Chapter 0 | はじまり |
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Chapter 1 | 依頼人 |
Chapter 2 | 後日談 |
■ ラルゴ(村長) |
おはようございます、マスター。ようやく見つかりましたか。 して、それはどなたがたかな? |
人懐っこい笑みを浮かべているが、村長の眼差しは人を射抜くような鋭いものであった。
■ ノエル |
初めまして。私はノエルと言います。 |
■ リムリィ |
はじめまして、リムリィです。 よろしくおねがいします(ぺこり) |
■ スレイ |
はじめまして、スレイです。依頼を請けさせていただくことになります(にこ) |
■アトール |
(軽く手を挙げながら) 俺は、アトール。よろしく。 |
■リグ |
(なんか優しそうなおじいさんだな。) おはよう、わたしはリグっていいます。 一応、わたし達幸運の運び手のリーダーです。 よろしく。(にっこり) |
■スレイ |
今回は用事があるらしくいないんですけど、あと一人シオンっていう仲間がいるんですよ(にこ) |
■ ラルゴ(村長) |
(リグの方を向いて)ほうほう、これはまたご丁寧に。 ところで皆さん、随分と若いようですが、腕の方はいかがですかな? |
■ ノエル |
少なくとも、まるっきりの初心者というわけではありませんけど(^^;;; 見かけが若ければやはりご不安かもしれませんね ところで、お爺さんは村のどういう立場の方でしょうか?お名前は? 村から長い道のりを歩いてこられるのは大変だったでしょうに、やはり若い方たちは自警団など作ってゴブリンの襲撃に備えていらっしゃるのでしょうね。 |
■ ラルゴ |
おっと、これは失礼した。 わしはラルゴと言う。パダから東へ4日ほどのところにあるエリサーナという村の村長をしておる。 自警団は一応組織しておる。まぁ、そんなに人数もおらんし、おそらくゴブリンの襲撃から村を守るのが精一杯じゃろう。ちなみに、わしの息子が自警団の長をしておる。 まぁ、わしが戻るまでくらいは何とか持つじゃろうがな・・・。 |
■ リムリィ |
とりあえず、被害の状況など詳しく話してくれませんか? それなりの準備もしないといけないですし。 |
■ ラルゴ |
ふむ、実は村に戻ってみないとどれくらいの被害にまでなっているかが分からんのじゃよ。 何しろ村を出てからもうかれこれ15・6日くらい経っているからのぅ。 ところで、準備というが、どんな事が聞きたいのかね? 詳しくと言われても、どういった事を話せばいいのかが分からんのじゃが。 |
■ リムリィ |
ううん………。そうですね。 ゴブリンがいつ頃から現れるようになったか。それから、ゴブリンの被害にあったもの、畑が荒らされたとか、人が襲われたとか。今のところどのくらいの集団で襲ってきているのか。ゴブリンが住処にしている場所は分かっているのか。 分かる範囲で結構ですから話していただけますか? |
■ ノエル |
それから、どれぐらいの頻度で襲ってくるのか。今までに一度だけとか、数回あるとか。あと、何回か襲われているならその間隔。本当にゴブリンだけなのか・・・ちょっと大きいとか小さいとか呪文使うとか、毛色の違うのはいないのか? なんかも知りたいですね。 |
■ ラルゴ |
ふむ、ゴブリンどもが村を襲ったのは、わしが村を出る直前じゃから、17・8日くらい前かのぅ。 だから襲撃の回数はわしが知っておるのは1回だけじゃが、おそらくもう1,2回の襲撃はあるであろうな。 あと被害についてか。おそらく、畑はかなり荒されているだろう。また家畜もかなり奪われていると思われるが。あと、老人や子供たちが殺されているかもしれん。まぁ、こういった被害は、村に帰ってみんことには、わしにも分からん。 (ノエルの方を向いて)それからお前さんの言うゴブリン以外というのは、ホブゴブリンとかオーク、トロールなんかの事を指しているのかな? 少なくともわしが村にいた時点では、そのような話は聞いてはおらんのぅ。 それから、わしが直接見たところでは、魔法があったかどうかは判別がつかん。ただ家を2・3軒焼かれたので、可能性は否定できん。 |
今まで人懐っこい笑みを浮かべていた村長だが、ここで突然真顔になると、改めて全員を見回し、話を続けた。
■ ラルゴ |
それと、1つだけ重要なことがある。それは、奴等は統制が取れていたということじゃ。おそらくゴブリンロードがいるのは間違いないじゃろう。 ダークエルフや人間の闇司祭なんかに率いられたゴブリンは、大抵は嫌々従うわけだから、自分達の好き勝手に暴れまくる。じゃが、今回はそのような形跡はない、少なくともわしの知る限りではな。 だから、相当手強いと見た方がいいだろう。おそらく、うちの自警団でも守るのが精一杯と言ったのはそういう訳じゃ。 |
■スレイ |
統制がとれていた・・・・・ふぅむ。 |
■ ラルゴ |
さて、改めて聞くがお前さんらで大丈夫なのか? 別にこの宿のマスターを信用しとらんとか言うわけじゃなく、わしの目から見てもそれなりに何とかなりそうなのがそこの盗賊(アトール)くらいとしか思えん。まぁ、エルフについてはわしも何とも言えんから置いておくとしてもじゃ、後の3人はどう見たって20歳前の若造にしか見えん。大体、リーダーのおぬし(と言ってリグを指差す)、おそらく14歳のわしの孫と同じくらいじゃないか? わしはただ、お前さんらが自分達の実力をきちんと把握しているか、それとメンバーの人数の少なさが心配なのじゃよ。 |
すると、何やら気難しい雰囲気を察してか、宿のマスターが顔を出してきました。
■ 「銀の網亭」マスター To:ラルゴ |
(ラルゴに向かって)まぁ、あんたが心配するのも無理ないが、こいつらも2つ3つの仕事をこなしてるんだ。そろそろ、そういう試練があってもいいんじゃないか? ま、俺はそのつもりでこいつらに仕事を紹介したんだが。 |
■ ラルゴ To: 「銀の網亭」マスター |
ふむ、ずいぶんとまた言うようになったのぅ。 お主がまだ現役だった頃と比べると、見違えるようじゃわぃ。 流石に世帯を持つと性格も変わるもんかのぅ。 |
■ 「銀の網亭」マスター To:ラルゴ |
おいおい、また随分と昔の話を持ち出してくれるじゃないか、賢者様よ。(^^; 確かに昔はいろいろとあったさ。あんたにも随分と世話になったしな。いろいろと訳の分からん知識をいっぱい持ってたから、結構聞きに行ったよなぁ。そりゃぁ今でも覚えているよ。 |
■ リムリィ |
あの………お取り込み中失礼ですけど………。 依頼の方はどうしましょう? |
■ ラルゴ |
おぅ、そうじゃった、すまんのぅ。 さて、どうする? これでもわしの依頼を受けるかね? 別にお前さんらが嫌いじゃから言ってるのではない。おそらく、村を守るだけなら村の自警団でも十分であろう。となると、お前さんらには当然、ゴブリンの巣へ行って退治してもらわにゃならん。 で、お前さんらじゃ。自分達の腕に十分自信があるというのなら、こちらとしてもぜひ依頼を受けてもらいたい。じゃが、あまり自信が無いというのなら、あたら命を無駄にすることはない。むしろ断ってもらったほうが、こちらとしても若者を死地に行かせなくて済む分、気が楽じゃ。最初に言った大丈夫かねという言葉は、そういう意味じゃ。 |
■ アトール |
なるほど。報酬といい、村長の慌ただしい様子といい、正直言って相当やばい状況にも感じられるな。 ゴブリンの統制が取れているってのも気になるし。 俺らも、そこそこ場数は踏んだ冒険者だとしても、見ての通り、バリバリの強者揃いのパーティーって訳じゃないのは、恥ずかしながら村長の見抜いた通りだ。 しかも、今は訳あって5人しかいない。依頼の紙に「1パーティー以上」って書いてあったよな? ということは、村長の眼から見ても、かなり厳しい依頼なのか? |
■ ラルゴ To:アトール |
ふむ、若いの。その通りじゃよ。 わしとしては、2〜3パーティくらいを予定しておった。 それも、出来るだけこちら側の損害を少なくするためじゃ。理由は分かるな。 |
■ ノエル |
確か普通のゴブリンだって結構手強いって言ってたよね(と、リムリィのほうを見る)。 |
■ リムリィ |
ええ、まぁ。戦士として訓練されていない人が戦うには手強いですよ。 それなりに訓練を受ければ互角以上には戦えますけど、数で押して来られるとつらいと思います。 |
■スレイ |
確かに、前はきつかったですからねぇ、多方向から来られて(^^;; |
■ ノエル |
ただ作戦もなしに暴れ回るだけでも手強いのが統制とれてるとなると、結構きつそうだなぁ。 たぶん、そのロードって言うの、統率とるだけじゃなくて元の力もあるんでしょう? |
■ ラルゴ To:ノエル |
ふむ、わしが覚えている限りでは、並みの戦士では1対1ではおそらく勝てまい。 それなりに実力のある戦士が魔法の援護があって、何とか勝てるといったところか。 |
■ アトール |
そうなると、やっぱり戦士が中心のパーティじゃないだけに、この人数じゃかなりつらいかもな。 犬死にだけはごめんだぜ。 俺は引くのも一つの勇気だと思うけど・・・。 どうする、リグ? リーダーとして結論を出すときが来たみたいだ。 |
■スレイ |
ですね・・・・任せますよ、リグ。 |
■リグ |
・・・・・・・・・・・・・・うんっ。 ラルゴさんの希望やみんなの意見を考えると、今回の依頼はわたし達では力不足な面が多すぎるみたいだからね。 残念だけど依頼は断ろうか。 (ラルゴのほうをくるっと向いて、頭を下げる。) ごめんなさいラルゴさんぬか喜びさせてしまって。 |
■ ラルゴ To:リグ |
嬢ちゃんや、わしは別にぬか喜びなんぞしとらんぞ。 ・・・うむ、まぁよい。お主達にしては賢明な判断なのであろう。 では、この話は無かったということで。 さて、わしは村へ戻って防御の指揮をせねばならんので、このまま失礼させてもらう よ。では皆の衆。 |
そう告げると、老人はおもむろに立ち上がり、そのまま入り口へと向かった。
■ アトール |
じいさん、すまんな。 オランで探せば、俺らより戦闘向きのパーティーはきっと見つかるだろうさ。 |
■リグ |
今度会うときにはきっと頼りになるパーティーになってるから、何かあったときは思 い出してね。 |
老人は、振り向きもせずただ片手を挙げて手を振ると、そのまま宿を後にした。
老人が最後に見せた表情が、何か大切なものを慈しむかのようであったのは、 果して気のせいであったろうか。
■ 「銀の網亭」マスター |
・・・たまにはこういうのもありってことか。 まぁ、今回の仕事はちょっときつそうだったしな。 すまんな、お前さんたちには。 まぁ、暫くはゆっくりしていることだな。 |
■ アトール |
まあ今回の場合、しょうがないか。 ・・・まだ朝だけど、仕事も無くなった事だし、やけ酒でも飲みますか(笑) |
■ 「銀の網亭」マスター To:アトール |
おいおい、言わなかったっけ? 戦闘向きの冒険者がいなかったから、お前さんらにこの仕事が回ってきたんじゃ ないか。 ・・・まぁいい。何にする? |
・・・とまぁ、なんやかんやで朝から宴会になる一行であった・・・。