねえバンダナがどうしたってんだ? それにそんなもんはどうせ関係ねえさ。 これからてめえらの全身は血で染まって見えなくなるんだからな……。 |
■ ジョージ To:カツアゲマンズ&おおる |
なにいぃ!!?? そ……それはあああっ!!! |
■ フェリオ To:ジョージ |
って何だよ、リーダー? この馬鹿どものまるで自分達は一般雑魚戦闘員ですって 自己主張してるようなお揃いのバンダナ、知ってんのか? |
■ ジョージ To:カツアゲマンズ |
みなさん腕を怪我してるじゃありませんか!? 血が滲んできてるようですし、そろそろ包帯を取り替えた方がいいと思います。 ……ああ、あとあまり不衛生な布を巻いていますと傷口が化膿しますよ。 |
男達は、一瞬、ジョージの言った言葉の意味が分からず惚けたような顔をした。
しかし、次の瞬間にはようやく事を理解し、顔を真っ赤に染めた。
■ ちんぴらB To:ジョージ |
! てめぇ! 俺達を馬鹿にしてんのか! |
■ フェリオ To:ジョージ |
(は……はは(^^; わざと……言ってるのかぁ?(^^;;) |
■ パオル To:ヴァーン、フェリオ |
あのぉ……こんなとこで道草食ってないで、とっとと先に行きませんか? ボクはお腹が空いて、空いてしょうがないんですけど…………。 |
ちんぴら達を完全に無視しているパオル。
■ ヴァーン To:ジョージ & カツアゲマンズ |
ちゅうこった、この兄ちゃんを怒らすと怖いぜぇ? 血ぃ見ないうちに、さっさと消えな! |
と、パオルの方を指し示して言いながら、鞭の用意をする。
■ パオル To:ヴァーン |
血ぃ見るぅ? れ、レア肉ですか? どこ(゜ロ゜;) どこ?(;゜ロ゜) ……………………って何処にもないじゃないか……。 (−−+)びし!! ヴァ、ヴァーンさん!! 又ボクを騙したの!? |
勝手な解釈して、勝手に怒り出すパオル……そろそろ胃の中身が空になったらしい。
剣の柄に手をかけるパオルを、理由が分からず見つめるちんぴら達。
■ ちんぴらB To:パオル |
血ぃ見なきゃ、わかんねぇようだな! |
いきなり怒りだして剣に手を掛けるパオルに、少々声を掛ける相手を間違えたかと後悔を始めた。
しかし、ここで引き下がるわけにもいかず、虚勢をはるちんぴらB。
■ ヴァーン To:パオル |
はぁ? 俺がいつ、おめぇを騙したよ? ったく、おめぇは腹が減ると、どうしてそうなんだ?! |
ヴァーンもつられて、剣呑な声になった。すぅっと細めた目に殺気が浮かんでいる。
■ フェリオ To:パオル |
おい、パオル! レア肉の材料なら目の前に4つもあるぞ?
それに終わったら俺の持ってるリンゴの1個でも食わせてやる。 だからこいつらを蹴散らせ〜! |
■パオル To:フェリオ、カツアゲマンズ |
ふむ……リンゴ一個か、それじゃあ腹の足しにはならないなぁ。 まぁ……いっか、とりあえずサクッと片づけて頂くかなっと。 |
■ アルト To:フェリオ&ALL |
レア肉って……。 カツアゲされたくらいで人殺しちゃ、いくら何でもまずいだろう(^^;; ま、やるならせいぜい死なない程度にいこうか♪ |
■ ちんぴらA To:なかま |
もう我慢できねぇ! 腕の一本や二本なんてせこいこと言わねーで、その命ごといただいでやれ! |
■ ヴァーン To:カツアゲマンズ |
てめぇら、お呼びじゃねぇってことがまだわかってねぇんか?! あぁ〜あ、どうなってもしらねぇぞ、俺ぁ。 |
このセリフが意味するところを、この段階では誰一人知る者はなかった。
当のヴァーン本人さえも。